腕時計

スーツに合う腕時計の条件とは?
色や選び方、マナーを解説

2021.02.03

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腕時計は、ビジネスパーソンにとって欠かせないアイテム。着用する場面と会う相手を考慮して、適した腕時計を選ぶことが大切です。この記事では、スーツに合う腕時計を選ぶときのポイントやマナーなどについて解説します。

腕時計の基礎知識

時間を確認するための腕時計。普段何げなく身につけている腕時計は、知れば知るほど奥が深くて魅力的です。ここでは腕時計の歴史やパーツの名称など基礎知識を紹介します。

腕時計の歴史

最も古い腕時計は、1806年にナポレオン皇帝が、妻ジョセフィーヌのためにパリの宝石商に作らせた時計を組み込んだエメラルドのブレスレットとされています。当初の腕時計は、貴族女性のアクセサリーの一種として身につけられていました。19世紀後半、軍のニーズが高まったことをきっかけに、腕時計の製品開発が進みます。それまで一般的だった懐中時計は、時間を確認するたびにポケットやコートの下から取り出す必要があり、正確な砲撃の時刻を速やかに知る必要のあった戦場の兵士たちにとって、かなり不便なものでした。そのため、兵士たちは懐中時計を手首に巻くなど工夫して使用していたと言います。そうした経緯から、1879年にドイツ皇帝ヴィルヘルム1世がドイツ海軍用としてスイスのジラール・ペルゴに腕時計を2000個製作させました。このことは、初めて量産された腕時計として記録に残されています。

20世紀に入ると、スイスのオメガが一般向けの腕時計を商品化。しかし、当時は男性の時計は懐中時計が主流だったという理由から、普及には至りませんでした。1911年、フランスのカルティエが友人で飛行家のアルベルト・サントス=デュモンのために製作した男性向け腕時計「サントス」を商品化して販売します。この素晴らしく洗練された腕時計は、大きな注目を集めました。

第一次世界大戦(1914〜1918年)では、ハミルトンやブライトリングが軍用腕時計を大量生産。より優れた機能やデザインの腕時計の開発が進みます。戦時中に腕時計を使っていた軍人が復員したのちも着用するようになったため、戦後は多くの懐中時計メーカーが腕時計の分野へ移行していきました。その結果、一般人へも腕時計が普及していくこととなりました。

日本初の腕時計は、1913年に服部時計店(現セイコーホールディングス)が発売した「ローレル」です。1955年には、国産初の自動巻き腕時計「セイコーオートマチック」を発売。1950年代以降、日本の腕時計技術が確実に向上していきます。1960年代以降は、「グランドセイコー」やシチズン時計株式会社の「クロノメーター」といった精度の高い国産腕時計が開発されていきました。さらに、1964年の東京オリンピックでは、セイコーのクオーツ時計が公式計測時計に選ばれました。

ムーブメントについては、1920年代に時計内部のローターの回転でゼンマイを巻き上げる「自動巻き腕時計」が誕生したことで、ゼンマイを手で巻くといった面倒な作業が解消され、腕時計が発展していきます。イギリスの時計職人ジョン・ハーウッドが開発した半回転ローター式の自動巻腕時計を、1926年にスイスの時計メーカー、フォルティスが世界で初めて発売。その後、1931年にスイスのロレックスが全回転式ローター自動巻きを開発し、より効率的に進化しました。

1969年にセイコーが世界初のクオーツ式腕時計を発売。クオーツ式腕時計には水晶振動子を用いており、日差±0.2秒、月差±5秒と、精度の高さの実現に成功。その後、デジタル腕時計や電波腕時計、スマートウォッチなどが開発され、今日も腕時計の発展は続いています。

パーツの名称

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腕時計は、それぞれ重要な役割を持つ多くの部品から構成されています。まず、腕時計の顔となる「文字盤(ダイヤル)」は、時刻を表示するための針と数字やマークが記されたインデックスが載った盤のことを指します。針(時針、分針、秒針)は「指針」と言い、クラシックなペンシル型、棒状のバー型、木の葉のようなリーフ型などさまざまなデザインがあります。

文字盤は、「ガラス(風防)」と言われるパーツで覆って保護されており、風防素材は大きく分けてサファイアガラス、ミネラルガラス、プラスチックと3種類あります。そして、その風防の外周に位置する円状の「ベゼル」は風防ガラスをしっかり固定する部品として使用されています。しかし、腕時計が多機能化するに伴い、2カ国の時刻表示やダイヤモンドなどをあしらったデザインなどが登場したことで、近年ベゼルの役割が変化してきています。

