スーツ

ビジネススーツのマナーとは?
黒はOK? 選び方やおすすめブランドを解説

2020.09.15

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ビジネススーツはオフィスで働く男性にとって、必要不可欠な仕事着。そしてビジネススーツには着こなしのさまざまな決まりごとやマナーがあります。この記事では、ビジネススーツの着こなしのマナーやおすすめブランドなどを解説していきます。

ビジネススーツとは? フォーマルスーツとリクルートスーツとの違い

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ビジネススーツとは、その名のとおりビジネスシーンにおいて着用するべきスーツのこと。グレーやネイビーなどダークカラーのスーツが「ビジネススーツ」として適しています。ただし黒のダークスーツに限っては、実は着ているのは日本人ビジネスマンだけ。欧米のビジネスマンが黒のビジネススーツを着用することは、ほぼあり得ません。

ビジネススーツとフォーマルスーツの違いについて、一般的に冠婚葬祭で着るフォーマルスーツの「略礼装」は、ブラックスーツを指します。黒のビジネススーツよりも、フォーマルなブラックスーツは色がより黒いのが特徴。深い黒色で、上品な光沢のある良質なウール素材で仕立てられたものが、フォーマルスーツと呼ばれるブラックスーツです。

リクルートスーツについては、就活時だけの短い期間に着るスーツです。就活生でも買える価格帯に抑えるために、安価な素材が使われていることが多いです。ビジネススーツはリクルートスーツよりも素材がよく、着心地や耐久性にも優れています。

ビジネススーツのパーツの名称・専門用語

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ビジネススーツの各部分には、それぞれ名称があります。

上襟(カラー)

ビジネススーツのジャケットの襟は、2つのパーツから構成されています。上側についているパーツが上襟で、カラーと呼ばれます。形のバリエーションはほとんどなく、至ってシンプルです。

下襟(ラペル)

上襟の下側についているパーツが下襟。ラペルとも呼ばれるパーツです。一般的なのが「ノッチドラペル」と呼ばれるひし形の襟です。ノッチドラペルを選んでおけば、間違いはありません。他人と差をつけたいなら「ピークドラペル」。日本では「剣襟」とも呼ばれる、下襟の角度を上げた形です。ピークドラペルはシャープで、ややフォーマルな印象を醸し出してくれます。

飾りボタン穴(ラペルホール)

ビジネススーツには、昔のデザインの名残といったものがあり、そのひとつが飾りボタン穴(ラペルホール)です。これは、下襟(ラペル)についている襟穴のこと。もともとラペルホールとはボタンを留める穴で、立ち襟だった時代の名残。かつて貴族たちが小花や花飾りを挿したことから、「フラワーホール」と呼ばれるようになったとの説もあります。社員証などのバッジを留めるのは、日本だけの慣習なのでご注意を。

胸ポケット(ブレストポケット)

ビジネススーツのジャケットの胸部分につけられているポケットは、ブレストポケットやチェストポケットと呼ばれます。男性用のビジネススーツの胸ポケットは、ブレストポケットと呼ばれます。ブレストポケットは、装飾用のハンカチーフ(ポケットチーフ)を挿す用途でつけられています。ビジネススーツの胸ポケットには、箱ポケット(ウエルトポケット)やバルカポケットが用いられることがほとんどです。

前ひだ(フロントダーツ)

ジャケットの前身頃の胸から腰にかけて縦に入れられている、つまんで縫われた部分を前ひだ(フロントダーツ)と呼びます。ウエスト部分をスマートに見せる効果があります。このフロントダーツを大きく取れば取るほど、バストとウエストの差(ドロップ)が大きくなります。着心地がよくなり、美しいシルエットを作り出せるといったメリットがあります。

前裾(フロントカット)

ビジネススーツのジャケットの前裾(フロントカット)部分は、大きく分けて丸型と角型の2種類があります。そして、丸型のフロントカットのことを「ラウンデッドフロント」、また角型のフロントカットのことを「スクエアフロント」と呼びます。ラウンデッドフロントの先端から裾にかけての丸みは種類がいくつかあり、「レギュラー」が一般的。レギュラーよりも丸みが大きいものを「大丸カット」、丸みが小さめなものを「小丸カット」と言います。

