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ビジネススーツに合うコートとは?
種類やおすすめのブランドを解説

2020.10.02

ビジネススーツに合うコートとは?<br>種類やおすすめのブランドを解説

寒い季節のワードローブのマストアイテムと言えばコート。スーツの上からコートをはおり、さっそうと街を歩くビジネスパーソンの姿はりりしく、注目を集めます。

この記事では、ビジネスシーンで映えるコートの種類やコートを着こなすポイント、そして、ビジネススーツに合うコートを展開するブランドを解説します。

ビジネススーツに合うコートの種類

ひと言でコートと言っても、フォーマルシーンに合うものからカジュアルなものまで多くの種類があります。ここではビジネススーツに合うコート7種類を紹介します。

ステンカラーコート

ステンカラーコート

ステンカラーコートは日本のビジネスシーンで多く見られるポピュラーなコートです。特徴はシンプルなデザインと襟にあります。ラグランスリーブでAラインのものが主流です。

ラグランスリーブは肩や脇に余裕があるので、スーツを着ていてもコートの脱ぎ着が比較的に楽になります。また、Aラインは見栄えがよく、スタイリッシュな印象を与えるシルエット。丈はショートやミドル、ロングなど選択肢が豊富です。

襟の後部が高く、前襟のボタンは留めても留めなくてもOKで、シチュエーションやコーディネートに合わせて使い分けます。

時代の変化とともにコートも変化しており、ステンカラーコートにもセットインスリーブやスクエアなシルエットのデザインなどが採用されてきています。

素材もさまざまで、ウールやカシミヤなどを用いたものは主に冬用です。綿やポリエステル、ナイロンを使用したコートは、撥水加工が施されていて、内側がライナーになっているものもあります。ライナーを取りはずせば、春先用や小雨程度ならレインコートの代わりにもなるものもあり、外用途に応用できます。

チェスターコート

チェスターコート

チェスターコートは、18世紀のグレートブリテン王国の政治家だった第4代チェスターフィールド伯爵が着ていたコートが由来とされており、いまでもチェスターフィールドコートと呼ばれることもあります。

チェスターコートの特徴は、襟部分のディテールがスーツやテーラードジャケットと同じということです。シングルブレストにはノッチドラペルが用いられ、ダブルブレストにはピークドラペルを用いるのが一般的。丈はロングが多いので、身長やスタイルに合わせてサイズ感のバランスを意識する必要がありますが、うまくコーディネートすればスマートに着こなせます。

デザインは、ウエストが絞られたドレスチェスターとウェストが絞られていない箱型のサックチェスターがあります。よりドレッシーで格調が高いのがドレスチェスターです。

素材は、ウールやカシミヤ、アルパカなどが主流で、ポリエステルやアクリルが混紡されたものもあります。カシミヤやアルパカはつや感がよくて、手触りや保温性のいい高級素材です。いずれにしても起毛したメルトンですので、重厚感を生かしたコーディネートを心がけるといいでしょう。

アルスターコート 

アルスターコートのアルスターとは、北アイルランドの地名。アルスターが冷寒地域であることから、ビジネスシーンの寒さ対策として、これ以上のコートはないとも言われています。

アルスターコートは、ダブルのチェスターコートとピーコートを掛け合わせたようなデザインで、角度があるノッチドラペル(アルスターカラー)が特徴です。チェスターコートと比べるとアルスターコートのほうがアクティブな雰囲気があります。ほかのコートに比べると流通量が少なく、独自性を演出するアイテムとしても重宝するでしょう。

デザインは基本的にダブルブレストで、ターンカフやバックベルトを採用しているのも特徴です。クラシカルな雰囲気はビジネススーツとの相性が抜群によく、シックで大人なコーディネートが楽しめます。

素材は、ウールなどの獣毛系が多く、頑丈で暖かいツイードを採用していることが多い。近年は軽量化が進んでいて、メルトン系を使ってやわらかく仕上げているものが人気を集めています。

