旅と暮らし
「コンラッド ソウル」が教えてくれた、最高に美味しくて楽しいソウルの歩き方 Vol.2
2018.01.12
いまさらながら、人生初ソウル。そんなソウルの右も左もわからない私に、街のおすすめスポットを教えてくれたのが「コンラッド・ソウル」だった。Vol.1に引き続き、ホテルがナビゲートするソウルの歩き方をお伝えする。
そもそも、コンラッド・ホテルズ&リゾーツが“Conrad1/3/5”というサービスを提供していると知って、ソウル行きを決めた。これは、「旅先で自由な時間が1時間、3時間、5時間あったら…あなたは何をしますか?」というテーマのもと、限られた時間を思いっきり楽しんでもらうための取り組みだ。
「1時間でお肉の美味しい店に行きたい」「3時間でアートを楽しみたい」「5時間でお洒落なディナーとバー巡りをしたい」といった要望に応え、地元民ならではの情報を提供。それも、すべて無料。ではさっそく、私が「コンラッド・ソウル」に教えてもらった、1/3/5をお伝えしていく。
【1時間コース】
遅い朝食を地元の人気店でとりたい!→「チンジュチッ」へ
韓国通のワインコーディネーター・藤崎聡子さんからも聞いていた店で、「コンラッド・ソウル」のコンシェルジュも太鼓判。“コングッス”という小麦麺を大豆の冷たいスープで食べる料理の人気店で、11時を過ぎるとビジネスマンが続々と来店し人気のほどがうかがえた。
食べて納得。ツルツルでコシのある麺と、どろりとした豆のスープのコントラストにはまった。まろやかで優しい味の豆のスープに、微かに煎りゴマの香ばしさを感じ、その味を確かめるように繰り返し食べたくなる。地味にうまい!
私はコングッスが好きだけれど、ビビンクッス(ピリ辛混ぜ麺)には、わかりやすい美味しさがある。ふたり以上で行ってシェアするのがおすすめだ。
「チンジュチッ」
TEL:02-780-6108
ソウル特別市 永登浦区 汝矣島洞36-2, 汝矣島百貨店 地下1階
【3時間コース】
江南でディナー&バーへ行きたい→「釜山ヤンコプチャン」+「Alice Cheongdam」へ
江南グルメが気になりおすすめを聞いて出てきたのが、「釜山ヤンコプチャン」という店。ヤンコプチャンとは、牛のホルモンのことだ。ミノと大腸、小腸を頼むと、きれいに処理された巨大な臓物が登場した。これこそ、ソウルで食べたかったもの!
ホルモンが焼けると、店のスタッフがひと口大に切ってくれる。大腸は歯ごたえのある袋に甘みを帯びた脂を含み、チャミスル(韓国の人気焼酎)が進む。鉄分を感じる小腸もコリコリとした食感のミノも絶品! 臓物の滋味深さに、食後に力が湧いた。ちなみに店のメニューは日本語表記もありわかりやすい。ボリュームが多いので2人以上で行くのが必須。
「釜山ヤンコプチャン」
TEL:02-554-7780
ソウル特別市 江南区 駅三洞700-15
ホルモンを満喫したあとは、そこからタクシーで5分ほどの場所にあるバー「Alice Cheongdam(アリス チョンダム)」へ。店名もコンセプトも『不思議の国のアリス』をイメージしており、「お花屋さん?」と思う空間を抜けるとバーが広がっている。ここではメニューからお店のオリジナルを頼むべし。上の写真はバジルの香りを移したジンやグレープフルーツジュースが入った“Terry's Boutique”。仕上げにポットから出るローズの香りをカクテルにかけてから味わう。
こちらはテキーラとメスカルを松葉の煙で燻(いぶ)した“Don Spectre”。どのカクテルもグラスやレシピがユニークで、何かとストーリー性が高い。店名どおり、不思議の国に迷い込んだような面白さがあった。
「Alice Cheongdam」
TEL:02-511-8420
http://www.alicecheongdam.com
【5時間コース】
肉をとことん堪能したい→「河東館」+「ユッケチャメチッ」+「黒豚家」へ
1軒目の「河東館」は、「コンラッド・ソウル」から徒歩10分の場所にあるコムタン専門店。朝7時からオープンしているので朝ごはんにもぴったりだ。約70年の歴史をもつ老舗で、澄んだスープはあっさりめ。朝にがぶ飲みするのに最高だった。睡眠後の渇いたカラダに牛のだしが染みわたる。塩とねぎを足して味わうが、地元のみなさんはねぎを大量に(スプーン4杯くらい)入れていた。
河東館 汝矣島店(ハドングァン ヨイドジョン)
TEL:02-785-9292
ソウル特別市 永登浦区 汝矣島洞15-24 サミEXコンベンチャータワー1階
2軒目は広蔵(クァンジャン)市場の散歩を兼ねてユッケ専門店へ。「ユッケチャメチッ」はソウルでいちばん人気のあるユッケ専門店で、この店をきっかけに市場の中にユッケ通りができたそう。新鮮な生肉がたっぷりのったユッケはひと皿約1200円。ひとりで食べきるのは多いと思ったものの、食べはじめると鮮度が抜群でサラダのように平らげられた。赤身肉の細切りは適度な歯ごたえもあり、噛むと肉の甘みが口に広がる。卵のまろやかさとごま油のコクを足すと、手が止まらずユッケハイ状態に。やはり禁断の生肉はソウルの醍醐味だ。
「ユッケチャメチッ 1号店」
TEL:02-2274-8344
ソウル特別市 鍾路区 鍾路4街 177, 広蔵市場内
韓国の豚肉に興味があると言った私に、「コンラッド・ソウル」が教えてくれたのが「黒豚家」。黒豚の名産地である済州(チェジュ)島から直送される肉を提供する店だ。黒豚焼肉を頼むと鮮やかな桃色をした肉が登場し、自然な脂の入り方から、その豚が健康だったことが想像できた。日本語の達者な店主によれば、放牧で育てた栄養価の高い黒豚のみを入れているそう。
食べてみると、脂身がサクっ、モチっとしており歯ざわりが最高! 天然のグミのような弾力があり、噛めば豊潤な肉汁がにじみ出る。肉を鰯(いわし)の塩辛ダレ(網上にある赤いソース)につけて食べると、黒豚のうまみと発酵のうまみが重なり、美味しさが爆発した。厚い豚の皮にもはまった。
黒豚家 汝矣島店(フットンガ ヨイドジョム)
TEL:02-783-8800
ソウル特別市 永登浦区 汝矣島洞44-3
以上のように、グルメ三昧。“Conrad1/3/5”で教えてもらった店はどこもアタリで、初ソウルにしてソウルが大好きになった。聞けば「コンラッド・ソウル」のコンシェルジュたちは、日々新しい店を開拓しており、それ用の予算もホテルから出るという。実際に食べ、「これならゲストに薦められる」と思った店のみを教えてくれるからどこも手堅いのだ。
ホテル自体は5つ星ホテルのスタンダードという印象で申し分なし。特筆すべきは、やはりロケーションのよさと“Conrad1/3/5”があること。スタッフがもつ耳寄り情報は随時アップデートされるので、何度行っても飽きがない。「コンラッド・ソウル」を拠点にしたソウル食べ歩きは、気軽な週末旅にもぴったりだ。2018年の旅先のひとつとして、ぜひともお試しあれ!
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。