スーツ

ビジネススーツはコーディネート次第で春夏秋冬着まわせる。
スタイリングのポイントを解説

2020.10.22

ビジネススーツはコーディネート次第で春夏秋冬着まわせる。<br>スタイリングのポイントを解説

スーツの数が多いほど、ビジネスシーンにおけるスタイリングの幅は広がる。その一方、手持ちのスーツが少なくてもシャツやネクタイとうまく組み合わせれば、装いのバリエーションを豊かにすることができます。ビジネススタイルのマンネリを解消するために、コーディネートのコツを押さえておくといいでしょう。この記事では、ビジネススーツの種類や、季節ごとのコーディネートのポイントについて解説します。

ビジネスマンは何着スーツを持っておくべき?

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スーツはビジネスマンのユニフォームとも言える必須アイテム。折り目正しく仕事に臨むために、適切な数のスーツをそろえておく必要があります。毎日スーツを着る場合は、最低でも3着はそろえておきたいところです。

1着や2着のスーツを着まわすことももちろん可能ですが、それにはいくつかのデメリットがあります。まず、立て続けに着ることで生地が傷みやすくなります。生地の傷みが早いと、スーツを買い替えるペースも早くなるでしょう。出費を惜しんでスーツの数を少なくした結果、余計にコストがかかることになるのです。3着のスーツをローテーションで使うようにすれば、2日間生地を休ませることができるので、そのぶん長持ちします。

また、毎日同じスーツを着るのはマンネリで印象もよくありません。どうしてもスーツの生地がくたびれてしまい、だらしない印象を与えるでしょう。清潔感のある服装は信用にもつながるので、生地がしっかりとしたスーツをローテーションで着るようにしましょう。

なお、スーツは春夏と秋冬で仕立てが異なります。春夏用のスーツは背中の部分に裏地がない背抜き仕様が多い一方、秋冬用では全面に裏地がついた総裏仕様が一般的です。生地についても、春夏スーツにはサマーウールやモヘアなどの通気性に優れた素材が使われています。秋冬スーツの場合、ウールやカシミヤなどの暖かい素材を使うことが多いでしょう。また、フランネルやサキソニーといった起毛生地が使われる場合もあります。

春夏と秋冬のスーツは別で用意したほうがいいため、それぞれ3着ずつ、合わせて6着そろえておくのがおすすめです。なお、世間では「オールシーズン対応」をうたうスーツが販売されていますが、春夏用の生地に総裏仕様の裏地といった中途半端な仕立てになっている場合があります。一年の寒暖差が激しい日本では、季節に応じた仕立てのスーツをそれぞれ用意するのが賢明です。

まとめると、ビジネスマンが用意するべきスーツの枚数は、春夏用3着、秋冬用3着の合計6着ということになります。最低でもこれだけは欲しいという目安なので、バリエーションを増やす分には問題ありません。ただし、クローゼットに衣類を詰めすぎると湿気がこもって生地が劣化しやすくなるため、定期的に整理することが大切です

スーツの種類

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スーツは基本の型が決まっていますが、ディテールにはさまざまな種類があります。選ぶ種類によって印象や適した場面が異なるため、それぞれの特徴を押さえておくといいでしょう。ここでは、スーツの種類とその違いについて解説します

シングルスーツとダブルスーツ

スーツはシングルスーツとダブルスーツの2種類に大きく分けることができます。両者の主な違いはフロントボタンの並び方にあり、シングルスーツは1列、ダブルスーツは2列です。また、ラペルやフロントカットなどのディテールについても傾向がそれぞれ異なります。

シングルスーツは、「スーツ」と聞いたときにまず思い浮かべるオーソドックスなデザインのスーツです。「シングルブレステッドスーツ」とも呼ばれ、ジャケットのフロントボタンが縦1列に並んでいます。ボタンの数は2つまたは3つで、襟型は上襟と下襟の合わせ部分がV字型になったノッチドラペルが一般的です。ジャケットのフロントカットは通常のレギュラーカットか丸みを帯びたラウンドカットで、後ろ裾の真ん中に切れ込みが入ったセンターベントが多く採用されています。カジュアルからフォーマルまで、シーンを選ばずに着用できるタイプのスーツです。

「ダブルブレステッドスーツ」とも呼ばれるダブルスーツの特徴は、ジャケットのフロントボタンが縦2列に並んでいることです。フロントボタンの数は4つまたは6つですが、2列が並行に並ぶ「オールインライン」と、上にいくほど間隔が広がる「スプレッドアウト」の2種類があります。例えば、6つボタンのスプレッドアウトの場合は上2つのボタンが列からはずれて外側に付いており、下のボタンを2つ留めることになります。このように、ボタンの数と配列によって留めるボタンの数が変わることもダブルスーツの特徴のひとつです。

