腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
カール F.ブヘラ
2019.07.31

1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
歴史的なモデルを再解釈したエレガントなクロノグラフ
時代は繰り返すといわれるが、時計も1950~60年代のヴィンテージスタイルが目立つようになってきた。懐かしさを感じさせるエレガントなフォルムと特徴的なディテールが、新たな魅力として再認識されているのかもしれない。
スイス・ルツェルンで1888年に開業した時計宝飾店をルーツとするカール F.ブヘラも、1956製作の2つ目玉のクロノグラフをリファインした「ヘリテージ バイコンパックス アニュアル」を発表。優美なフォルムを継承しながらも、ケース径を41㎜に拡大してアニュアルカレンダーも新しく搭載している。12時位置の下に大型分割式の日付表示を配置。4時〜5時位置の小窓に英文で月を表示するなど、ヴィンテージとモダンを絶妙に融合した新作だ。
このモデルはステンレススチールと18Kローズゴールドのコンビ(トップ画像)、またはステンレススチールケースの2種類で各888本の限定だが、レギュラーモデルでは「マネロ フライバック」もレトロな雰囲気が漂う。滑らかな丸みを帯びたケースに、マッシュルーム型のクロノグラフ・プッシュボタンが印象的だ。その一方で、シルバーカラーの2つのサブダイヤルが機能性をアピール。このブランドの特徴である立体感の高いクサビ形バーインデックスが全体を引き締めている。「FLYBACK」とクロノ秒針のレッドが、サンバーストのブラックダイヤルに映える。
カール F. ブヘラでは、数年前から絶滅危惧種のマンタ(大型エイ)を保護する活動を支援してきた。新作のダイバーズウォッチ「パトラビ スキューバテック ブラックマンタ スペシャルエディション」もその一環であり、収益の一部がイギリスに本部を置く保護団体のマンタトラストに寄付される。軽量のチタンケースで500m防水。飽和潜水からの浮上時にヘリウムガスを放出できるエスケープバルブを備えた本格派だ。潜水時間を管理できる回転ベゼル(逆回転防止機構付き)も傷がつきにくいセラミック製。ペットボトルをリサイクルしたテキスタイルをストラップに使用している。何よりもダイヤルに大きく描かれたマンタが印象的。ケースバックにも、その姿がエングレーヴされている。


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問/ブヘラジャパン 03-6226-4650
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。
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