旬のおすすめ
7つの視点で選ぶ。
男を格上げする「贅沢品」
視点4 育てる
2018.12.07
もう中途半端なものはいらないのではないか。身につけた自分が輝く姿を想像できるような特別なものにだけ惹(ひ)かれる。それは、現代の贅沢品。上質な素材がもたらす肌触りや優れた機能性による快適さなど、7つの視点でいま欲しいものをリストアップした。贅沢品を、自分を磨き上げるためのひとつの手段と考えれば、必要なものが見えてくるに違いない。手にすることで得られる高揚感、それは明日からの活力ともなる。
多忙な人ほど、最高の贅沢に〝時間〞を挙げる。それはある意味、モノにも当てはまる。使い込むほど味わいを増し、じっくりと時間をかけて〝育てた〞モノは、持ち主にとって掛け替えのない逸品となるからだ。流行のサイクルが速く、あっという間にモノが打ち捨てられてしまう現在。そんなエイジングが楽しめるモノと向き合った時間は、最高の贅沢である。
<HACKETT LONDONのスーツ>

往年のハリウッドスターであるフレッド・アステアは新品のスーツを壁に何度も打ちつけ、味を出してから着用したという。希代のしゃれ者だった彼らしい逸話だが、ハケット ロンドンのスーツは、そんなアステアがこだわったスーツの楽しみ方が味わえる一着だ。フランネルの代名詞である英国フォックス・ブラザーズ社の丈夫な肉厚フランネルを使用。着込むたびやわらかさが増し、こなれて体になじんでくる。シーン不問のチョークストライプ柄に加え、凛々(りり)しい肩まわりやサイドアジャスター付きのパンツなど、普遍的なデザインにより末長く着用することもできる。時が経つほど、手放せないワードローブとなる。
<SOUTHWICKのジャケット>

アメリカのモノづくりは、質実剛健という枕詞とともに語られる。1929年の創業以来、アメリカントラディショナルを支えてきた名門ファクトリーブランド、サウスウィックのジャケットはまさに典型だ。ヘリンボーン織りのツイードを用い、3つボタン段返り、ボックスシルエットという王道のスタイル。末長く愛せる耐久性と普遍性を備えるが、柔軟なライトツイードやわずかにシェイプさせたウエストなどにより、現代的に着こなせる。
<WHITEHOUSE COXのベルト>

“エイジング(経年変化)”という言葉を日本に定着させたのは、ホワイトハウスコックスの功績が大きい。英国伝統の馬具革のブライドルレザーを用いたレザーアイテムは、使い込むことでしなやかさとつやを増し、自分だけの宝物となる。なかでも革本来のナチュラルな表情が味わえるヴィンテージブライドルレザーのベルトは、厚みのある一枚革を贅沢に使用。使いつづけると自分の体形を記憶し、抜群の締め心地となる。30㎜幅で使い勝手もいい。
<ALDENのシューズ>

長年丁寧に履き込んだ革靴ほど美しく、また贅沢を感じさせる足元もない。オールデンの「990 クリッパー オックスフォード」は、そうした贅沢感を満喫できる数少ない靴のひとつだ。素材は磨き込むと美しいつやを帯びる米国ホーウィン社のシェルコードバン。さらに特筆すべきは、1935年に完成されたクリッパーと呼ばれる接ぎのない一枚革のパターンを採用している点。履くたび美しさを増すコードバンをより楽しめるというわけだ。
Photograph:Osami Watanabe
Styling:Masayuki Sakurai Akihiro Mizumoto
Hair & Make-up:Masayuki(The VOICE)
Text:Yasuhiro Takeishi(City Writes)
Edit:Kenji Washio