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スーツにチェックシャツを合わせるのはあり?
知っておきたいチェックの種類と着こなしのポイント

2022.10.06

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きっちりとした印象が強いスーツにチェックシャツを合わせれば、ほどよくカジュアルなコーディネートを楽しむことができます。オフィスカジュアルやプライベートの場面では、スーツスタイルにチェックシャツを取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事では、代表的なチェック柄を紹介したうえで、スーツにチェックシャツを合わせるときの着こなしのポイントを紹介します。

チェック柄の種類

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ファッションアイテムに使われるチェック柄には、数えきれないほどの種類があります。チェックシャツとスーツの着こなしを知る前に、まずは代表的なチェック柄の特徴を押さえておきましょう。

タータンチェック

「タータンチェック」は最も知名度が高いチェック柄の1つで、さまざまな色を使った大柄な格子模様のことです。タータンチェックという呼び方は日本独自のもので、海外では「タータン」と呼ばれます。太さや色が違う帯を縦横に交差させれば自由に作れるタータンチェックには厳密な定義がありません。

タータンチェックの由来はスコットランドのケルト民族にあり、もともと氏族のシンボルとして使われていました。かつてのスコットランドでは血縁関係が非常に重要で、氏族間の争いが絶えなかったため、敵と味方を区別するためのシンボルを必要としていたのです。

各氏族が使っていたタータンチェックのなかには、「フレイザー」や「ブキャナン」のように現在でも広く使われている柄があります。反乱を防ぐためにタータンチェックの使用が禁じられた時期もありましたが、時代が下って禁止令が解除されると、タータンチェックはファッション業界でも注目されるようになりました。現在では、名だたるブランドがオリジナルのタータンチェックを開発し、ハウスチェックとしてブランドのシンボルに掲げています。

グレンチェック

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白と黒を基調として、細かい格子と大きい格子を組み合わせたものが「グレンチェック」です。髪の毛のように細い線の模様が現れるヘアラインと、後述するハウンドトゥースを組み合わせて作られます。ドレスシャツに使われてクラシカルな雰囲気を漂わせたり、カジュアルなシャツに取り入れて爽やかさを演出したりと、幅広いシーンで使えるのが魅力のチェック柄です。

グレンチェックという名前は、スコットランドのグレン・アーカートと呼ばれる地域で生まれたことに由来すると言われています。ただし、グレナカート(glenurquhart)家のチェック柄を意味するという説もあり、定かではありません。なお、グレン(glen)には「スコットランドまたはアイルランド山間の峡谷」という意味があります。

グレンチェックはエドワード7世や8世が愛用していたことでも有名です。特に、2人が英国王子だったころによく使っていた、グレンチェックにブルーのチェックを合わせた柄は「プリンス・オブ・ウェールズ」と呼ばれ、世界中で親しまれています。

ウィンドーペーン

「ウィンドーペーン(window pane)」とは窓ガラスのことです。「窓枠格子」とも呼ばれるこのチェック柄では、単色の生地に単色の線が重なって大柄な格子を形作ります。窓枠のような格子は3~4cm程度の間隔で並ぶのがオーソドックスです。英国のトラディショナルな柄であり、シャツに取り入れれば上品で知的な印象を与えます。シンプルなデザインでありながら存在感も発揮できるため、コーディネートにほどよく遊びを加えたいときにおすすめです。なお、ウィンドーペーンと同じように単色の線で構成される柄に「グラフチェック」がありますが、こちらは方眼紙のような細かい格子模様になっています。

ハウンドトゥース

「ハウンドトゥース」という名前のとおり、猟犬の牙に似た模様が規則的に連なっているチェック柄です。千鳥が飛んでいるようにも見えることから、日本では「千鳥格子」の呼び名でも親しまれています。発祥の経緯については諸説ありますが、タータンチェック同様、特定の氏族を区別するために生まれたとする説が有力です。黒と白、または茶と白のツートーンで構成されるのが一般的で、シンプルなコーディネートに奥行きを与えることができます。ちなみに、大柄のハウンドトゥースは「スターチェック」と呼ばれることもあります。

