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7つの視点で選ぶ。
男を格上げする「贅沢品」
視点3 唯一
2018.12.04
もう中途半端なものはいらないのではないか。身につけた自分が輝く姿を想像できるような特別なものにだけ惹(ひ)かれる。それは、現代の贅沢品。上質な素材がもたらす肌触りや優れた機能性による快適さなど、7つの視点でいま欲しいものをリストアップした。贅沢品を、自分を磨き上げるためのひとつの手段と考えれば、必要なものが見えてくるに違いない。手にすることで得られる高揚感、それは明日からの活力ともなる。
ここ数年、アイテムのパーソナライズやカスタマイズのサービスを充実させたブランドが増えている。それはITの発展でいつどこでもあらゆるモノが買えるようになり、自分だけの一点モノへのニーズが高まったからだ。パーソナリティーを反映させ、自分だけの所有物であることを強く意識させる唯一のモノ。それは贅沢品のひとつの条件となったとも言える。
<BOTTEGA VENETAのバッグ>
あからさまにロゴを用いない。これはボッテガ・ヴェネタが卓越したクラフツマンシップを背景としながら、抑制の利いたラグジュアリーを志向し、個性を大切にしてほしいという哲学を有しているからにほかならない。無料のエンボスやスタンプに加え、有料でレザーのレタリングパッチを手縫いする充実のイニシャルパーソナライゼーションサービスは、そうした哲学の象徴である。「ダブルスエード デイトート」は上質なダブルスエードを用い、カラフルなファスナーとオーストリッチ革イントレチャートのハンドルが目を引くモデル。鮮やかなレザーレタリングのイニシャルが、唯一無二の個性を添える。縦32×横40×幅20㎝。
<LOCKWOODの傘>
世界でただひとつの一点モノは、持ち主に贅沢な優越感を抱かせる。英国の新鋭アンブレラブランドであるロックウッドの傘は、一本の木から手作業でステッキ状に削り出して作られる。樹皮をそのまま生かしたハンドルから石突と呼ばれる先端部まで、すべて同じ木から作られている。つまり大地に立つ木が一本一本が違うように、ハンドルや石突の表情が異なっており、同じ傘は存在しない。経年変化も楽しめ、まさに自分だけの傘となる。
<MONTBLANCの万年筆>
デジタル化が進んだ現在。200年以上前に原形が発明された万年筆で文字を書く行為はある意味、究極の贅沢とも言える。そんな万年筆の最高峰と称されるモンブランには書き手の筆圧や執筆速度、傾斜角、回転、振り幅などを計測する独自開発のシステムがある。そのデータを基に、熟練職人が書き癖に合わせたペン先を製作するサービスが「ビスポークニブ」である。自分だけの書き味のペンで、この世で唯一のサインをしたためられる。
<SMYTHSONの財布>
自分の持ち物を判別するという実用性に加え、イニシャルには印したモノにいっそうの愛着を抱かせる効果がある。店舗限定で革小物へのイニシャルサービスを行う英国スマイソンの財布を手に取れば、それを実感できるはず。経年変化が楽しめる英国伝統のグレインレザーを用い、職人が細部まで繊細に仕上げた長財布は、まさに完璧な美しさをたたえる。そこにあくまでさりげなく自分のイニシャルを添えることで、手放せない唯一の逸品となる。
Photograph:Osami Watanabe
Styling:Masayuki Sakurai Akihiro Mizumoto
Hair & Make-up:Masayuki(The VOICE)
Text:Yasuhiro Takeishi(City Writes)
Edit:Kenji Washio