トレンチコート

トレンチコート

トレンチコートはデザイン性と機能性に優れたコートの名作です。その起源は、第一次世界大戦でイギリス軍がトレンチ(塹壕/ざんごう)戦で着用していた防水型の多機能コートとされていて、その名残を残しながら進化を続けているコートです。

トレンチコートには特徴が多々あります。代表的なものは、両肩のエポレットや首から胸に及ぶガンフラップ、背中のストームシールドなどです。どれもが戦闘に関する機能面から生まれたものですが、現在のスタイルにも継承されています。

ショルダーのデザインは、ラグランが完成形とされていますが、デザイン性のいいセットインスリーブでウエストをしっかり絞るというスタイルも人気です。

ほとんどのトレンチコートで生地はコットンギャバジンを採用しています。イギリス人のトーマス・バーバリーが発明したコットンギャバジンは、防水加工を施したウーステッドを高密度に織り上げることで、撥水性と耐久性を生みだした優れた生地です。トレンチコートのデザインに最適な生地ですので、この完成形を崩すわけにはいかないのかもしれません。

ピーコート

ピーコート

カジュアルで愛らしい雰囲気のあるピーコートですが、19世紀末にイギリス海軍が艦上の軍服として採用していたものが由来です。寒さを防ぐ高密度なメルトン生地と風を防ぐ厚みのある前身頃、大きな襟が特徴です。また、縦に切り込みを入れたマフポケットや錨をあしらったボタンも特徴です。ボタンは、手袋をつけたままでも扱えるように大きなボタンが使われています。 

ピーコートはショート丈なので、ビジネススーツとコーディネートする際は、スーツの裾が出ないように少し長めの丈のものを選ぶようにしましょう。また、カジュアルな雰囲気がピーコートの特徴なので、フォーマルな場所や重要なビジネスシーンには不向きかもしれません。TPO に合わせて着こなしましょう。

メルトン生地の素材はウールやカシミヤ、アルパカなどの獣毛がメインですが、ポリエステルやアクリルなどの化学繊維との混紡も多く使用されています。

ダッフルコート

ダッフルコート

ビジネススーツに合うコートとして唯一フードがついているのがダッフルコートです。もともとは北欧の漁師の仕事着だったようですが、第二次世界対戦時にイギリス海軍が防寒着として採用したことで、広く知られるようになりました。 

ダッフルコートの特徴は、フードとトグルボタン、防寒に特化した厚手のメルトン生地です。トグルとは直訳すれば留め釘のことですが、ダッフルコートの普及により、その棒状ボタンの意味も持つようになっています。 

ダッフルコートの丈は主にショートとミドル丈ですが、ショート丈の場合はビジネススーツの裾が見えない丈を選ぶようにしましょう。ダッフルコートはソフトで優しい印象があるので、本来ビジネススーツ向きではありませんでした。しかし、多様化の時代のなかでコーディネートの幅が広がり、ビジネススーツに合うダッフルコートもラインアップされるようになったのです。ビジネスマンとして、精悍さや信用が求められるシーンでは不向きかもしれませんが、カラーコーディネートや小物で演出することで、ある程度カバーできるでしょう。 

厚手のメルトン生地に採用されている素材は、主にウールやアクリルで、防寒性は高いアイテムです

キルティングコート

キルティングコート

キルティングコートとは、中綿入りのキルティング素材を使ったコートのことです。キルティング系アウターの元祖と呼ばれるブランドがハスキーだったため、ハスキージャケットとも呼ばれています。

特徴は、キルティング生地と自由なデザインです。ほかのコートと比べて仕様が決まっていないので、デザイナーが自由に発想しデザインできます。その結果、多種多様なデザインが生まれているのです。また、メルトン生地を使ったコートに比べて軽いのも大きな特徴です。

元々は乗馬用のジャケットだったので、ビジネススーツとは縁遠いアウターでした。しかしながら昨今は、ビジネススーツとのコーディネートが定着しています。カジュアルなイメージが強いので、フォーマルなシーンには不似合いかもしれません 。シーンに合わせて使い分けするといいでしょう。

