腕時計

人気のダイバーズウォッチを徹底解説!
魅力や特徴、スーツに合う1本を紹介

2022.10.06(最終更新:2023.09.13)

人気のダイバーズウォッチを徹底解説!<br>魅力や特徴、スーツに合う1本を紹介

ダイバーズウォッチは、プライベートからビジネスまで幅広いシーンで使える定番の腕時計です。名前のとおり潜水用の腕時計であるダイバーズウォッチがなぜ人気なのか、疑問に思っている人は多いでしょう。この記事では、ダイバーズウォッチの魅力やスーツに合うモデルを選ぶときのポイント、そしておすすめのブランドを紹介します。

目次
  1. ダイバーズウォッチとは?
  2. ダイバーズウォッチの魅力・特徴
    1. 水中で役立つ機構が搭載されている
    2. 長く愛用できる
    3. ベルトで雰囲気を変えられる
    4. スーツとも相性がいい
  3. スーツに合うダイバーズウォッチを選ぶときのポイント
    1. デザイン
    2. ケースのサイズ
    3. ベルトの素材
  4. ダイバーズウォッチのおすすめブランド
    1. EDOX
    2. OMEGA
    3. セイコー PROSPEX
    4. PANERAI
  5. まとめ

ダイバーズウォッチとは、潜水に特化した機能を数多く備えている腕時計のことです。現代の腕時計のほとんどは日常生活防水に対応していますが、ダイバーズウォッチの防水性能はそれをはるかに上回ります。防水性だけでなく耐圧性や耐磁性、耐衝撃性などの点で、通常の腕時計を超える性能がダイバーズウォッチには備わっています。そして、着用したままスキューバダイビングなどのアクティビティを楽しめるのもダイバーズウォッチの特徴です。

一般的に、ダイバーズウォッチを水中で使うためには200m以上の防水性能が必要だと言われています。この数字は静止状態において耐えられる深度なので、泳いだり、作業したりする場合は例外です。本格的に潜水するのであれば、最低でも300m防水のモデルを選ぶ必要があります。

ダイバーズウォッチの定義はJISやISOといった規格で厳密に定められています。例えば、暗い場所でも25cmの距離から時刻を確かめられる視認性が条件のひとつです。そのため、ほとんどのモデルではインデックスと針に夜光塗料が塗られており、暗い場所でも判読できるように工夫が施されています。

また、4800A/mの磁界において日差30秒以内の精度を維持する耐磁性もダイバーズウォッチには求められます。これは、磁気を帯びている製品を5cmの距離に近づけても時間が狂わない程度の耐磁性です。深海で現在の時刻がわからなくなると、重大な事故にもつながりかねません。予期せぬ事態を防ぐ意味でも、ダイバーズウォッチには通常の腕時計の3倍もの耐磁性が求められています。そのほか3kgのハンマーで打撃を加えても一定の精度を保つ耐衝撃性や、濃度3%の塩水に24時間浸してもサビが生じない耐塩性なども条件に含まれています。

ダイバーズウォッチ誕生の経緯において、先鞭をつけたのはロレックスです。1926年、ロレックスは世界初の防水ケースである「オイスターケース」を開発しました。オイスターケースでは、金属の塊をくりぬいて本体とし、リュウズやベゼルといったパーツをねじ込むことで高い防水性を実現しています。オイスターケースの登場後、オメガやティソ、パネライなどのブランドが次々に防水時計を世に送り出しました。

1950年代に入り、現在のダイバーズウォッチの原型となるモデルがいくつか誕生しました。その代表格が、ロレックスの「サブマリーナー」とブランパンの「フィフティ ファゾムス」です。1953年に発売されたサブマリーナーは、100m防水に加えて視認性の高い文字盤や潜水時間を測定できる回転ベゼルなど、ダイバーズウォッチの主要な特徴を備えていました。現在でも、サブマリーナーはロレックスの定番シリーズとして高い知名度と人気を誇っています。

一方のフィフティ ファゾムスも、発売されたのはサブマリーナーと同じ1953年です。水中の戦闘でも使える腕時計として、フランス軍の要請を受けて開発されました。名前の由来となった50ファゾムス(1ファゾムは約1.83m)、すなわち約91.5mの防水性能を備え、サブマリーナーのようにブラックダイヤルや回転ベゼルが特徴となっています。デザインもよく似ており、どちらが元祖ダイバーズウォッチなのかという議論には決着がついていません。

ちなみに、フィフティ ファゾムスは1956年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した海洋ドキュメンタリー「沈黙の世界」において、共同監督を務めた海洋学者のジャック=イブ・クストーが着用していたことでも知られています。一方のサブマリーナーは、007シリーズで初代ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーが劇中で着用していました。

その後、1957年に発売されたブライトリングの「スーパーオーシャン」やオメガの「シーマスター 300」など、より本格的な性能を備えたダイバーズウォッチが登場し、その流れはいまでも続いています。現在では、1000m以上の防水性能を誇るモデルがさまざまなブランドから発売されています。