襟刻み(ゴージ)

カラーとラペルの縫い目を、襟刻み(ゴージ)と言います。ビジネススーツにも流行があり、ゴージの位置や形状は時代により変化します。ゴージはジャケットの印象を決めるうえで、重要な要素のひとつです。

脇ポケット(サイドポケット)

ビジネススーツのジャケットの、脇の部分につけられているのが脇ポケット(サイドポケット)です。サイドポケットの種類はいくつかあり、ビジネススーツのサイドポケットでいちばんスタンダードなものは、フラップポケットです。フラップとはふたのこと。フラップがつけられる目的は、屋外で雨や塵(ちり)がポケットに入り込むのを防ぐことです。またフラップがないスリット式ポケットのことは、「玉縁ポケット(パイピングポケット)」と呼びます。屋内での着用を前提としたデザインで、ややドレッシーな印象です。

袖口(カフ)

ジャケットの袖口のことを「カフ」と言います。「本切羽(ほんせっぱ)」と呼ばれるものは、古来のボタンつけにのっとった、袖口が開く仕様。また、ボタンホールのように見せかけたかがり糸の上に、ボタンを並びつけるのが「並びつけ」です。これは、本切羽のように実際に開く袖口ではなく、あくまで飾りです。

ボタン

ビジネススーツのシングルタイプのジャケットには、「2つボタン」と「3つボタン」があります。基本的には、ジャケットのボタンは全部は留めません。2つボタンジャケットの場合は、上側のボタンのみ留めるのがマナーです。3つボタンならば、いちばん上と真ん中の2つを留めます。段返りの3つボタンの場合は、真ん中のボタンのみ留めます。

ビジネススーツを選ぶときのポイント

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ビジネススーツは長期間着るものなので、自分なりにこだわってお気に入りの一着を選びたいものです。ビジネススーツを選ぶときのポイントを解説します。

スーツの形

ビジネススーツの形には、大きく分けて「シングルスーツ」と「ダブルスーツ」があります。最もスタンダードなシングルスーツは、フロントのボタン配列が1列のものを指します。新入社員でもベテランビジネスマンでも似合う、オーソドックスなビジネススーツの形です。

一方ダブルスーツは、フロントのボタンの配列が2列になっているもの。ボタン数は、4つや6つなどがあります。シングルスーツよりもフォーマル感が強く、体格のいい方が似合うとされています。バブル時代の80年代には、このダブルスーツが大流行しましたが、いまでは上級者向けのデザインとされています。

ビジネスマンは、シングルスーツを選んでおけばまず間違いはありません。

ビジネススーツの基本の色は、ネイビーまたはグレー。ブラックスーツを着たビジネスマンも見受けられますが、ブラックスーツは本来、冠婚葬祭用に日本人が独自に考案したものです。欧米のビジネスマンがブラックスーツを着ていることは、まずありません。

ネイビーのビジネススーツは、リクルートスーツのイメージが強いですが、清潔感と信頼感を与える色として、キャリアを重ねたビジネスマンにも似合います。グレーのスーツは、ライトグレーやダークグレーなど色のトーンによって印象はがらりと変わります。チャコールグレーはビジネスシーンにはもちろん、セミフォーマルな場にも着用することが可能です。

また、ブラウンのビジネススーツもあります。しかし黒髪の日本人では、どこかくだけた印象を与えるため、ビジネスシーンでスマートに着こなすにはハードルが高いようです。

ビジネススーツの無地以外の柄選びはまずはストライプを考えるといいでしょう。チェック柄のビジネススーツは、少々派手に見えてしまいます。ストライプ柄とひと口に言っても、その種類はさまざまなものがあります。「チョークストライプ」は、チョークで引いたようなかすれたタッチが特徴です。秋冬用の起毛感のあるスーツ生地に用いられます。印象が強いため、ビジネスシーンにおいて相手に存在感を残しやすいです。

「ペンシルストライプ」は、鉛筆で線を引いたような細めのストライプ柄。ビジネススーツのストライプ柄としては最もスタンダードなデザインです。控えめな印象のため、主張しすぎず、幅広いシーンになじみます。