キルティングに使用されている素材は、表面にコットンやナイロン、ポリエステルを使用するのが主流です。裏地は、滑りのいいキュプラやポリエステルなどを使っています。保温性を保つ中綿は綿やポリエステルがメインですが、ダウンやスモールフェザーを使う高級品も人気があります。

ビジネスコートをスマートに着こなすポイント

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ビジネススーツにコートを合わせる際は、ちょっとした着こなしのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、そのポイントを解説します。

サイズ選び

街を歩いていると、大きくぶかぶかのコートを着た人を見かけることがありませんか。なんとなく疲れた感じや不潔なイメージさえ感じてしまう人もいるでしょう。コートのサイズは大きすぎるとだらしなく見えたり、「着せられた感」が出てしまったりします。

コートのサイズを選ぶポイントは、着丈と袖丈そして身幅の3つです。着丈は短すぎるとスーツの裾が見えてしまうのでビジネスコートに向いていません。またロングコートで裾が長すぎると歩きにくくなってしまいます。

袖丈においては、スーツの袖やワイシャツの袖が見えるようでは短すぎます。また、長すぎて指が見えないようでは、やはり「着せられた感」が出てしまいます。

身幅は、スーツを着て少し余裕がある程度に抑えるのがスタイリッシュに見えるポイント。自分に合ったコートのサイズをしっかりと確認したうえで、Yラインに注意してコーディネートしましょう。

自分に合ったデザイン

人にはそれぞれに個性があり、似合うコートと似合わないコートがあります。例えば、童顔の青年が精悍(せいかん)な黒のトレンチコートを着ていても、何か浮いた感じがするかもしれません。また、がっしりした体つきの年配の男性が、愛らしい感じのダッフルコートを着ていたら違和感を覚える人がいるでしょう。

ビジネススーツに合わせるコートであれば、ある程度デザインは絞られてきます。自分の雰囲気に合ったコートでなければ、見ている周囲の人にも違和感を与えてしまうのです。

例えば、一般的に身長の高い人はチェスターコートやトレンチコートはスマートに着こなすことができます。また、ガッチリとした体格の人には、ピーコートなどが相性がいいでしょう。

いろいろなコートを袖を通してみると、自分に似合うデザインがわかってくるはずです。自分ではよくわからない場合は、ひとつのデザインに絞らず、お店でいろいろなコートを試着してみるとよいでしょう。

ビジネスシーンに合うカラーとは?

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ビジネスシーンでスーツと合わせて着るコートは、主張しすぎないベーシックな色がなじみます。例えばダークグレーやダークネイビー、ブラックなど。ほかにもベージュやブラウンも合うでしょう。冬場は、コート以外にも手袋やマフラーなどのファッション小物も活躍する時期です。これらの小物との組み合わせを考えても、コートはベーシックカラーから選ぶのが無難と言えます。なかでも、ブラックのコートを用意しておけばフォーマルなシーンにも対応できます。

素材

コートは素材によって同じデザインでもまったく表情が異なります。例えばポピュラーなミドル丈のステンカラーコートであっても、メルトン素材のものとコットンギャバジンとでは雰囲気がガラリと変わり、着心地も異なります。

コットンギャバジンは重厚感とスタイリッシュな雰囲気があり、ビジネスシーンには相性がいい素材と言えるでしょう。ツイードやメルトン素材は暖かく使い勝手もいいのですが、ややカジュアルな印象があるため、コーディネートや色選びには注意する必要があります。

機能面も重要

防寒着としてまとうコートは当然ながら機能面も重要です。まず注目すべきは保温性と撥水性です。

電車などで移動することの多いビジネスマンの場合、電車内や屋外、オフィスと、ロケーションによる寒暖の変化が激しくなります。そうしたさまざまな状況のなかで快適性を維持するためには「暖かく蒸れにくい」素材が理想的。寒暖に対応できるようにライナーの取りはずしができるものもあります。雨天にも対応できるよう、撥水性も兼ね備えたコートならビジネスシーンでさまざまに活躍してくれるでしょう。

