紳士の雑学
【2021年最新版】スーツは洗濯できる?
ウォッシャブルスーツで試してみた
2018.12.19(最終更新:2021.01.18)
スーツはその構築性や素材の高級さから、家庭での洗濯のハードルは高いもの。スーツにはクリーニングがいいことはわかっていても、通常で1着1000円以上の料金がかかることを考えると、自宅で洗濯できればメンテナンス費の節約になります。ここではその注意点、ノウハウを解説します。
自宅で洗濯できるスーツとできないスーツ
スーツは立体的なフォルムが命。それだけに洗濯には型崩れのリスクがあります。でも最近は素材開発により、ウォッシャブルなアイテムが増えてきました。各メーカーによって仕様はさまざまで、繊維自体に加工を施したウール100%のもの、またウールに比べると強度のあるポリエステルなどの化繊を混紡している(ウォッシャブルの)スーツがあります。
ウォッシャブルスーツ以外は洗えない?
洗濯不可のタグ表示があっても、洗うことは不可能ではないようです 。ただ、次の解説する洗う際の注意点を守っても、型崩れ、生地の毛羽立ちや光沢・風合いが失われるなどのデメリットはあります。このなかでも芯地のずれや裏地に使われているキュプラのよれによる型崩れは、特によく見られるトラブル。安全を期すなら、特殊な溶剤を使う水洗い(汗抜き)のクリーニングがおすすめです。ただし、シルクやカシミアなど高級素材が入っている場合は避けたほうが無難です。
ウォッシャブルスーツを洗濯する正しい手順
ウォッシャブルスーツとはいえ、ただ洗濯機に入れればいいわけではありません。洗い方にはそれなりの配慮が必要です。
まず、ポケットの中のものはすべて出しましょう。洗う際は穴あきやほつれなどのダメージがないかをチェック。汚れたほうだけではなく、ジャケットとパンツはまとめて洗うほうが、洗い終わった後の色や素材感で差が出ることがなくベター。それぞれきれいにたたみ、ジャストサイズのネットに入れるのを忘れずに。洗剤はおしゃれ着用の洗剤を使い、目立たぬところで変色しないかを確認してください。
洗濯機のモードはドライコースの設定で。脱水も1分程度と短めにしてください。洗濯が終わったら、なるべく早く外へ出しましょう。乾燥機はもちろん、脱水機、手で絞るも型崩れの原因となるので厳禁です。ウォッシャブルスーツ以外でもこのノウハウは同様ですが、より確実を期するなら手での押し洗いが安心です。
洗濯以上に、乾燥には注意が必要
干すのは日陰が鉄則。紫外線は生地を変色させます。ジャケットは肩に厚みのあるハンガーを使用。スラックスもウエストが上になるように吊るしてください。人が着用した状態に近くなるように干すことが、型崩れを防ぐコツです。このとき、軽く叩いてしわを伸ばしておくといいでしょう。
ある程度乾いたら、あて布をし、低温のアイロンがけでしわを伸ばしてください。また、あまり力を入れすぎないように注意。高温、過度なプレスは生地にテカリが出る原因になります。アイロン終了後は速やかにハンガーにかけて保管してください。
またスチーマーを使うのも効果的。最初からハンガーにかけた状態で蒸気をあてながら出来るのが便利です。ただアイロンほど一度で広範囲をカバーできないのが難点。その意味でアイロンをあてた後、取り切れないしわをスチーマーを使ってカバーするのが理想的です。
まとめ
終日着用するスーツは汚れやすく、ダメージは少なくありません。ただ体にフィットすることが前提なだけに、家庭での洗濯のような手軽なケアが難しいのが悩みどころです。幸い、高温多湿な風土に加え、繊維の研究と技術が進んでいる日本は、他国に比べてウォッシャブルスーツが豊富です。迅速さとランニングコストを優先するのであれば、その機能性を活用するのが賢明と言えます。
①スーツは立体的なもの。家庭での洗濯は型崩れなどのトラブルの原因に。
②ウォッシャブルスーツの機能は進化。まずはこちらからメンテにトライ。
③ウォッシャブルスーツは万能ではない。洗い方にも丁寧なケアを忘れず。
Photograph:Tomoka Tanaka(kiitos)
Styling:Yukihiro Yoshida
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)