旅と暮らし
Wホテルとは何なのか?
まずはご近所の台北でその元気さを知るのが楽しい!
2018.05.25
W TAIPEI(ダブリュー タイペイ)
台湾/台北
昨年の10月、マリオット・インターナショナルは2021年に日本で初めてのWホテルとなる「W OSAKA」をオープンさせると発表した。場所は大阪の南船場。計337室、ビル丸ごと一棟でWの世界観を体現する。
「やっと日本にWが!!」と、私もときめいたうちのひとり。さまざまな世界の都市にWホテルがあるなかで、日本だけとり残されているようにWがなかった。その数全世界で約50軒。(2018年5月現在)2020年までに75軒を開業予定だ。なんという景気のよさ!
そもそも、Wホテルとはどんなブランドなのかをご説明。Wホテルはマリオット・インターナショナルが展開するホテルのひとつであり、1998年にニューヨークにて誕生した。その際、24時間眠らない街の文化を色濃く出すことをテーマとし、そんなノリはいまも受け継がれている。平たく言うと、ラグジュアリーにしてイケイケなのだ。
ホテルに入ったとたん、聞こえてくるのはクラブっぽいBGM。デザインはクラシックやコンサバティブなホテルとは対照的で、色彩が多くてLEDを多用した演出も目立つ。都市によってはバーがクラブ化しているWホテルもある。
客室もちょっと面白い。例えば「W バンコク」には巨大で派手なムエタイのグローブ(着用可)が置いてあるし、「W 上海」のクッションは小籠包と箸型。「W北京」はベッドの隣にバスタブが鎮座している。泊まりに来た、というより遊びに来たと思わせてくれる、テンションの上がるディテールで攻めているのがWホテルなのだ。
もちろん5つ星ならではのサービスも備え、Wの文字は“Whenever/Whatever” (いつでもどんなことでも)に応える姿勢を表している。また、ゲストに“WOW!”と言わせるような体験を与えたいという心意気も込められている。
つまりは、Wに似たホテルはいまの日本にはない。では近場だとどこで体験できるかというと、上海、台北あたり。私が初めて泊まったWも台北だった。ということで、「W 台北」を振り返ろうと思う。
「W 台北」は街のなかでも活気に満ちた、信義区の一等地に2011年にオープンした。着いてまず目を奪われるのが、エントランスにある巨大な鎖の柱だ。柱というよりもはやアート。「柱どうする?」「そもそも柱いるの?」「造れるなら面白いほうがいいよね」といったノリで決まったような、なんでもありを予感させる存在感である。
そうして中に入ると、LEDアートがお出迎え。エレベーターホールに進むと、そこには映像の壺が回っている。普通のホテルなら陶器の壺があったりするけれど、そうではなく“なんちゃって”の洒落が効いたハイテクな壺。それが陶器製より面白い。エレベーターにもLEDが駆使され、上にのぼる時間はSF映画の1シーンのようだ。
パブリックスペースのとんがったデザインを目にしたあと、部屋はいかにと思っていると、これが意外や機能的。実はWは、仕事のしやすいホテルでもあるのだ。Wi-Fiも速いし、ビジネスデスクのバランスもいい。なのでビジネスマンにもおすすめしたい。出張のスケジュールが忙しい人ほど、ホテルくらい遊びを感じられる所に泊まるのもいいのでは?
「W 台北」なら館内の3つのバーが充実しているので、外に出る時間がなくても夜に遊ぶことができる。私のおすすめは、31階の「YEN Bar」で「台北101」を眺めながら“ウーロン・マティーニ”を飲むこと。世界屈指の超高層ビルを間近に、茶葉が香るマティーニをあおれば、いつもより少し早くいい気持ちになってしまう。ふたりで使用できる個室もあるので、そこはデートにも最適だ。
最近リニューアルした10階の「WOOBAR」は夜にはクラブになるし、プールサイドの「WET® Bar」ではプールパーティーに参加できる。いずれも金・土の営業は深夜2時まで。もし日中仕事に没頭したら、夜は弾けたほうがいいと思う。そんなメリハリのある滞在ができるのが「W 台北」。台北の夜を振り返ってみると、「W 大阪」への期待が高まる。そして、東京にも早く上陸してほしいと焦がれてしまうのだ。
「W 台北」
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。