「ピンストライプ」は、針先のような細かい点を連ねて線を描いたストライプ柄です。遠目には無地に見え、近づかなければストライプ柄が入っているとわからないほどさりげない、最も控えめなストライプ柄です。

サイズ

ビジネススーツは、サイズ選びも非常に大事です。タイトすぎるスーツも、大きすぎるスーツもよくありません。着丈や袖丈にこだわり、ジャストサイズのものを選ぶようにしましょう。

まず着丈ですが、現時点ではベテランビジネスマンは長すぎて、逆に新入社員は短すぎる場合が多いです。これは、ビジネススーツの着丈にも流行があるためです。理想的な着丈は、頭の先から地面までの長さの半分と考えてください。ヒップの曲線がちょうど隠れる長さが適切と覚えておきましょう。ちなみに、最近は、そこから1センチほど短めにするのがトレンドです。

袖丈は、多くのビジネスマンが長すぎるスーツを着ています。これは成長期にある学生時代に、ジャストサイズよりも大きめの制服を選ぶ傾向にあったのが原因との説があります。基本的に袖丈は、手首に合わせます。左右の腕の長さがアンバランスな人はかなりいるので、左右の袖丈のバランスにも注意を払う必要があります。

スーツの着こなしのマナー

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ビジネススーツには着こなしの基本ルールがあります。何も知らずに崩した着方をしていると、周りから「だらしない人、いい加減そうな人」という印象をもたれてしまいかねません。まずは、基本的な着こなしのマナーを知っておきましょう。

ボタンは全部留める?

ビジネススーツは、シルエットが美しく出るように立体的に作られています。そのフォルムを崩さないように着るのが着こなしのマナーです。

まずフロント部分のボタンですが、前述のとおり、いちばん下についているボタンは留めません。いちばん下のボタンは飾りであり、留めるとスーツのシルエットが崩れてしまいます。

座るときボタンははずす?

ジャケットのフロントについているボタンは、椅子に座るときなどにははずすのがマナーです。座った姿勢なのにボタンをかけたままだと、ビジネススーツ全体のシルエットが崩れてしまい、美しく見えないからです。立ち上がる際に、さりげない動作でボタンを留めるとスマートですね。

フラップポケットのふたは出す? 出さない?

ふたがついているのがフラップポケットです。ビジネススーツで最も多いポケットのデザインです。このフラップポケットのふたには、屋外にいるときに雨や塵(ちり)がポケットに入ることを防ぐ役目があります。

そのため、屋外に出るときはフラップポケットのふたは出し、屋内に入るときは内側に入れることが基本的な着こなしのマナーです。

ビジネススーツに黒はあり?

これまで解説してきたように、本来の意味でビジネススーツには黒はふさわしいものとは言えません。ブラックスーツは冠婚葬祭用に日本人が考案したもの。欧米のビジネスマンが、ビジネスシーンでブラックスーツを着ることはありません。

ブラックスーツを着ることに強いこだわりがないのであれば、黒は選択肢からはずすのが賢明です。

何色を選ぶべき?

ビジネススーツは、ネイビーかグレーを選ぶようにしましょう。無難な色ですが、グレーひとつとっても「ライトグレー、ダークグレー、チャコールグレー」などのさまざまな色みがあり、選択肢は豊富です。シックな着こなしを目指すなら、ダークグレーやチャコールグレーのビジネススーツがおすすめ。明るすぎるグレーの場合、人によってはカジュアル感が強調された印象になってしまうため、注意が必要です。

ベントは何がいい?

ベントとは、ジャケットの裾に入った切れ込みのこと。最もクラシカルなのは「ノーベント(切れ込みなし)」と呼ぶタイプで、フォーマルな印象です。しかし、ベントがあったほうが機能性が高まり、ビジネスマンに向いています。後ろ身頃の中央に切り込みがある仕様の「センターベント」が基本。センターベントの一種で、ベントの上部がかぎ形(フック)に曲がった形状のフックベントもあります。ジャケット両サイドに切り込みがある「サイドベンツ」というデザインも人気があります。サイドベンツは、ポケットに両手を入れてもシルエットが崩れにくいという特徴があります。