ダブルスーツでは、下襟の先端が上向きにとがったピークドラペルが主に使われています。そのほか、フロントカットは水平に切られたスクエアカット、後ろ裾は切れ込みのないノーベントが主流です。自由度が高いシングルスーツに比べると、ダブルスーツはディテールの選択肢が限られています。

ダブルスーツには「クラシカルで格調高いスーツ」というイメージがあります。ダブルスーツでフロントボタンが2列になっているのはオーバーコートだった頃の名残で、左右どちらからの風も防げるようにという防寒対策上の工夫です。つまり、本来ダブルスーツは機能性を重視した、カジュアルな要素が取り込まれた衣服ということです。シングルスーツと同じように、ダブルスーツはどんなシーンでも着られると認識して問題ありません。

ダブルスーツは見た目が重厚であることから、年配の方が袖を通すものと考える風潮があります。また、シルエットがルーズなので体格がしっかりした方に適しているというイメージもありました。しかし、近年はダブルスーツの注目度が高まり、タイトなシルエットのものなども出てきています。若者を中心にダブルスーツを選ぶ人も増え、スーツの着こなしの幅は広がっています

2つボタンと3つボタン

前述のとおり、シングルスーツには2つボタンタイプと3つボタンタイプがあります。より一般的なのは前者で、2つボタンのシングルスーツが現代におけるスーツスタイルの主流です。2つボタンのスーツはVゾーンが広いため、爽やかな雰囲気を演出できます。また、顔の大きさが目立ちにくいことも2つボタンのメリットのひとつです。どんなシーンでも着用できる、万能のデザインだと言えるでしょう。

3つボタンには、3つのボタンが縦一列に並んだタイプと、いちばん上のボタンがラペルの裏に隠れている、「段返り」と呼ばれるタイプがあります。前者のタイプはひと昔前に流行したデザインで、2つボタンよりもVゾーンが狭くなるのが特徴です。襟元が詰まっている分、着用するとクラシックで真面目な雰囲気になります。着用シーンに制限があるわけではありませんが、現代では少数派のデザインだということは覚えておきましょう。

段返りの3つボタンはアメリカントラッドの意匠で、基本的に見た目は2つボタンと変わりません。そのため、2つボタン同様にシーンを選ばず着ることができます。

なお、ジャケットをはおるときはボタンの留め方にも注意が必要です。2つボタンの場合、上のボタンだけを留めて下ははずします。基本的に、シングルスーツのいちばん下のフロントボタンは飾りなので、留めないようにしてください。無理に留めると、生地にしわが寄ったり、動きにくくなったりすることがあります。通常の3つボタンでも同様に、いちばん下のボタンだけはずして上2つを留めます。段返り3つボタンの場合はいちばん上のボタンも飾りなので、真ん中のボタンだけ留めるようにしましょう

ツーピーススーツとスリーピーススーツ

スーツの種類は、ツーピースとスリーピースに分けることもできます。ツーピーススーツとは一般的なスーツのことで、同じ生地で仕立てられたジャケットとスラックスの組み合わせです。スリーピースはそこにベストを加えた3点セットのことですが、ベストもジャケット、スラックスと同じ生地で作られています。

スーツはもともとベストと合わせて着用していたので、スリーピーススーツのほうが正統的な装いと言えます。ベストとジャケットを自由に組み合わせることができ、コーディネートの幅が広いこともスリーピーススーツの魅力です。近年では英国調が再注目されており、ダブルスーツ同様、スリーピーススーツの人気が高まってきています。

スリーピーススーツを着るときは、ツーピースとは着こなしのマナーが異なることに注意が必要です。まず、ベストの裾からシャツやネクタイがはみ出さないようにしましょう。ベストとスラックスの一体感が失われ、だらしない印象を与えます。同様に、ベルトのバックルも見えないように長さを調節してください。ちなみに、本来のスリーピーススーツスタイルでは、ベルトではなくサスペンダーを使ってスラックスを固定します。現代のスリーピーススーツはたいていベルトループが付いているのでベルトで固定しても構いませんが、バックルが気になるときはサスペンダーを使うのもひとつの方法です。

また、ベストはいちばん下のボタンをはずして着るのが基本のマナーです。ベストの上からはおるジャケットのボタンに関しては、留めても留めなくても構いません。ジャケットは全開にしたほうがいいとも言われており、ツーピースの場合とはアンボタンマナーが違うので注意しましょう

