腕時計
SIHH2018 ジュネーブサロン・レポート
オーデマ ピゲ
2018.02.27
新作時計の初春到来を高らかに告げる恒例の「SIHH(ジュネーブサロン)」が1月15日から19日まで開催された。昨年は毎年3月に実施される「バーゼルワールド」からジラール・ペルゴとユリス・ナルダンが移行。今年もエルメスが新しく参加したほか、カレ(Carré des Horlogers)と呼ばれる特設会場に17ブランドが出展。大型パビリオンを構える18ブランドと合わせて、過去最多となる35ブランドが競演した。ラグジュアリーな雰囲気の中で静かな熱気が漂う会場で発表された新作から、魅力的なモデルを紹介していこう。
「ロイヤル オーク オフショア」が誕生25周年!
会社としての設立以前から永久カレンダーやミニッツリピーターなどの超高級複雑時計を得意としてきた、スイス・ジュウ渓谷(ヴァレ・ド・ジュウ)の名門老舗ブランド。
今年はロングセラーの「ロイヤル オーク オフショア」が誕生25周年を迎えたことから、各種の新作が登場した。「ロイヤル オーク オフショア」は、世界初のステンレススチール製ラグジュアリー・スポーツモデルの「ロイヤル オーク」をベースとしながらも、よりアクティブでパワフルなモデルとして1993年に追加されたコレクション。ケース径も当時としては破格の42㎜であり、今に至るラージサイズのトレンドを先駆けたといっていい。
誕生25周年を記念する特別モデルの最高峰に位置するのは、「ロイヤル オーク オフショア・トゥールビヨン・クロノグラフ」。内部の構造が見られるオープンワークが施されているだけでなく、ケース外周の肉抜きされたブリッジがムーブメントを吊り上げるように支える独創的なスタイルになっており、次の四半世紀を視野に入れたオーデマ ピゲの革新性を発揮した意欲的な新作といえよう。
数年前から「ファンキーカラー」としてカラフルなダイヤルを展開してきた「ロイヤル オーク オフショア・ダイバー」に、新しくブルーとカーキ、ベージュが加わった。いずれもダイヤルカラーに合わせたラバーベルトをマッチング。個性的なオシャレを楽しめる。
また、日本のブティック限定として、ケースに初の18Kピンクゴールドを採用した新作も。ベゼルとラグのリンクをチタンにすることで、独特のメタリックな雰囲気になっている。
「ロイヤル オーク」では、永久カレンダーにもかかわらずケース厚6.3㎜の極薄モデルが注目できる。歯車などのパーツ製作から精密で高度な技術力が要求されるため、オーデマ ピゲの実力を遺憾なく発揮した新作といえるだろう。発売時期・価格ともに未定だが、同じく超薄型の「ロイヤル オーク・“ジャンボ”・エクストラ シン」はブティック限定モデルとして登場。ケース厚は8.1㎜でケース径も39㎜なので、スーツの袖口にもフィットする。ケースはチタンでベゼルがプラチナ。ダイヤルがスモークブルーとなっており、シンプルな顔つきながらも時計通を魅了するモデルだ。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/オーデマ ピゲ ジャパン 03-6830-0000
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。