また、コートは寒い季節に日常的に着るため、動きやすさや脱着のしやすさも重要なポイントです。

スーツに合うコートのおすすめブランド

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ここからは、スーツに合うビジネスコートをラインアップしているブランドを5つ紹介します。

MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)

MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)は「ゴム引きステンカラーコート」を19世紀から変わらぬ伝統製法で作りつづけているブランドです。ゴム引きコートは防水コートの元祖と呼ばれていて、2枚の生地の間に溶けたゴムを塗布した後に圧着させることでより高い防水性を実現しています。

ほかにも、トレンチコートやダッフルコートなどイギリスを代表する伝統的なコートもラインアップ。定番のデザインに加え、斬新なデザインを採用したり、新しい生地を使用したり、意欲的なアイテムを展開。ビジネスマンが厚い信頼を寄せるブランドです。

Aquascutum(アクアスキュータム)

1851年に創業したイギリス発祥のブランド、Aquascutum(アクアスキュータム)は、古くから王室御用達として世界的に愛されてきました。ブランド名はラテン語で「水の盾」を意味する造語。防水加工の施された素材を使用したコートを生み出しています。

同ブランドを象徴するコートと言えばトレンチコート。1914年に英国軍のために開発されたトレンチコートは、優れた性能と機能性で兵士たちから称賛されました。徹底的にこだわった実用性と欠点が見当たらないスタイルは、現代のビジネスパーソンにとっても強い味方になります。

SANYOCOAT(サンヨーコート)

70年超の歴史を持つ日本を代表するコートブランド、SANYOCOAT(サンヨーコート)。本当にいいコートを作ろうとの思いのもと「100年コート」をコンセプトに優れたコートを作りつづけています。コートは、スタンダードモデル、エイジドモデル、クラシックモデルの3種類をラインアップ。

素材や仕立てのトレンドに左右されることなく、長きにわたって楽しめるワードローブを提案しています。

Sealup(シーラップ)

Sealup(シーラップ)は1935年にイタリアミラノで創業したブランドです。1960年代にはケネディ大統領夫人などのセレブも愛用するブランドに成長しました。元々はレインウエアを生産していましたが、機能性はそのままにファッション性の高いアイテムを世に送り出すようになりました。

シーラップのコートは、ミラノの老舗ならではの品質とエレガンスさが特徴。「メイドインイタリー」を全面に打ち出し、カッティングから縫製まですべての製品をミラノに構える自社工場にて生産していることにも注目です。

Hevo(イーヴォ)

Hevo(イーヴォ)は南イタリアを拠点とするコートやアウター専用のブランドで、2010年に誕生しました。イーヴォとは、進化や発展を意味する言葉と、完成や感情を呼び覚ます言葉を合わせた意味を持ち、豊かな表情のデザインと、さまざまなシーンを見据えた機能的なアウターを提案しています。

イーヴォのコートの主流は、チェスターコートやアルスターコート、ステンカラーコートです。チェスターコートはショートとミドル、ロングの丈がそろっていて、ラインアップも豊富。

生地はメルトンやカシミヤ、ウール、コットンギャバジンなど幅広く採用し、ビジネスマンの秋冬の装いをスマートに演出します。

まとめ

今回はビジネスコートの種類からビジネスコートの着こなし術を解説し、ビジネスコートとしておすすめのブランドを紹介しました。デザインや色、素材、機能性にこだわり、ぜひ自分に合ったコートを探してみてください。

スーツと相性の良いセーターについてはこちら>>
スーツに合う腕時計はこちら>>
「ニッポンの冬、ニッポンのコートを着る。第2回 ニューヨーカー」はこちら>>
ニッポンの冬、ニッポンのコートを着る。第6回 五大陸」はこちら>>
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