旅と暮らし
近い、安い、気持ちいい! 週末2万円代で泊まれる香港へ
2017.08.22
East Hong Kong(イースト 香港)
香港
マンダリン、ペニンシュラ、W、フォーシーズンズetc.。香港には外資のラグジュアリーホテルが軒並みそろう。スタイリッシュさで言うと「ジ・アッパーハウス」は根強い人気を誇っている。今年末にオープンする「ザ・マレー ニッコロ ホテル 香港」も気になるところだ。
そうした5つ星ホテルの激戦区となっている香港のなかで、ユニークな雰囲気を放つ4つ星ホテルがある。それが「イースト 香港」。その名のとおり、香港島の中心から東に位置する住宅街にあるホテルだ。
正直いって、ショッピングや夜遊びの中心地からは少し離れている。とはいえタクシーでも香港の地下鉄MTRでも20分弱。しかもホテルは駅直結。それぐらいの手間だったら、このホテルからのビクトリアハーバーの眺めをとりたくなる。ほかにもハーバービューのホテルはいくつかあるけれど「イースト 香港」からの眺めは運気が上がるんじゃないかってくらい開けていた。私はその独特の空気感に魅せられた。
泊まるならハーバービューの指定をすすめる。部屋からの眺望は抜け感がめちゃくちゃいい。個人的にはハーバービューでなければ「イースト 香港」には泊まらない。「ルーム ハーバー ビュー」の9月~10月の1泊の料金を見ると、2万円代後半(Hotels.com調べ)。冒頭の5つ星ホテルの半額以下の価格で、過去2回泊まった際の満足度は非常に高い。じつは“ビジネスユース”を前提に出張が楽しくなるよう作ったホテルであるため、手ごろさと快適さ、そして遊びも備わっているのだ。
気に入っている理由のひとつが、4つ星ホテルが手本にすべき秀逸な部屋のレイアウト。「ルーム ハーバー ビュー」の広さは28平方メートルだけれど、それよりずっと広く感じる。その理由は壁一面に張られた窓にあるだろう。窓の向こうに広がるのは空とビクトリアハーバー、そして九龍サイド。窓が大きいおかげで、その眺望はまるで部屋の延長なのだ。窓には腰掛けられるスペースもあり、そこでビールを飲みながら夜空を楽しむもよし。明け方に空の色が移り変わる様子を窓際で眺めるのも好きな時間だった。
広く見えるもうひとつの理由が、部屋が洗面スペース込みの空間であること(上の写真はシティービューの部屋)。ベッドと洗面は濃い色のガラスで隔てられ、スケルトンの透壁により窮屈にならない。かといって洗面が丸見えでないのでスタイリッシュさも保てる。
そしてこのホテル、ルーフトップにあるバー「シュガー」がイケている。香港に住んでいる男友達が「気になっている女の子をシュガーに誘ったことがある」と言っていたのも納得のいく雰囲気だ。32階に位置するルーフトップからはさらに広範囲にビクトリアハーバーを望むことができ、テラス席は空のすぐ隣。
DJが常駐していてカクテルにも工夫がある。何より、こっちに住んでいる人たちのにぎわいにあふれているのが楽しい。週末は深夜1半時まで営業しているので、前回泊まった際はセントラルで遊んで締めに「シュガー」という過ごし方だった。
飲んだ翌日は怠けて部屋でハーバーを渡る船を見ながら朝食。朝食はなぜかラフな紙袋のセットで届けられ、まるでここに住んでいてデリバリーを頼んだ気分になる。そんな朝食のあとにプールに行くと、プールは団地に囲まれていて決して眺めはよくない。しかし泳いでみると団地ビューがシュールで味があった。このホテル、やはり独特だ。
格好つけすぎず、カジュアルさとお洒落さがいいあんばいで、アートもある。眺望が素晴らしい部屋、地元の人で盛り上がるバー、駅直結、お手ごろ価格。「イースト 香港」を振り返ると、そこは最高のバランスをもつ4つ星ホテル。そろそろ点心と海老ワンタンを食べに、
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度は高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。