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ダイバーズウォッチには、通常の腕時計にはない魅力や特徴が備わっています。ここからは、ダイバーズウォッチならではの魅力や特徴について詳しく紹介します。

もともと潜水用に作られているダイバーズウォッチには、水中で役立つ機構が多く搭載されています。なかでもダイバーズウォッチを特徴づける3つの機構が、逆回転防止ベゼルとエクステンションバックル、そしてヘリウムエスケープバルブです。

逆回転防止ベゼルとは、反時計回りにしか回転しないようにロックされているベゼルのことです。ダイバーズウォッチを身に着けたダイバーは、ベゼルの位置によって潜水時間を計測します。このとき、何かの拍子にベゼルが時計回りに回転してしまうと、ベゼルに示されている潜水時間が実際よりも短く表示されます。ボンベの空気には制限があり、潜水時間の見誤りはダイバーの命にかかわるため、逆回転を防止することで潜水中の重大な事故を防いでいるのです。デザイン面に関しても、ベゼルはダイバーズウォッチを象徴するアクセントになっています。ペプシカラーのアルミニウムやシックな黒のセラミックなど、ベゼルのデザインは多岐にわたるので、利用シーンに合わせて選ぶとよいでしょう。

次に、エクステンションバックルも水中で役立つ機構のひとつです。バックルとはベルトの留め金のことで、エクステンション機能が付いたものは長さを30mmほど調節できます。ベルトの長さは簡単に変えられませんが、エクステンションバックルがあればすぐに着脱できます。ダイビングスーツを着ているときも、簡単に腕時計を着脱できるように搭載されている機構です。

飽和潜水を行う本格的なダイバーにとっては、ヘリウムエスケープバルブが役に立ちます。飽和潜水とは、体の組織に十分な量の気体を吸収させたうえで行う100m以上の潜水のことです。水中に深く潜るほど水圧は高まり、それに伴って体の組織に溶け込む気体の量も増えていきます。地球上の気体の約8割を占める窒素は、一定以上の量で体に溶け込むと中毒を起こし、酒酔いに似た症状を起こします。この窒素中毒を防ぐために、飽和潜水ではあらかじめヘリウムガスを体の組織に吸収させておくのです。体が吸収できる気体の量は決まっているため、事前にほかの気体で満たしておけば水圧が増しても窒素中毒は起こりません。

窒素中毒以上に警戒しなければならないのが、深いところから浮上していくときに起こる減圧症です。減圧症は潜水病とも呼ばれ、体の内部に気泡が生じることで血行障害などの疾患につながる症状です。水中で浮上すると周囲の圧力が下がり、体の組織に溶け込める気体の量も少なくなります。その結果、組織が吸収していた空気が血液中などに生じ、重大な疾患の原因となるのです。

飽和潜水では長い時間をかけて体にヘリウムガスを吸収させてから潜水し、作業後は長い時間をかけて体のガスを抜くので窒素中毒も減圧症も起こりません。ただし、腕時計にある機構が備わっていないと、減圧時に風防などが破損する恐れがあります。ヘリウムガスは酸素などよりも分子が小さく、加圧時にケースの内部に入り込んでいます。このヘリウムガスを減圧するときにケース内部から抜かなければ、内部で膨張してパーツの破損を引き起こすのです。

ヘリウムエスケープバルブは、飽和潜水における減圧を想定して設けられた機構です。自動でガスを抜くタイプと、リュウズを回して手動でガスを抜くタイプの2種類があります。日常生活で役立つ機構ではありませんが、このような背景があると知れば、ダイバーズウォッチにより大きなロマンを感じられるのではないでしょうか。ちなみに、ヘリウムガスすら内部に侵入できない高い気密性を実現することで飽和潜水に対応しているモデルも存在します。

先述のとおり、ダイバーズウォッチには高い機能性が備わっています。防水性が高いため、雨などで多少濡れたくらいでは故障しません。また、衝撃にも強いのでどこかにぶつけてしまってもトラブルに発展する可能性は低いです。このように、壊れにくいために長く愛用できることがダイバーズウォッチの魅力だと言えます。

確かに、逆回転防止ベゼルやヘリウムエスケープバルブなどの機構を日常で活用する機会はほとんどありません。1000m以上の防水性能についても、オーバースペックだと感じる人は多いでしょう。しかし、オーバースペックだからこそ日常生活で安心して着用できるという側面もあります。特に、数十万円以上の高級腕時計を身に着けている場合はなおさらではないでしょうか。万が一の事態に耐えられるスペックを腕時計が備えていることは、想像以上に心強いものです。

ダイバーズウォッチはシンプルなデザインのモデルが多く、さまざまな色や素材のベルトを合わせられます。マリンスポーツで着用するときはカジュアルなラバーベルト、ビジネスシーンで着用するときは上品なレザーストラップといったように、シーンに応じてベルトを付け替えるのもいいでしょう。高級腕時計を複数用意せずとも、ベルトを替えるだけでシーンに合わせられるのはダイバーズウォッチの大きなメリットです。