おすすめのビジネススーツブランド

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最後に、おすすめのビジネススーツが入手できるブランドを5つ厳選して紹介します。自分の予算や、好みのスタイルに合わせてスーツを選ぶ際の参考にしてください。

五大陸

はじめに紹介する五大陸は、「日本初世界服」をコンセプトとしたスーツ ブランド。イギリスの伝統、フランスの華やぎ、イタリアの粋、アメリカの合理性。それらを意識しつつ、全てを日本の繊細な技術によって仕立てる、「ジャパニーズ・ジェントルマン・スタンダード」を提案してます。

2020年のシーズンテーマは、パリらしい「フレンチトラッド」「モード」「古着」「マリンスタイル」。こうした要素を採り入れ、コーディネートの楽しさを提案しています。高品質かつ納得感のある価格設定を実現した、日本発の誇りを感じさせるブランドです。

dunhill (ダンヒル)

ダンヒルは、イギリスを代表する高級ファッションブランドです。アルフレッド・ダンヒルが21歳のときに、父親の馬具専門製造卸売業を受け継ぎ、さまざまなアイデアで事業を拡大していった結果、世界的な会社になるまでになりました。ライターなど喫煙具でもおなじみのダンヒルですが、ココ・シャネルとの出会いをきっかけにイギリス紳士スタイルに目覚めます。現在ではスーツを中心としたメンズファッションやレザーアイテム、ライター、アクセサリー、フレグランスなど幅広く展開。英国スタイルの装いを目指すなら、ダンヒルがおすすめです。

D'URBAN(ダーバン)

ダーバンは1970年にスタートした国産のファッションブランドです。「最高の品質の洋服を作る」という姿勢は、ブランドデビュー以来変わることはありません。ダーバンは1998年、品質管理の国際基準「ISO9001」を取得することで、モノづくりの精神を明確に表現しました。その確固たるポリシーは、「ああ、ダーバンだ。という一言のために」というキャッチコピーに表れています。2013年、ダーバンは百貨店バイヤーズ賞の大賞を3年連続で受賞。翌2014年にはビジネス&トラッド部門の1位を11年連続で受賞するという快挙を成し遂げました。生地や縫製技術にもこだわった良質なスーツがラインアップされています。

ESTNATION(エストネーション)

2001年にオープンした有楽町店からスタートしたブランド、エストネーション。「エストネーションから世界へ、東京発信」をキャッチフレーズに、毎日をポジティブに暮らす人々がより輝けるよう、心ときめくファッションアイテムを展開しています。「エストネーション」というブランド名は「東の国」という意味をもち、それはまさに「東京発信」を表現するもの。東京がもつ独自のエネルギーをファッションに落とし込んだ、個性豊かなスタイルを提案しています。セレモニースーツなどもそろい、スマートでありながら遊び心も忘れないディテールワークが魅力のブランドです。

Paul Smith(ポール・スミス)

ポール・スミスはイギリスのノッティンガム出身のファッションデザイナー、ポール・スミスがスタートしたブランドです。1970年にノッティンガムに初めての店を開店。当初はマーガレット・ハウエルやケンゾーなどのアイテムを取り扱っていました。その後、徐々に自身の名を冠した商品の取り扱いを開始。1976年には初めてのファッションショーをパリで開催し、以降、毎シーズンパリでメンズコレクションの発表をするようになりました。「ひねりのあるクラシック」をコンセプトとしたポール・スミスの服は伝統的な技術、仕立てと遊び心が共存する個性的なもの。ブランドのシンボルともなっている色鮮やかな花柄やストライプ柄、写真をプリントしたものなどをメンズファッションにいち早く採り入れ、大成功を収めました。日本でも人気があり、ビジネスマンがスーツを選ぶときの選択肢として有力なブランドです。

まとめ

ビジネススーツを着こなすうえで重んじるべきは「個性」よりも「マナー」。各パーツの名称や役割といった基礎知識も踏まえてマナーを心得ておくことで、着こなしに自信がみなぎり、ワンランク上の大人のスーツスタイルが楽しめます。また、マナーを知る過程でスーツスタイルへの造詣も深まり、愛着も増すでしょう。学んで、着こなし、ビジネスにおけるスーツスタイルをいま以上に楽しんでみてはいかがでしょうか。

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