接待と手土産

「帝国ホテル 東京」のオーチャード。
すべて実食! 自慢の手土産 #146

2025.05.01

「帝国ホテル 東京」のオーチャード。<br>すべて実食! 自慢の手土産 #146

日本の迎賓館ともいうべき名門ホテルの究極のフルーツケーキ。

いざという時に頼りになる高級ホテルの手土産特集の第4弾は「帝国ホテル 東京」。日本の迎賓館としての役割を担って誕生し、今年で開業135周年を迎える日本を代表するホテルは、これまでに各国の王室や首脳、ハリウッドスターらが滞在し、エピソードには事欠かない。なかでもマリリン・モンローが新婚旅行で来日した際の記者会見で、「夜は何を着て寝ていますか?」という問いに「シャネルの5番を」と答えた話はあまりにも有名だ。

またホテルウエディングやブッフェスタイル、ランドリーサービスも帝国ホテルで誕生した。常にゲストの声に耳を傾ける帝国ホテルだからこそ生まれた発想だ。今回紹介する「オーチャード」が生まれたのもそんなゲストの声からだ。1971年にオープンしたホテルショップ「ガルガンチュワ」は、当時からの人気商品ブルーベリーパイをはじめ、それぞれにファンを持つ、数多くの人気商品を生み出してきた。

ある時、常連客から、帝国ホテルの看板となるような最高級の菓子を作ってほしいと言われ、当時のペストリーシェフが試行錯誤の末に、2005年に完成させたのが、1本1万円超えのプレミアムなフルーツケーキ「オーチャード」だ。「IMPERIAL HOTEL」「GARGANTUA」と金で箔押しされたシックな赤い箱は高級感を放ち、手に持つとずっしりと感じる重さがただならぬ雰囲気を醸し出している。

「果樹園」という名にふさわしく、一般的なフルーツケーキの2倍以上、マンゴー、パイナップル、メロン、イチゴ、イチジク、チェリー、プルーンにオレンジなど、なんと13種類ものドライフルーツを惜しげもなく使う。しかもフルーツごとに相性のよいリキュールやブランデーなどを選び、2週間以上も漬け込んで、果実の風味をより際立たせている。そうやって丁寧に仕込んだ果実と共に、3種類のナッツ、発酵バター、蜂蜜を生地に混ぜ込み、オーブンで焼くこと1時間。焼き上がった後もすぐに店頭に並べるのではなく、コニャックを染み込ませてさらに1週間ほどエイジングさせる。最後にアプリコットジャムで表面をつややかに仕上げたらようやく完成だ。

口へ運ぶとまずナッツの香ばしい香りと食感、そこからバラエティーに富む果実がそれぞれの個性を発揮してくる。繊細にも重なるリキュールやブランデーの存在感も感じつつ、発酵バターや蜂蜜、隠し味のシナモンやアールグレイなど多彩な食材が見事に調和し、なんとも言えない奥行きを感じさせる。コーヒーや紅茶はもちろんウイスキーやブランデーとの相性も抜群だ。

これほど多くのフルーツを使うと、カットするときに崩れやすくなりそうなものだが、切りそろえられたフルーツを丁寧に生地に混ぜ込むことで、崩れることなく美しい断面を保つことができる。ゲストの一挙一動に目を配るホテルならではの気配りだ。

購入したその日より、翌日のほうが落ち着きを増し、日ごとに味わい深くなっていく。クリスマスのシュトーレンのように時間をかけて、少しずつ長く楽しめるのもありがたい。これだけの手間暇をかけてパティシエが11台丁寧に作るため、1日に作れる本数はごくわずか。そのプレミアム感が、単なるフルーツケーキを超えた、究極のスイーツにしているのだ。

1050_手土産146_帝国ホテル_包装

帝国ホテル 東京 ホテルショップ「ガルガンチュワ」
東京都千代田区内幸町1-1-1
営業時間/8:00〜20:00 ※ペストリー・ベーカリー・惣菜品などの販売は11:0019:00
定休日/無休
価格/12960円 ※税込み
問/03-3539-8086(受付時間11:0019:00
https://www.imperialhotel.co.jp/tokyo/hotelshop

<<すべて実食! 自慢の手土産 #145「ジャヌ東京」のオリジナル チョコレート。

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