旅と暮らし
ドバイの宮殿ホテルに泊まりながら、イスラム文化にとことん浸る!
2018.03.20
One & Only Royal Mirage(ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ)
ドバイ
中東への旅は、日本ではまだマイナーなものだろう。例えば、4〜5日の休暇があったとして中東を思い浮かべる人は少ないはず。しかし、実は4日あればドバイでのバカンスをけっこう楽しめる。エミレーツ航空往復で行くモデルプランを考えてみた。
6月8日(金)0:30羽田空港発→6:15ドバイ着→終日ドバイでバカンス
6月9日(土)ドバイでバカンス
6月10日(日)ドバイでバカンス
6月11日(月)8:00ドバイ発→22:45羽田空港着
フライトは行きが10時間45分、帰りが9時間45分。価格はエコノミークラスで約9万円(3月13日調べ)。羽田空港から深夜便があるため、木曜深夜に飛行場に向かえば翌朝にはドバイに到着する。ロングフライトになるので、その日はホテルでゆっくり過ごすのがいいかもしれない。いずれにしろ、なか3日ドバイで過ごすことができる。
さて、本題。ただドバイに行けばいいってものではない。なぜドバイを推したかと言えば、アラビアンナイトにどっぷり浸れる「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」という大好きなホテルがあり、イスラム教のラマダン(2018年は5月15日〜6月14日)の時期に行くのが最高にお得で楽しいからだ。「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」は、世界中のラグジュアリー・トラベラーから圧倒的な支持を受ける「ワン&オンリー・リゾーツ」のドバイ版。
それが、夏はなんと1泊約3万円台と4月の半額(Hotels.com調べ)。ちなみにほかの「ワン&オンリー・リゾーツ」はこの3倍はするので入門編としても最適だ。猛暑であり、特にラマダン中は超高級ホテルがスーパーセールとなるので狙い目。暑いけれど、“ホテルでのんびり、ラマダン見学、お買い物”がむしろ楽しい。これから紹介するように、本当にステキなホテルだし、ラマダンは日本人にとってセンセーショナルな体験となる。
さて、まずはホテルに着いて。ドバイにはそうそうたる5つ星ホテルがあるけれど、中東らしさを求めるのなら、「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」は裏切らない。近代的な高層ビルの顔をしたホテルが多いなか、ここはイスラム建築特有の丸屋根をもち、アラブ風貯水槽が設置され、アラブの王様の邸宅のような庭を有する。そしてホテルに一歩足を踏み入れれば、くらくらするほどエキゾチックで優雅な世界が始まる。
どこを切り取ってもフォトジェニック。イスラム建築らしい鍾乳(しょうにゅう)飾りが廊下に連なり、そこを歩いているだけで、アラブのお姫さま気分(おじさん趣味の私がお姫さま気分になるのだから相当!)。撮影スポットがありすぎて、なかなか前に進めないほどだ。
内装はアラベスク様式を基調とし、周辺諸国からの家具や小物を取り寄せているため、そのミックス感もたまらない。いたるところに生花もいけられ、まさに砂漠のなかのオアシスといったムード。外はめちゃくちゃ暑いけれど、それもまた非日常体験。ちょっと散歩したあとの冷たいプールがあんなに気持ちよかったことはない。スパにはイスラム伝統のお風呂であるハマムを設置し、温かな大理石のベッドの上で身体を洗ってもらえる。
客室は「ザ・パレス」「レジデンス&スパ」「アラビアンコート」の3棟に分かれていて、計452室。そう聞くと巨大ホテルのようだけれど、約8万坪(東京ドーム5.5個分)もの敷地の中に3つの異なるホテルが入っているようなもので、むしろブティックホテルのようなのだ。
ホテルにはモロッコ料理からアジア系創作料理、グリル&バーなど8つのダイニングがあるので“おこもり”でも飽きることはない。昼には中東風アフタヌーンティーを楽しみ、夜はエキゾチックでセクシーなルーフトップバーに行くのがおすすめ。そして、ラマダン中には、ぜひラマダン・テントへ。ラマダンにおいてイスラム教徒は日の出から日没までが断食。20時過ぎにラマダン明けの食事であるイフタールを食べはじめる。そんなシーンに参加できて、シーシャ(水タバコ)も吸えるのがこのラマダン・テントだ。
「ラマダン中にドバイに行くの?」という声も聞くのだけれど、私はこの時期こそイスラム文化を知る絶好のときだと思う。モスクを訪れた際、断食後のご馳走をすごい勢いで一斉に食べはじめるイスラム教徒の光景には圧倒された。デパートではジュエリーも服もサンダルもラマダン・セールで破格となる。そして夜は日中がまんした人々が享楽にふける。観光客はイスラム教徒の前でなければいつでも食事を取れるが、イフタールでは断食明けの雰囲気につられて勢いよく食べてしまった(笑)。
そんなめくるめくラマダン体験の舞台は、お手ごろ価格となる「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」。美しいホテルに滞在しながら、イスラム文化を体験したラマダン・バカンスは、いつまでも色あせない思い出だ。旅はやっぱり、こういうユニークな体験が一番だなと、最近特に感じている。
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。