腕時計の本体となる「ケース」は、ムーブメントを収める外装部品で、ホコリや衝撃からムーブメントを守る役割を担っています。ラウンド型、オクタゴン型、トノー型などさまざまな形状があり、腕時計の印象を決める大切なパーツです。「リュウズ(竜頭)」は、日付や時刻を合わせるためのつまみ部分のことで、文字盤の3時の横に位置していることが多く、機械式腕時計では、ゼンマイを手動で巻き上げるために使います。一般的な腕時計に使われる『引き出し式』と防水性を高める『ねじ込み式』のリュウズタイプがあります。

「ベルト(バンド、ブレスレット)」は、腕時計を腕に装着するための部分。布製や革製、ラバー製などがあり、金属製の場合はブレスレットと呼びます。「ラグ」は、ベルトとケースを接続するため、本体から出た突起部分のこと。そして、ケースとつなげるベルトの端部品は「エンドピース」と言います。エンドピースは、腕時計のケースに沿った形から、弓環(ゆみかん)とも呼ばれています。また、ベルトを留めて固定する部位の「バックル」は、「尾錠」というベルト穴に棒を通すタイプや、「Dバックル」といったベルトを折り畳んで固定するタイプ、バックルの接合部分が両方開閉する「両開きタイプ」など、腕時計のモデルによって留め具の形状が異なります。

クロノグラフに用いられるのが「プッシュボタン」。通常は、文字盤の2時と4時の横に2つのボタンが位置していますが、9時の横に1つだけのタイプもあります。タイム計測の際に、プッシュボタンを押すことで、スタート、ストップ、リセットの操作が可能です。「インダイヤル」は、文字盤内に配置された小さなダイヤルのことで、主にクロノグラフの30分積算計や12時間積算計のほかに、日付、曜日、月齢表示を備えたモデルがあります。

腕時計の必要性

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スマートフォンの普及により、腕時計を着用する必要性がないと感じている人が増えています。しかし、ビジネスシーンでは、腕時計は身だしなみのひとつとして欠かせない重要アイテムです。

ビジネスパーソンにとって、正確に時間管理をすることは必須スキルです。大切な商談中に、腕時計を付けずにスマホを使って時間確認を行えば、「話に集中していない」「ほかに急ぎの用件があるのか」と相手に不快な思いや誤解を与える可能性があります。相手への気遣いやマナーとして、腕時計でそっと時間を確認すればスマートで潔いです。

また、持っている腕時計のデザインやブランドで、自分のステータスや印象を表現できます。例えば、デジタルよりもアナログのほうがフォーマルな印象で、ケースの形はラウンドよりもスクエアのほうが、個性的な印象を与えます。腕時計ひとつで、その人のセンスや好み、ライフスタイルなどを相手に伝えることができるのです。自分のステータスが上った際に、よりよい腕時計を手に入れるなどすれば、仕事へのモチベーションアップにも役立ちます。

こだわって選んだ腕時計を身につければ、取引先や上司との共通の話題作りとなって、会話が盛り上がる可能性があります。腕時計は、コミュニケーションツールとしても役に立つのです。

スーツに合う腕時計とは?

スーツの袖口からチラッと見える腕時計にさりげなくセンスのいいものを選んでいると、相手に与える印象がグッとよくなります。スーツスタイルを格上げしてくれる腕時計の条件を説明していきます。

時間の表示方法はアナログを選ぶ

腕時計は、時間の表示方法によって大きくデジタルとアナログの2つに分かれます。デジタルは、液晶やLEDなど電子的構造で時刻を表示する時計のこと。アナログは、文字盤と指針で機械的に時刻を表すものを言います。

スーツに合わせるときは、知的な印象を与えるアナログ腕時計がおすすめ。デジタル腕時計はカジュアルで幼い印象を与える可能性があります。アナログには、秒針、分針、時針の三針が備わったものと、秒針のない分針と時針のみの二針タイプがありますが、ビジネスの場面では三針を選ぶのが基本です。フォーマルなビジネスシーンほど、きちんとした印象を与えるアナログ時計がふさわしいと考えられています。文字盤は、針や数字が見やすくて清潔感のある白無地、時計のインデックスはバーにすると、フォーマルな場でも着用できるので、1本持っていると便利です。

アナログ腕時計のメリットは、文字盤を一瞬見ただけで、針の位置関係や距離から感覚的に時間を判断できること。そして、時刻調整もリュウズを引き出して回すといったシンプルな方法なので、デジタルに比べて容易に操作できます。

