腕時計
SIHH2018 ジュネーブサロン・レポート
IWC
2018.03.01

新作時計の初春到来を高らかに告げる恒例の「SIHH(ジュネーブサロン)」が1月15日から19日まで開催された。昨年は毎年3月に実施される「バーゼルワールド」からジラール・ペルゴとユリス・ナルダンが移行。今年もエルメスが新しく参加したほか、カレ(Carré des Horlogers)と呼ばれる特設会場に17ブランドが出展。大型パビリオンを構える18ブランドと合わせて、過去最多となる35ブランドが競演した。ラグジュアリーな雰囲気の中で静かな熱気が漂う会場で発表された新作から、魅力的なモデルを紹介していこう。
創立150周年を記念した「ジュビリーコレクション」
複雑機構を得意としながらも、「パイロット・ウォッチ」などで若者にも人気の高いブランド。スイス時計では数少ないドイツ語圏のシャフハウゼンに本社がある。
今年は創立150周年を迎えたことから、これを記念した「ジュビリーコレクション」として、同ブランドでは初となるデジタル式の時分表示を搭載した「IWCトリビュート・トゥ・パルウェーバー“150イヤーズ”」限定モデルが登場した。大きな数字が記された回転ディスクで時間と分を表示する方式は1884年にポケットウォッチで採用しており、先駆的だった当時の時計師たちにオマージュを捧げたモデルだ。
さらに「ポルトギーゼ」「ダ・ヴィンチ」「ポートフィノ」「パイロット・ウォッチ」の各ファミリーで、それぞれ限定の「ジュビリーコレクション」を発表。“150イヤーズ”とタイトルされた記念モデルは合計で28型、価格も50万5000円~2700万円と幅広いレンジで構成されている。
洗練された知的なデザインで人気の高い「ポルトギーゼ」では、技術的な頂点を示すモデルとして「ポルトギーゼ・コンスタントフォース・トゥールビヨン“150イヤーズ”」。ゼンマイのトルクが低下しても精度に影響しないコンスタントフォース・トゥールビヨンとシングル・ムーンフェイズを初めて組み合わせている。また、永久カレンダーとトゥールビヨンを初めて統合した「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー・トゥールビヨン“150イヤーズ”」のほか、新しい自社製キャリバーを搭載した「ポルトギーゼ・クロノグラフ“150イヤーズ”」などがデビューした。
昨年にトノーから丸形ケースに回帰した「ダ・ヴィンチ」では、新しい自社製自動巻きキャリバー「82200」を搭載。6時位置にスモールセコンドを持つ記念モデルに加えて、206個のダイヤモンドが埋め尽くしたケース径36㎜のムーンフェイズモデルもラインアップ。
「ポートフィノ」はクラシカルで優雅なライフスタイルを過ごすイタリアのリゾート地にインスパイアされて誕生したコレクション。手巻きの8日間巻きムーンフェイズのほか、クロノグラフとオートマチックモデルがあり、それぞれラッカー仕上げを施したホワイトまたはブルーのダイヤルから選ぶことができる。
価格的に手頃で若い人たちにファンの多い「パイロット・ウォッチ」では、3つの限定モデルを発表。このコレクションの中で唯一、年次カレンダーを搭載した「ビッグ・パイロット・ウォッチ・アニュアル・カレンダー“150イヤーズ”」や、大型日付表示を初めて搭載した8日間ロングパワーリザーブ手巻きの「ビッグ・パイロット・ウォッチ・ビッグデイト“150イヤーズ”」が注目できる。
「ポルトギーゼ・クロノグラフ“150イヤーズ”」。自動巻き(自社製「キャリバー69355」)。パワーリザーブ約46時間、ケースはステンレススチール、直径41.0㎜、ケース厚13.1㎜、世界2000本限定、\785,000(税抜き予価)、10月発売予定。 「ビッグ・パイロット・ウォッチ・ビッグデイト“150イヤーズ”」。手巻き(自社製「キャリバー59235」)。パワーリザーブ8日間(192時間)、ケースはステンレススチール、直径46.2㎜、ケース厚15.2㎜、世界150本限定、\1,560,000(税抜き予価)、4月発売予定。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/IWC 0120-05-1868
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。