春におすすめのスーツのコーディネート

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スーツを使ったコーディネートを考えるときは、季節に応じたスタイリングが肝要です。ここからは、春におすすめのスーツのコーディネートを紹介します。

ネイビーのスリーピースでクラシックにまとめる

少し勇気がいるスリーピーススーツも、王道カラーのネイビーなら採り入れやすいのではないでしょうか。スリーピーススーツで全身をネイビーに染めれば、クラシックかつ爽やかな雰囲気を演出できます。英国風のスタイルにしたいときは、ウィンドーペーンチェックやグレンチェック、ガンクラブチェックなどの伝統的なチェック柄を採り入れるのがいいでしょう。ただし、チェック柄はカジュアルな印象が強いので着用シーンに注意が必要です。さらに、フレームが丸いボストンタイプのメガネなど、知性を感じさせるアイテムを採り入れるのもおすすめです

春らしい色合いのアイテムを使う

同じスーツでも、着こなしを工夫することで季節感を演出することができます。ダークカラーのスーツに爽やかな色合いのシャツやネクタイを合わせれば、コントラストが生まれて春らしいあか抜けたコーディネートになるでしょう。春のシャツやネクタイにおすすめの色としては、ラベンダーやピンク、クリームイエローなどが挙げられます。また、ポケットチーフは白麻チーフTVホールドでセットすることを基本に、シルバーグレーやサックスブルーのポケットチーフを胸元にあしらって上品さを加えるのもひとつの方法です

ベージュのツーピースで優しい表情を作る

春らしさを強調したい方には、ベージュのツーピーススーツがおすすめです。ベージュを採り入れると印象がやわらかくなるので、春のコーディネートによくなじみます。ベージュのレジメンタルタイなどと合わせれば、統一感のあるスタイリングになるでしょう。適度に雰囲気を引き締めたいときは、襟とカフスの色が切り替わったクレリックシャツを採り入れるのがおすすめです

ラフな小物を取り入れてカジュアルダウンする

プライベートな場面では、普段のスーツにラフな小物を合わせてカジュアルダウンしてみてはいかがでしょうか。ライトグレーのニットタイにはやわらかさがあるので、春におすすめのアイテムです。ブルーのシャツと合わせて爽やかさを演出するといいでしょう。そのほか、キャップやスニーカーもスーツを適度にカジュアルダウンしてくれます。ビジネスシーンでは使えないアイテムを採り入れ、休日のおしゃれを存分に楽しんでください

夏におすすめのスーツのコーディネート

ここからは、夏におすすめのスーツのコーディネートを紹介します。

サックスブルーを取り入れて爽やかにまとめる

夏らしい爽やかな色といえば、サックスブルーが定番です。いつも着ているスーツにサックスブルーのシャツを合わせれば、気軽に夏らしさを演出できます。

ブルーチェックなどの個性的なスーツを着るときは、コーディネートを青系統でまとめるといいでしょう。サックスブルーのシャツや青い小紋柄のネクタイを合わせれば、全体がなじんで違和感が小さくなります

アースカラーのスーツでトレンド感を出す

近年、ファッション業界ではアースカラーが人気を集めています。アースカラーとは、ベージュやカーキ、ブラウンなど、自然を感じさせる色のこと。地味な印象がありますが、どんな色とも合わせやすく、コーディネートが簡単という特徴があります。特に、ブラウンのスーツは人気が高まってきているので、トレンド感を出したい方にはおすすめです。全体をアースカラーで統一したり、爽やかな色と組み合わせて夏らしさを演出したりと、さまざまな楽しみ方ができるでしょう

「アズーロ・エ・マローネ」でイタリア風に

「アズーロ・エ・マローネ」とは、青(アズーロ)と茶(マローネ)を組み合わせるコーディネートで、イタリアでは王道のスタイルです。青と茶を組み合わせることで絶妙なコントラストが生まれ、ほどよい抜け感を演出することができます。ネイビーのスーツに白シャツ、ブラウンのネクタイといったコーディネートで、イタリア風の遊び心を表現してみてはいかがでしょうか。リネン混の生地を使ったスーツなら爽やかな夏らしさも漂います

インナーを変えて涼しげなスタイルに

オフィスカジュアルでは、シャツの代わりにカットソーなどを採り入れ、涼しげなコーディネートを作るのもおすすめです。クルーネックのサマーニットを合わせれば、上品な抜け感を演出できます。コーディネートをきれいにまとめるコツは、スーツと同系色のインナーを選ぶことです。ネイビースーツに白いTシャツといったコーディネートは、カジュアル感が強いので注意が必要です