ベルトの素材は金属製か革製にする

ベルトの素材には、金属製、革製、ラバー製、布製などさまざまな種類があります。ビジネスシーンでは、金属製か革製を選びましょう。金属製よりも革製のほうが、高級感がありエレガントなので、よりフォーマルなシーンに適しています。牛革やワニ革など天然皮革が使用されますが、なかでも最高級の革として位置付けられているのは、クロコダイルレザー。

色はフォーマルシーンでは黒、ビジネスシーンでは黒またはダークブラウンが好ましいです。革は金属ベルトに比べて軽いので腕が疲れにくく、フィット感に優れています。

一方で、金属製のメタルベルトは、革素材に比べて重みがありますが、その代わりに汚れと水に強くて丈夫です。洗練されたシャープな印象を与えます。コマと呼ばれる金属板の数と大きさによって装着感が異なり、コマ数が多いほど、やわかい装着感でフィットし、少ないとガッチリした装着感になります。多くの時計メーカーで採用されているのは3連タイプで、横3列になったコマを縦につなぎ合わせて構成しています。5連タイプは、横5列になったコマを縦につなぎ合わせており、高級時計で多く見られます。5連は3連に比べてドレッシーな雰囲気となります。

体形や腕の太さでケースの形と大きさを選ぶ

腕時計のケースの形や大きさは、体形によって似合うデザインが異なります。ケースのサイズは、リュウズを除いた時計の横のサイズのことを指します。手首のサイズで合わせる場合は、時計をつけた状態を上から見たときに、手首幅に対して60%〜70%ほどのケースサイズだとバランスがよくなります。

体形で合わせる場合には、体の大きい人は腕時計の形としていちばん定番のラウンドケース、細身の人はエレガントな縦長のレクタンギュラーケースと相性がいいです。筋肉質の人は、豪華さとスポーティーな雰囲気を併せ持った、正方形のスクエアケースが似合います。

手首幅と体形で合わせることが難しい場合には、ケースサイズから選ぶこともできます。ビジネススーツに合わせるときは、ケースサイズは大きすぎない控えめなサイズがいいので、35mm〜37mmを目安にします。40mm以下のサイズのほうが、日本人の平均的な手首サイズに合わせやすいです。手首の細い人は、メンズとレディースの中間サイズのボーイズサイズ32mm〜35mmがバランスよくフィットします。インパクトの大きい40mm以上のサイズは、スーツではなく、休日のカジュアルなスタイルに合わせるのがおすすめです。

腕時計のベルトは革靴の色と合わせる

スーツに合わせる革靴や腕時計などの小物は、同色でまとめると統一感が出てオシャレ度がアップします。そのため、腕時計のベルトの色は、革靴の色と合わせましょう。革靴が黒のときは腕時計も黒、革靴がブラウンのときは腕時計もブラウンにします。革靴と腕時計の色が違うと、不ぞろいでやぼったくなるので気をつけます。スーツに合わせる革靴の色は黒と茶系が定番なので、腕時計の革製ベルトに黒がダークブラウンのものを持っていれば、コーディネートに迷わなくて済みます。金属製ベルトのものを身につけるときは、ビジネスベルトのバックルの金具の色や質感とを合わせる、もしくはシルバー系を選ぶとスーツのコーディネートにまとまりが出ます。

上級者のテクニックを採り入れるなら、腕時計のベルト、靴、ビジネスベルト、バッグなど小物すべてを同じ色のトーンにし、そして素材もそろえます。ダーク系ブラウンの牛革であれば、スーツに合わせる腕時計のベルトや靴など小物すべてを同じダーク系ブラウンかつ牛革素材にそろえます。すべてを統一することで、全身が引き締まった印象になり、周りから一目置かれるでしょう。

スーツに腕時計を合わせるときのマナー

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腕時計は、TPOに合わせてデザインを使い分ける必要があります。マナーを知らずに場違いな腕時計をつけると恥をかくかもしれません。ビジネスや結婚式などシーン別にスーツと腕時計をコーディネートする際のマナーを見ていきましょう。

ビジネスシーンでは、周囲に配慮した腕時計をつける

ビジネスパーソンにとって、腕時計は必需品。ビジネスの場面では、取引先や顧客、上司などさまざまな人と接する機会があります。上司よりも高価な腕時計をつけていると、快く思われない可能性があります。また、取引先ではあまり派手なデザインよりも、目立ちすぎないシンプルなデザインが無難でしょう。かといって、安価すぎる腕時計は子どもっぽい印象になりますので、注意が必要です。相手の人に失礼のないよう心配りをして、自分の年齢や立場を考慮し、身の丈に合った腕時計を選ぶことが大切です。

