紳士の雑学

忙しいビジネスマンのほったらかし投資術講座
Vol.3 リバランスのススメ

2019.03.06

写真・図版 板倉 京

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お小遣いを切りつめてコツコツ貯金はしているけれど、子どもの学費や家のローンなど、お金の心配は尽きないもの。資産運用に興味があっても、なんだか怖いし何から始めたらいいかわからないという人も多いことでしょう。そんな資産運用初心者のために、全3回の連載で基本的な知識とオススメの資産運用の方法をお伝えいたします。

前回は、ほったらかし投資には「分散投資」がオススメだとお話ししました。分散して投資をすることで、ある商品が値下がりしても、別の資産でカバーしていくことが可能となり、短期的な値動きに一喜一憂せずに資産を運用していくことが可能だからです。

分散投資のスタート時には、ポートフォリオを考えよう

投資を行うときには、自分の実現したいリターンがどのくらいなのか、そのリターンがどの程度のリスクでとれるのか、ということを考えながら投資先を決めていきます。分散投資をするうえで大事なことは、どの資産にどのくらいの割合を投資するかという「投資割合(ポートフォリオ)」です。

基本的には「株」の比率が高いほど高い利益が期待できる半面、リスクも高くなります。そして「債券」の比率が高ければ利益は低くなりがちですが、リスクも低いと言えます。

資産を大きく増やしたいなら「株」の比率を高くし、安定的に運用したいなら「債券」の比率を高くします。どちらとも選べない場合にはそれらをバランスよく運用する、といったように資産配分を決定していくのです。

ポートフォリオを維持するために必要なリバランス

しかし、投資商品の価格は日々変動しています。図のように、仮に「日本株」「海外株」「国内債券」「海外債券」をバランスよく25%ずつとするポートフォリオで投資をスタートしたとします。その後「日本株」「海外株」の価格が2倍になり、「国内債券」「海外債券」の価格が半分になってしまったら……そのバランスは崩れることになります。

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トータルで見れば資産が増えたことになってうれしい。しかし、これでは当初設定した全体のバランスとは異なってしまうため、そのまま放置して運用すると「株式」の比率が高くなり、いわゆる「高いリスクをかかえるポートフォリオ」になってしまいます。

そこで、知っておいていただきたいのが「リバランス」です。

「リバランス」とは、ポートフォリオを整え、理想としているリスク・リターンの形に戻す作業です。「株式」の比率が大きくなれば、想定よりも高いリスクを抱えることになり、「債券」の比率が大きくなれば、リスクは低くくなる半面、期待しているリターンの実現が難しくなります。

せっかく自分に合ったポートフォリオを設定しても、投資価格の変動による比率の変化をそのまま放っておけば、そのバランスは崩れてしまいます。そのために「リバランス」が必要になるというわけです。

「リバランス」には、ほかにも効果があります。投資で稼ぐことの基本は、安く買ったものを高く売ることです。リバランスをする過程を考えてみてください。

例えば株が値上がりし、値下がりした債券を買い足すということは、買ったときの金額よりも高くなった株を売却して利益を得て、値が下がってお買い得な債券を購入するということになります。リバランスは、投資で利益を出すために理にかなった方法なのです。

忙しいビジネスマンがほったらかしのままリバランスする方法

リバランスは、できれば年に一度、もしくはバランスが大きく崩れたときにしていただきたいと思います。しかし、今回のテーマは「忙しいビジネスマンのほったらかし投資術講座」ですから、忙しくて資産の見直しにまで手が回らない!という方に、ほったらかしたまま「リバランス」をする方法を紹介します。

バランスファンド
投資信託の一種です。
国内外の株式や債券、リートなどがバランスよく配分されています。
配分の比率は、各商品によって異なりますが、当初設定したバランスが崩れた場合は、運用会社がリバランスをしてくれます。

ファンドラップ
証券会社や信託銀行などの金融機関に投資判断を一任する契約を結んで、資産の運用から管理までをしてもらうサービスです。
契約時に、投資方針(どのくらいのリスクがとれるのか、どのくらいのリターンを期待するのかなど)を決定し、その投資方針に沿って金融機関が定期的なリバランスをするほか、投資対象の見直しも行ってくれます。

ロボアドバイザー
AI(人工知能)を利用して資産管理や資産運用のアドバイスを行うサービスです。
投資方針などに関するいくつかの質問に答えることで、人工知能がユーザーの資産規模やリスク許容度を自動的に判定して、最適な投資アドバイス、実際の投資運用までも行うサービスです。
ロボアドバイザーのなかにも、自動でリバランスをしてくれるものがあります。

投資のススメ

これで、今回の連載は終了です。3回お付き合いいただき、ありがとうございました。

最後にひとつ。「投資をする」というと「株でもうける」と考える方が多いのではないでしょうか。でも実は、どんな経済のプロでも株の値動きをピタリと的中させることは至難の業。「株でもうける」ことは、ある意味ギャンブル(投機)のようなもので、とても難しいのです。

本来の意味での「投資」は、長い時間をかけて資産を増やしていくこと。リスクをなるべく軽減して、ゆっくりと資産を増やすことです。そのために知っておいていただきたいことを、この連載でお伝えしてきました。

これをきっかけに、投資を行う人が増えてくれたら、とてもうれしいです。

Vol.1 ほったらかし投資のススメ はこちらから

Vol.2 つみたてNISAのススメ はこちらから

プロフィル
板倉 京(いたくら・みやこ)
成城大学を卒業後、保険会社・財産コンサルティング会社、税理士法人等で主に個人の資産や相続の業務に携わる。2009年に日本初の開業女性税理士の集団、株式会社ウーマン・タックスを立ち上げ代表を務める。2016年より、株式会社WTパートナーズ代表。あさイチなどのテレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Tomonori Kobayashi

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