旅と暮らし

地上555mのビルに入る、世界で2番目に高いソウルのホテル

2017.11.24

大石智子 大石智子

地上555mのビルに入る、世界で2番目に高いソウルのホテル

SIGNIEL SEOUL(シグニエル ソウル)
ソウル/韓国

ホテルが未定で海外に行くことが決まっているとき、まずチェックするのが、その国に「ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」があるかどうかだ。これは世界75ヵ国で375軒以上が加盟しているホテルコレクションで、ラグジュアリーかつ個性的なホテルばかりが名を連ねている。これまで加盟ホテルと知らずにたまたま予約を入れることも多かった。そして、あとから気づき「あ、やっぱりリーディングホテルズ加盟のホテルだったか」と納得する。自分の趣味にはまる、当たりが多いホテルコレクションなのだ。

11月にソウルに行こうと思いたち、「ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」のサイトを見ると、2軒のホテルが見つかった。そのうち引かれたのが「シグニエル ソウル」だ。なぜなら、外観写真が異様だったから。ホテルは驚愕(きょうがく)の高層階にあった。韓国という身近な国にして、非日常感を味わえる。そんな予感がして宿泊を決めた。

「シグニエル ソウル」は、2017年4月オープンという新しいホテル。韓国最高層ビルのロッテワールドタワー(555m!)の76階から101階までを施設とする。「ザ リッツ カールトン 香港」に次いで、世界で2番目に高い場所に客室をもつホテルだ。

金浦(キンポ)国際空港へ到着し、ホテルへ向かった。空港からホテルのある松坡(ソンパ)区まではクルマで約1時間。ホテルが提供する空港送迎つきプランなら、ロールスロイスやBMW7で優雅にホテルに向かうこともできる。

ロッテワールドタワーは世界で6番目に高い123階建て555mのビルだから、車内からすぐに見えるだろうと思った。でも、「あれだろうか?」と思った超高層ビルは、のちにその半分の高さほどしかないと気づく。「見えてきましたよ」とドライバーが教えてくれたビルは、予想を上回る高さ。てっぺんを入れた全景を写真に収めるなら、よほど離れないと撮ることはできない。

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設計はアメリカの超高層ビル専門の建築事務所、コーン・ペダーセン・フォックス。ビルそのものの高さがすごいが、中もすごい。まず驚いたのが、ホテルのエントランスの天井高だ。

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ドア自体は通常サイズだけれど、そのドアを囲む門構えが迫力満点。20m近くある大理石の大きな門には“SIGNIEL ”の文字。天井を抜くことがホスピタリティの証しとばかりに、抜くところは抜く。エレベーターホールもとことん高く、エルメス前のスペースにおいては、ビルの中にビルが入りそう。ちなみに、ドアマンまでが高身長のイケメンだった。

そうしてエレベーターに乗ると、デザインへの期待が高まる。おしゃれなホテルはエレベーターからしてセンスがよく、ここもしかり。そもそもこのホテル、“SIGNIEL”という書体が格好いい。ほかと同じようで、ちょっと違う。

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79階のロビーで鍵を受け取る。ロビーフロアにもエレベーターで見たグレーがかったグリーンが使われており、「シグニエル ソウル」はこの色が効いている。

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客室数は計235。最大が353㎡のロイヤルスイートとなり、スタンダードでも44㎡とゆとりの広さ。すべての部屋が80階以上に存在する。私の部屋は88階で、これまで泊まったホテルのなかでいちばんの高層階だ。期待が高まるなか、エレベーターでさらに上へと向かった。

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部屋に入ると、そこはまるで天空だった。広大な川、漢江(ハンガン)も高層ビル群もはるか下。大きな窓の向こうに広がるのは、ソウルを広範囲に見渡すパノラマビュー。ソウルがどういう地形をしているのか、部屋の眺めで把握することができた。

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眺めはもちろん、この部屋は間取りとディテールが好みだった。例えば下記が気に入った。

・クローゼットはバスルーム側とスーツケース置き場側の2カ所に扉がある
・ベッドサイドには「シーツを替えなくてもいいですよ」と伝えるためのカードがある(サステナビリティの意識が高い)
・冷蔵庫がレザー張りのチェスト仕立て
・ゴミ箱までおしゃれ
・窓際に腰掛けられるスペースがある
・夕方、部屋に戻ると“In Room Bar Cocktail”なるカクテルセットとレシピが置かれていた
・アメニティはディプティック
・カーテンの開閉が半自動(手でカーテンを軽く引くのを合図に自動となる)

などなど。また、部屋は通常なら角となる部分が丸く造られているデザインで、新しいホテルらしいなと思った。壁の色は例のグレーがかったグリーン×白×ウッドでバランスもよし。

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部屋以外でのんびりできたのが、85階のサウナだ。これがスチームサウナ好きには最高の条件で、3日連続、2時間は85階で過ごしてしまった。スチームサウナと水風呂、湯風呂の環境は申し分なく、やりきった。

サウナ後に休むリラクゼーションスペースのベッドも気持ちよかった……。ベッドに寝転ぶと目の前の窓からは空しか見えない。男女ともにサウナはプールとつながっているので、人によっては好都合だろう。また更衣室やメイクアップルームも最新鋭の設備だった。

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正直、ロケーションは中心地から離れている。特に明洞(ミョンドン)方面で遊びたい人にとっては不便だろう。しかし、江南(カンナム)まではタクシーで約10分。私はデスクワークの必要もあったため、2泊の滞在中、ホテル以外は江南にしか出なかった。もとい、江南に目覚めた。十分にいい店がたくさんある。

ソウル弾丸旅行というよりは、眺めのいい場所でリフレッシュしたいという人におすすめする。特に部屋から眺める朝焼けと夕暮れが絶景。日本にはない超高層階ホテルで過ごす時間は、非日常だ。それもソウルまでは飛行機ですぐだし、1泊の料金は約4万円と東京の5つ星ホテルより手ごろ。週末旅行や、年末年始の駆け込み旅行にちょうどいい。

ああ、私もここのスチームサウナにもう一度入りたい。

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〈日本での予約/問合わせザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド

0120-086-230
www.lhw.com/signielSeoul

プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

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