職業や会社によって、腕時計のマナーは異なってくると思いますが、正確な時間が把握できて、周りの人々に誠実な印象を与える腕時計を装着することを心がけるのがポイントです。

就職活動では、第一印象を大切にしたシンプルなデザインを選ぶ

就職活動でのスーツ着用時、ビジネス同様に腕時計を身につけることがマナーだと考えている採用担当者は多く存在します。傷や汚れがないのはもちろんのこと、デザインは落ち着いた装飾の少ないものを合わせます。ベルトの色は革製では、黒か茶色、金属製ではシルバーメタルと目立たない色にします。文字盤は、白・黒・ネイビーとシックな色をチョイス。デジタルタイプは、面接中にアラーム音が鳴ってしまうという事も考えられるので、大人っぽい印象のアナログタイプを選びましょう。アウトドアやスポーツ用の腕時計は、カジュアルなので就職活動時にふさわしくありません。ケースは、極端に厚みがなくてスーツの袖に収まるサイズがいいです。

就活用の腕時計の値段は、5000円〜2万円程度を目安に。就活用スーツと腕時計の価格帯を合わせるという手段もあります。そうすることで、スーツと腕時計のどちらかが浮いてしまう心配がなく、コーディネートに統一感が出ます。高級ブランドは悪目立ちする可能性があるので、避けたほうが無難です。第一印象が大事な面接時には、シンプルで清潔感のあるデザインの腕時計を選ぶようにしましょう。

結婚式では、腕時計の着用がふさわしい場面か見極めること

結婚式で腕時計をすることは、「時間を気にしている」「早く帰りたいのでは」というイメージにつながる理由から、マナー違反とされてきました。しかし昨今では、時間を確認する目的ではなく、ファッションアイテムのひとつとして身につけられるようになり、腕時計への認識が変化しています。そのため、本来はマナー違反だと認識されていた腕時計を結婚式でつける場合は、式場の雰囲気と周囲に配慮した腕時計を選ぶことが肝心です。

結婚式はフォーマルな場面なので、カジュアルなデザインの腕時計は避けます。スーツに合わせるのは、三針のアナログ式タイプがいいです。バンドは、シルバーのメタルバンドまたは黒色かダークブラウンの革製ベルトを選びます。ゴールドやカラフルな派手な腕時計は、結婚式にふさわしくありません。

結婚式は、新郎新婦が主役です。腕時計は、控えめで目立たないものを着用しましょう。式の間は、腕時計を覗き込まないように注意し、席を離れたときに時間を確認するとスマートです。格式の高いホテルや結婚式場、出席者に年配者が多い結婚式の時は、本来のマナーを優先し、腕時計は外した方がいいでしょう。

お葬式では、派手なデザインの腕時計は避ける

お葬式では、華美な装飾品を身に着けることはマナー違反です。しかし腕時計は、結婚指輪と同じように、派手ではない落ち着いたデザインであれば着用しても問題ありません。

喪服に合わせる腕時計は、二針か三針のアナログ式タイプで、ケースの形はクラシックなラウンド、レクタンギュラーもしくはスクエアの薄型にします。ベルトは、喪服の色に合わせた黒の革製ベルトが最適ですが、ステンレススチールでもいいでしょう。革製のベルトは、殺生をイメージさせるため、黒以外は避けます。文字盤の色は白、黒、シルバーが無難です。ゴールドやダイヤモンド装飾がされている派手な印象の腕時計は、お葬式に適していません。

お葬式は亡くなった方とお別れをする大切な儀式。そんななかで時間を確かめることは失礼に当たりますので、気をつけましょう。また、スマホを含めた携帯電話を腕時計代わりに使用することは、マナーに反します。お葬式にふさわしい腕時計がないときは、必ず身につけなければならないアイテムではありませんので、腕時計を着用しないという選択肢もあります。

まとめ

腕時計は時代の流れと共に技術が進化し、存在価値も変化してきました。最近では、腕時計離れが広がりつつあると言われています。しかし、ビジネスシーンにおいてスーツに腕時計を合わせることは、身だしなみの基本です。腕時計は、自分の体形に合うちょうどいい大きさで、品のいいデザインを選びましょう。

スーツを着るビジネス以外の場面でも、オフのとき以外はシンプルで控えめなデザインがいいとされています。場の雰囲気に合わせた腕時計を選択できると、マナーを心得たオシャレを楽しむことができます。周りからの印象も確実に変わるでしょう。

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