紳士の雑学
アウターの歴史を知ると装いが楽しくなる。
ダウンジャケットやモッズコートの変遷を辿る
2018.01.10
秋から冬にかけて、屋外での装いの主役はアウターウエアとなる。ひとくちにアウターと言っても、そのスタイルは実に多様。それらの歴史をひもとき、ディテールを堀り起こし、それぞれの役割や価値に思いをはせれば、男の装いはもっと楽しくなる。
Style 代表的な意匠
M-65フィールドジャケット
60年代半ばにM-65と制式呼称されたことから一般的にもその名で呼ばれている米軍の野戦用ジャケット。ジッパーを閉めさらにボタンを留める気密性の高いフロントの仕様や両胸のベローズポケットが特徴。機能的かつ着まわしの利くスタイルから街着として脚光を浴び、たびたびファッションブランドのモチーフとして採用されている。
M-51パーカ(モッズパーカ)
50年代に採用された米軍の野戦防寒用衣料で、背側の裾が燕尾状になっている点が印象深い。通説では、当時英国の流行請負人であったモッズと呼ばれる若者たちが、最高のアクセサリーとなるスクーターに乗るときに、自慢のスーツが油で汚れることを嫌って、米国から大量に輸入された放出品をこぞって着用したのが由来とされている。
マウンテンパーカ
70年代カリフォルニアで隆盛したマウンテニアリングとともに、その防寒具として重用された登山用パーカ。ドローコード付きフードや袖口を閉めるタブ、ジップアンドスナップのフロントが風の侵入を防御。湿度調整機能をもつ60/40クロスと呼ばれる素材で快適な着心地を生み出す。いまや登山者ばかりでなくシティハイカーの必需品。
ダウンジャケット
中綿にダウン(羽毛)を利用した極めて軽量で保温性の高いアイテム。ナイロンシェルにダウンを詰めてキルトステッチで形成するフォルムが個性を放つ。かつてはアウトドアでの専用品といった趣であったが、ユーロメーカーの台頭でエレガントなスタイルが続々と登場。いまやタウンユースのアウターウエアとして不動の地位を築いている。
出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)