ガンクラブチェック

3色、または4色を使って構成されたハウンドトゥースが「ガンクラブチェック」です。1874年、アメリカの狩猟クラブである「アメリカン・ガンクラブ」が制服にこのチェック柄を採用したことが名前の由来だと言われています。ベージュの生地に、濃い茶や淡い茶、赤みがかった茶の線を合わせるような色使いがガンクラブチェックの基本です。トラディショナルな雰囲気を強調したいときに取り入れたい柄だと言えるでしょう。

ギンガムチェック

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「ギンガムチェック」は、白と他の色の2色で構成されるシンプルな格子柄です。縦横に均等な太さの線が走り、規則正しく清潔感のある印象を与えます。インパクトが強いので、コーディネートにアクセントを付けたいときにおすすめの柄です。なお、ギンガムチェックを前面に押し出すと子どもっぽい雰囲気になりやすいので注意しましょう。

ギンガムチェックという名称については、マレー語で縞模様を意味する「genggang」に由来するという説や、フランスの地名「Guingamp」に由来するという説などがあります。

ブロックチェック

白黒、または濃淡の2色を使い、同じ幅の線を縦横に交差させるチェック柄が「ブロックチェック」です。ネルシャツでは王道の柄で、ハンティングウエアにもよく使われています。

ブロックチェックはチェス盤や碁盤の目に似ていることから、「チェッカーボード」や「碁盤縞」とも呼ばれています。また、元禄時代の歌舞伎役者である佐野川市松が考案した「市松模様」にも似ており、日本人にとってなじみ深い柄だと言えるでしょう。

ピンチェック

「ピンチェック」は針の先でひっかいたような極細の線で構成される細かいチェック柄で、「微塵格子」「タイニーチェック」「ピンヘッドチェック」などとも呼ばれます。2本ずつ交互に色を変えた糸で縦横に織って作るのが一般的です。遠目には無地のように見える控えめな柄なので、チェック柄が苦手な人でも取り入れやすいでしょう。

ちなみに、やや柄の大きなピンチェックのことを「バーズアイ」といいます。鳥の目のように見える斑点が細かく並ぶ柄で、ビジネスウエアにもよく使われています。

オーバーチェック

チェック柄に異なるチェック柄を重ねて作るのが「オーバーチェック」です。基本的に、グレンチェックやシェパードチェックのような細かいチェックに、ウィンドーペーンなどの大柄なチェックを重ねます。オーバーチェックは「オーバープラッド」や「越格子」とも呼ばれます。なお、プラッド(plaid)はチェックと同じように格子縞のことです。アメリカでは、細かい格子縞をチェック、大柄な格子縞をプラッドと呼んで区別しているようです。2種類のチェック柄を重ねることで、細かいチェック柄だけの場合よりもカジュアルな印象が強くなります。

タッタソールチェック

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「乗馬格子」とも呼ばれる「タッタソールチェック」は、白地に2色の線が交互に走るシンプルなチェック柄です。タッタソールという名称は、かつてロンドンで開かれた馬市場に由来します。18世紀の英国の騎手、リチャード・タッタソールが創設したもので、馬にかける毛布や労働者のベストにこのチェック柄が使われていました。シャツやオッドベストに採用されることが多いチェック柄で、爽やかでスポーティーな雰囲気を漂わせることができます。

バッファローチェック

「バッファローチェック」はブロックチェックの一種で、赤と黒の線を縦横に走らせた大柄なチェックです。アメカジスタイルの代表的意匠であり、英国の伝統的なチェック柄と対をなす存在だと言えるでしょう。バッファローチェックはアメリカのファッションブランド「ウールリッチ」が1850年に生み出しました。当時のデザイナーが自身の農場で飼っていたバッファローにちなみ、この名前を付けたと言われています。

バッファローチェックはアメリカの猟師に長年愛用されてきました。鹿は赤色を認識できないので気付かれずに近付くことができる一方、人の目には派手に映るので他の猟師に撃たれるリスクを下げられるのです。カジュアルシーンでインパクトのあるコーディネートを楽しみたい人におすすめのチェック柄です。

グループドチェック

「グループドチェック」は複数の線がグループとなって格子縞を作る柄のことで、「群格子」とも呼ばれます。ウィンドーペーンの線が複数になったものだと考えればわかりやすいでしょう。グループドチェックのなかでも、異なった色の線を交ぜて格子を作る柄は「ファンシーグループドチェック」と呼ばれ、独特の雰囲気が備わっています。

