腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
センチュリー
2018.08.24

年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
スケルトンの機械式メカをサファイアクリスタルのきらめきが彩る
時計のダイヤルを覆うガラス部分を風防と呼ぶが、現代の高級時計のほとんどはサファイアクリスタルを使用している。サファイアといっても天然ではなく、それと同じ素材の酸化アルミニウム(アルミナ)を人工的に結晶化したものだ。このことからサファイアクリスタル(結晶)と呼ぶのだが、わかりやすくサファイアガラスと表現されることもある。
いずれにしても、モース硬度では10のダイヤモンドに次ぐ9と評価されており、傷がつきにくく、耐久性も高い。無垢の透明な輝きが世代を超えて永続する美しい素材なのだが、硬度が極めて高いだけに、切削や加工は容易ではない。そんなサファイアクリスタルを、風防と一体化したケースとして使用してきた時計ブランドがセンチュリーだ。
2種類のサファイアクリスタルを結合したケース構造で特許を取得した「メガリス」など革新的な技術を開発するだけでなく、熟練した職人によるハイレベルなカッティング技術や時間のかかる繊細な手作業などによって、複雑な幾何学的形状がさまざまな輝きをもたらすロマンチックなスタイルのモデルを発表してきた。このためレディースが主体でバリエーションも豊富だったが、近年はメンズモデルの展開も積極化。
昨年のバーゼルワールドで発表されたスケルトンモデル「エレガンス」が、とりわけ大きな反響を呼んだ。ダイヤルの内側に歯車などが織り成す機械式メカの小宇宙がある一方で、外周には48の繊細なファセットカット(切子面)が施されており、腕にした時計の傾きによって虹色の光がきらめく。税抜きで56万円という価格も魅力に感じられたのではないだろうか。今年はケース径を38.5㎜から42.0㎜と大幅にサイズアップしたストラップモデルの新作も追加された。

また、センチュリーのアイコンである「プライムタイム」にもスケルトンモデルが登場した。こちらは12面のファセットカットに大型のバーインデックスを組み合わせている。ストラップ素材はラバーで、カラーはブラック(写真)、グレー、オレンジの3種類。10気圧防水も実用性が高い。腕もとを明るくするサファイアクリスタルの輝きが、見慣れたメンズファッションを華やかに演出してくれるに違いない。

問/センチュリー 銀座ブティック03-6278-8975
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。