秋におすすめのスーツのコーディネート

ここからは、秋におすすめのスーツのコーディネートを紹介します

ベストで防寒とファッション性を両立させる

おしゃれしながら防寒したいときはベストが便利です。ベストを採り入れることでVゾーンが引き締まり、上品な雰囲気になります。ベストはジャケットおよびスラックスと同じ生地のスリーピーススタイルで着るのが基本ですが、色の相性を考えながらオッドベストに挑戦するのもいいでしょう。秋冬らしいチェック柄やツイード生地のベストを採り入れるなど、シーンに合わせてカジュアルダウンするのもおすすめです。

グレースーツはブラウンタイで雰囲気を和らげる

グレースーツはビジネスシーンでも定番で、どんな色とも合わせやすい使い勝手のいいアイテムです。しかし、落ち着いた雰囲気が演出できる分、冷たい印象を与えてしまうこともあります。そこで、温かさを感じさせるブラウンのネクタイを合わせ、雰囲気を和らげるコーディネートがおすすめです。アースカラーのブラウンを採り入れれば、季節感をほどよく漂わせることができるでしょう。

グリーンタイでVゾーンを彩る

コーディネートが単調でつまらないと感じるときは、インパクトがあるグリーンのネクタイをつけてみるといいでしょう。色がネイビーやグレーしかないと全体が暗く見えますが、Vゾーンにグリーンの結び目をのぞかせるだけで雰囲気が華やぎます。カジュアルなシーンなら、さらにベロア地のカーディガンなどを合わせて季節感をプラスする工夫も試す価値があるでしょう

ジャケパンスタイルをベージュでまとめる

オフィスカジュアルに最適なジャケパンスタイルは、自由にコーディネートできる分、統一感が失われやすいもの。そこで、ジャケットとパンツをベージュでそろえてやわらかくまとめるスタイルがおすすめです。雰囲気が真面目すぎると感じるなら、シャツや小物で遊びを採り入れてみるのもいいでしょう。ワインレッドのネクタイを差し色にする、思い切ってデニム地のベストを着るなど、場面に応じた着こなしを楽しんでください。

冬におすすめのスーツのコーディネート

ここからは、冬におすすめのスーツのコーディネートを紹介します。

暖かい生地のスーツで冬らしく装う

スーツの着こなしで季節感を演出するには、冬らしい生地のものを選ぶのが簡単です。冬らしさを感じさせる生地としては、フランネルやサキソニー、ツイードなどが挙げられます。「フラノ」とも呼ばれるフランネルは、クラシカルな雰囲気が漂う起毛生地の代表格です。サキソニーはフランネルよりも薄くやわらかい生地で、上品な雰囲気があるのでスーツにもよく使われています。ツイードはカントリー風の素朴な雰囲気が特徴で、肌触りがざらざらとしています。カジュアルな印象が強いので、ビジネスシーンには向いていません。それぞれの生地の特徴を理解し、用途に合ったものを選ぶようにしましょう。

ウールのネクタイで変化をつける

スーツに合わせるネクタイの素材には、一般的にシルクが使われています。このネクタイの素材に変化をつけるのも、季節感を演出する方法のひとつです。さまざまな素材を使ったネクタイが用意されていますが、冬におすすめなのは温かみがあるウールのネクタイです。フランネルやチェック柄、レジメンタルストライプなど、手持ちのスーツと相性がいいウールのネクタイを探してみてはいかがでしょうか。

ハイゲージのセーターを取り入れる

冬のオフィスカジュアルのコーディネートでは、セーターをジャケットの下に着込むのもおすすめです。スーツと合わせるセーターを選ぶときのポイントは、ハイゲージのものを選ぶことです。編み目の細かいニットをハイゲージ、編み目の粗いニットをローゲージと言いますが、ローゲージはカジュアル感が強いのでスーツには合いません。雰囲気が上品なハイゲージのニットで、スーツと同系色のものを選ぶのが無難なスタイリングです。

まとめ

ビジネススーツはコーディネート次第でマンネリを避けて着まわせますが、同じスーツばかり着ると傷みが早くなります。春夏用と秋冬用でそれぞれ3着以上用意し、ローテーションで生地を休ませてあげることが大切です。スーツを選ぶときは、種類ごとの特徴を理解し、自分の求めるものを見極めてください。そのうえで、季節ごとにコーディネートを工夫しながらおしゃれを楽しむといいでしょう。

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