腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
オリス
2019.07.26
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
ビンテージテイストのGMTとスタイリッシュなダイバーズ
時計の日付表示はダイヤルの小窓に数字が主流だが、もともとは指針が日付を示すポインターデイトが始まりだった。1カ月の始まりから終わりまでの流れを視認できることが特徴だ。オリスでは、このポインターデイトと、手袋を着けたままでも操作しやすい大型リュウズを備えたパイロットウォッチ「ビッグクラウン ポインターデイト」を1938年に発売。世界的なベストセラーとなった。
オリスを代表するアイコンウォッチとしてさまざまな派生モデルが製作されてきたが、昨年はコレクション誕生80周年。これを記念して、ブロンズケースにカーキグリーンのダイヤルの特別モデルを発表したほか、今年もディープレッド、ディープブルーのダイヤルモデルなどを追加している。
新作の「ビッグクラウン プロパイロットタイマー GMT」は、ポインターデイトの代わりに第2時間帯表示を搭載。ダイヤル外周の24時間計を、赤い三角のシンボルを有する針が指し示す。海外では母国時間にしておくと便利な機構だ。日付がなくなったわけではなく、外周の表示の重なりを避けて3時位置の小窓に。秒も9時位置にスモールセコンド表示。中央で同軸の針は時・分とGMTの3本しかないため、ダイヤルのブラックフェースともコントラストして、視認性は抜群だ。
それだけでなく、両方向に回転するベゼルも有しており、こちらは60分計を表記。ベゼルの黒三角を分針に合わせるだけで、簡単に経過時間を計測できる(最長60分)。第2次世界大戦中に英国空軍のために開発されたVentileと呼ばれる布製ストラップが、往時のパイロットウォッチをイメージさせる。シートベルトからインスパイアされたクラスプ「リフト」も使いやすい。
空だけでなく、海に潜るためのダイバーズウォッチでも「グレートバリアリーフ リミテッドエディション」と「アクイス デイト レリーフ」が登場した。どちらもシャイニーなダイヤルが魅力の300m防水モデル。前者は世界最大の珊瑚礁といわれるグレートバリアリーフの環境保護を支援するための限定モデルで第3弾となる。
「アクイス デイト レリーフ」は探検スイマーのアーネスト・ブロメイスとパートナーシップを締結。こちらも水資源保護を啓発するためのモデルだ。放射状の輝きを放つ鮮やかなグレーダイヤルに、アプライド(植え込み)で立体的なバーインデックスが高級感。蓄光式蛍光を塗布するための円形シンボルを備えた赤い秒針が、目を引くアクセントになっている。ベルトも同色であり、タウンユースとしてもスタイリッシュに仕上がっている。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/オリス 銀座ブティック 03-6228-6866
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。