紳士の雑学
ペイズリーのネクタイ
[Vゾーンラボラトリー]
2019.10.21
ネクタイの達人、アイネックスの並木孝之氏に教わるVゾーンテクニック。今シーズン注目すべき5つのキーワードとおすすめのネクタイをご提示いただき、それぞれのコーディネート術をご伝授願う。その3つ目はじわじわと関心が深まり、いま最も注目を集めるモチーフ、ペイズリーの登場だ。
「ペイズリーは、トレンドということもあってファッション性の高い柄と捉えられがちですが、もともとオーセンティックな柄のひとつですから、ベーシックなアイテムに実は無理なく採り入れることができます」(並木氏)。ピンクにネイビーのモチーフのペイズリータイもこれだけを見るとファンシーな印象だが、ブルーの正統派ストライプのシャツとネイビーのスーツを合わせ、ブルー系のトーンで調えれば、エレガントなVゾーンに仕上げることができる。
「はっきりしたペイズリーには気後れしてしまう場合は、モチーフが小さいものを選べば手に取りやすいでしょう」(並木氏)。たとえば、ここで紹介するネクタイはペイズリーの大きさや配置がクラシックなスタイルを踏襲しているので、小紋の延長のように扱える。また、渋みのあるパープル地はさほど派手ではなく自分らしさを表現できるので着目したい。柄のブルーになじむサックスのシャツとネイビーのジャケットを合わせるとシックなビズスタイルが仕上がる。
「大柄のものや派手に感じるものも、シャツとスーツを組み合わせたVゾーン全体をひとつの絵として捉えることで、統制の取れた見栄えに調えることができるようになります」(並木氏)。ベースに対して大きなペイズリーのこちらのタイは色数が控えめで同調しやすいデザイン。柄色に合わせた白シャツに、ネイビーに限りなく近いパープルの地色と好相性のグレーのスーツを合わせる。スーツは光沢を抑えた起毛系を選ぶことで大柄の印象を中和させている。
「無地場が広く柄の間隔に開きがあるペイズリータイは、無地感覚で捉えることができるので受け入れやすいもののひとつです」(並木氏)。同系色のモチーフ使いで、よりブラウンソリッドに見立てやすいこちらのタイは、このようなストライプのスーツと調和し、クラシックな感覚でコーディネートできる。さらにストライプと同色のホワイトシャツをあてることで、それぞれを引き立たせている。
「スモールモチーフで無地感覚に扱うことができるペイズリーですが、ベースカラーに明度の高い色を選べば、アクティブな印象を演出することができます」(並木氏)。前回は濃色のブラウンでクラシックなスタイルを紹介したが、今回は明るいベージュを選ぶことで快活さを表現。ベースの色を引き立たせる濃いグレーのスーツは濃色のモチーフともバランスよく収まる。シャツはスーツのストライプ色を引き立てる白を選びハーモニーを形づくる。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
Photograph:Ryohei Oizumi(2S studio)
Styling:Takayuki Namiki, Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Text:Koki Nakasu