マドラスチェック

鮮やかな色を多く使い、不規則な格子柄を形成するのが「マドラスチェック」です。インドの南東にある港町マドラスが発祥の地で、本来は天然の染料で染めた糸を使って織ります。水洗いすることで色落ちやにじみが生じ、独特な風合いになっていくのが特徴です。カジュアルなシャツの生地として使われ、基本的には黄やオレンジ、緑などの明るい色で構成されます。

アーガイルチェック

「アーガイルチェック」は、規則正しく並んだひし形と、その辺に平行な斜めの枠線で構成されたチェック柄です。模様がそろばんを連想させることから「そろばん柄」と呼ばれることもあります。ニットカーディガンやソックスなどによく取り入れられる柄なので、なじみがある人も多いでしょう。

アーガイルはスコットランド西部の地名で、キャンベル家が氏族のシンボルに採用したチェック柄がアーガイルチェックの発祥とされています。つまり、アーガイルチェックはもともとタータンチェックの1つだったということです。1950年ごろにニューヨークで広まったのをきっかけに、現在ではトラディショナルな柄として多彩なアイテムに使われています。

シェパードチェック

2色の線を交差させた細かい格子柄が「シェパードチェック」です。ギンガムチェックと同じように見えますが、線と線が交わっていない部分に地色の斜線が入っています。「シェパード(shepherd)」は「羊飼い」という意味で、初めてこのチェック柄を使ったのがスコットランドの羊飼いだったことが名前の由来です。なお、日本では「小弁慶格子」とも呼ばれています。

バーバリーチェック

「バーバリーチェック」はファッションブランド「バーバリー」のシンボルとなっているチェック柄で、茶色の地に黒、白、赤の3色の線を配したおなじみのデザインです。もともとは1920年代にレインコートの裏地の柄として採用されましたが、1960年代に旅行カバンや傘カバーに使われてからはブランドのシンボルとして認知されるようになりました。その後もバーバリーチェックは、レインボーの線を取り入れるなど、ブランドの新しいビジョンを提示するべくマイナーチェンジを繰り返しています。

チェックシャツを使ったスーツスタイルの着こなしのポイント

基本的にチェックシャツはビジネスシーンに向いていませんが、オフィスカジュアルなどでスーツに合わせてコーディネートを楽しむといいでしょう。チェックシャツとスーツをおしゃれに合わせるためにはいくつかのポイントを押さえておくことが肝要です。ここからは、スーツスタイルにチェックシャツを取り入れるときの着こなしのポイントを紹介します。

柄の入ったアイテムは2つまでにする

スーツスタイルでは、スーツとシャツ、そしてネクタイの3点のバランスが重要です。この3点すべてに柄が入っているとVゾーンの周辺が雑多になり、落ち着かない印象を与えることになるでしょう。チェックシャツをコーディネートに取り入れる場合は、スーツかネクタイのどちらかは無地のものを選んでください。

例えば、ホワイトのウィンドーペーンシャツにブルーのレジメンタルタイ、無地のネイビースーツといった組み合わせなら上品にまとまるのではないでしょうか。ドット柄のネクタイとストライプ柄のスーツを合わせるような場合、チェックシャツではなく無地のシャツを選ぶのが賢明です。ちなみに、柄の入ったアイテムを2つ取り入れるときは全体を同系色でまとめるとおしゃれに決まります。

コーディネートの色数をなるべく抑える

柄の入ったアイテムを使いすぎないのと同じ理由で、コーディネートに取り入れる色の数も少なめに抑えるのがおすすめです。カラフルなコーディネートをまとめるのは難しく、落ち着きがない雰囲気になる可能性が高いでしょう。スーツ・ネクタイ・チェックシャツの色数をなるべく抑えることで、上品で安定した着こなしが実現します。

チェックシャツを取り入れながら色数を抑えたいときは、ギンガムチェックやウィンドーペーンが楽に使えます。この2種類はもともと使われている色が少ないため、スーツに合わせて着てもシックにまとまりやすいのです。

同系色のコーディネートは濃淡をつける

スーツ・ネクタイ・シャツを同系色で統一するとコーディネートがまとまりやすいのは前述のとおりですが、色の濃淡でアイテムごとに差をつけると立体的な着こなしとなります。このとき、スーツ・ネクタイ・シャツの順番で色を淡くしていくのが簡単なコーディネート術です。つまり、同系色でもスーツは濃いものを、シャツは淡いものを選ぶということです。ダークグレーのスーツとミディアムグレーのネクタイ、ライトグレーのチェックシャツを合わせるなど、この法則に従うだけでセンスのいい上品なスタイルが完成します。

チェックシャツはニットタイと相性がいい

チェックシャツは単体でインパクトを与えるアイテムなので、控えめなネクタイを合わせるのが基本です。しかし、ただの無地のネクタイでは遊びがなくてつまらないと感じる人もいるでしょう。そこで、チェックシャツに無地のニットタイを合わせるコーディネートを試してみるのがおすすめです。ニットタイは無地でも表情があり、胸元にほどよい抜け感を加えてくれます。秋冬の季節感を表現したいときもニットタイはうってつけのアイテムです。また、コットンやシルクを使ったニットタイなら春夏でもおしゃれを楽しむことができます。

オーソドックスなのは、白黒のギンガムチェックシャツにネイビーのニットタイを合わせるコーディネートです。また、淡いブルーのブロックチェックシャツにネイビーのニットタイを合わせて同系色でまとめる着こなしも爽やかでおしゃれでしょう。そのほか、黄色のギンガムチェックシャツに茶色のニットタイを組み合わせて、秋冬らしい雰囲気を演出してみるのもいいでしょう。

ドット柄のネクタイも合わせやすい

チェックシャツにネクタイを合わせるときは、無地だけでなくドット柄もおすすめです。一般的に柄と柄を合わせるのは難易度が高いものですが、主な構成要素が直線のチェック柄と曲線のドット柄は互いに相性がいいと言えます。ただし、どうしてもカジュアルな雰囲気が強くなる組み合わせなので、着用シーンは選ぶ必要があるでしょう。

例えば、奇抜なモスグリーンのドットタイも、シックなグレンチェックシャツとダークグレーのスーツに合わせれば、全体が調和しておしゃれなコーディネートになります。また、青系統のタッタソールチェックシャツにネイビーのドットタイを合わせ、同系色で統一感を演出するのもいいでしょう。

ギンガムチェックシャツには無地のスーツとネクタイを合わせる

華やかなギンガムチェックシャツはカジュアルな印象が強いアイテムで、特にボタンダウンカラーの場合はよりスポーティーな雰囲気になります。スーツスタイルに取り入れたときにほどよくまとめるために、スーツとネクタイは無地のものを選ぶようにしましょう。例えば、ネイビーのギンガムチェックシャツとネイビーの無地ネクタイ、グレーの無地スーツを合わせれば、ベーシックカラーのみで上品な着こなしになります。このとき、ネクタイがシルクのようなフォーマルな素材だとギンガムチェックのカジュアル感になじまないため、ニット素材のものがおすすめです。

ブロックチェックなどの大柄なチェックのシャツについても同様で、インパクトが強いアイテムを取り入れるときはほかを無地でそろえるのがいいでしょう。そうすることで、上品かつ華やかなコーディネートを作ることができます。同じように、ネクタイに派手な柄を取り入れる場合は無地のシャツとスーツを合わせるのが無難です。

チェック同士を合わせるのは難易度が高い

チェックシャツにチェック柄のスーツやネクタイを合わせるのは難易度が高いコーディネートです。チェック柄のアイテムは単体で目を引くものなので、全体にチェック柄を取り入れると散漫な印象を与えます。どれかひとつは無地にすることで、全体がすっきりとした雰囲気になるでしょう。また、チェック同士を合わせる場合は同じ種類の柄ではなく、派手なチェックと地味なチェックを交ぜることでメリハリがつき、着こなしがおしゃれになります。

まとめ

スーツスタイルをほどよくカジュアルダウンしたいときは、チェックシャツを合わせるのがおすすめです。チェックには多彩な種類があり、選び方次第で自由に個性を演出できます。シックにまとめたいときはグレンチェック、アメカジ風に演出したいときはバッファローチェックといったように、種類ごとの特徴を押さえてコーディネートに活用しましょう。

ただし、カジュアル度の高いチェックシャツとスーツを合わせるときはいくつかのポイントに気を付ける必要があります。インパクトのあるチェック柄を取り入れるときは、スーツとネクタイは無地でそろえるのが賢明です。スーツのフォーマル感が崩れすぎないように、バランスを見ながらコーディネートを工夫してください。

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