アクティブに活動する場面で役立つ機能を多く搭載しているダイバーズウォッチですが、カジュアルなデザインのものばかりではありません。現在はスタイリッシュで優雅なモデルが主流となっており、ビジネスシーンでも高い人気を得ているのです。ケースも大きすぎず、基本的にはスーツの袖に収まるサイズとなっています。プライベートでもビジネスでも使えるマルチな腕時計を探しているのであれば、シックなデザインのダイバーズウォッチを選ぶのが賢明です。

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ダイバーズウォッチはスーツとの相性がいい腕時計ですが、どのモデルを選んでもよいわけではありません。買ってから後悔しないためにも、ビジネスシーンにふさわしいものを見極めることが大切です。ここからは、スーツに合うダイバーズウォッチを選ぶときのポイントとして、「デザイン」「ケースのサイズ」「ベルトの素材」の3点について解説します。

デザインは腕時計の印象を大きく左右するポイントです。ダイヤルの色はスーツとの相性を考慮して黒やブルーなどの暗めのものを選ぶとよいでしょう。なるべくオーソドックスなデザインを選ぶよう心がけ、人目を引く奇抜なものは避けるのが無難です。

ダイバーズウォッチのケースのサイズもモデルによってまちまちです。強いインパクトを与える巨大なケースから、スリムでコンパクトなケースまで幅広くそろっています。スーツに合わせるときは、袖口に収まるように控えめなサイズのものを選ぶようにしましょう。

先述のとおり、ダイバーズウォッチはベルトの素材にも豊富なバリエーションがあります。一般的に、ラバー素材やファブリック素材のベルトはカジュアルな印象が強めです。ビジネスシーンにふさわしいのは、レザーストラップやステンレススチールなどのブレスレットでしょう。ベルトを交換できる場合も、スーツと相性のいい素材のものを用意しておく必要があります。

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自分好みのダイバーズウォッチを選ぶときは、ブランドを基準にするのがひとつの方法です。優れたブランドの特徴を知り、ダイバーズウォッチ選びの参考にするとよいでしょう。ここからは、ダイバーズウォッチに定評があるおすすめの4ブランドを紹介します。

EDOX(エドックス)は1884年にクリスチャン・リュフリ=フルーリーがスイスで創業した時計ブランドです。「EDOX」には古代ギリシャ語で「時間」という意味があり、砂時計のシンプルなロゴマークがブランド名を象徴しています。創業後は順調に事業を拡大していき、1955年には500人もの時計職人を擁する近代的な巨大工場をスイスに設立しました。

エドックスの転機となったのが、1961年に発表した防水時計「デルフィン」です。デルフィンでは、特許を取得したダブル-Oリングという技術によって、当時としては驚異的な200m防水を実現しています。これは、リュウズ部分のOリングを二重にすることで、ねじ込み式を採用せずに防水性能を高める技術です。続いて1965年に誕生した「ハイドロサブ」では、ダブル-Oリングをさらに進化させて500m防水を実現し、世界を驚かせました。以来、エドックスはダイバーズウォッチの名門として広く認知されるようになり、現在も「THE WATER CHAMPION」というコンセプトを掲げて技術向上に努めています。

エドックスでも不動の人気を誇っているシリーズが「クロノオフショア1」です。パワーボートの最高峰であるClass-1の公式タイムキーパーにエドックスが選ばれたことを記念して開発されたモデルで、裏蓋に刻印されたスクリューマークがボートとのつながりを表しています。ベゼルの素材には傷が付きにくいハイテクセラミックを採用しており、見た目にも上質な雰囲気を漂わせています。300~1000mの高い防水性能が備わっており、シーンに応じてベルトをレザーやラバー、メタルに交換できるのもうれしいポイントです。クロノオフショア1は、機能性とデザイン性を高い次元で兼ね備えたダイバーズウォッチの筆頭だと言えるでしょう。

腕時計にそれほど詳しくない人でも、OMEGA(オメガ)の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。オメガの歴史は、1848年に時計職人のルイ・ブランがスイスのラ・ショー・ド・フォンに工房を設立したことから始まりました。1894年に誕生した傑作ムーブメント「オメガ」をもとに、現在の社名に変わったのは1903年のことです。その後もオリンピックの公式タイムキーパーを務めるなど、オメガは着実に知名度を高めていきます。

1948年には「シーマスター」が、1957年にはアポロ11号の宇宙飛行士が着用したことでも有名な「スピードマスター」が誕生しました。そのほか1952年発表の「コンステレーション」や1967年発表の「デ・ヴィル」など、オメガは現在まで続く名作を次々と生み出していきます。そして、1969年にセイコーが巻き起こしたクォーツショックも乗り越えて、いまでもオメガは世界的なブランドの地位を保っているのです。

オメガを代表するダイバーズウォッチ、シーマスターが誕生した当初、防水性能はそれほど高くありませんでした。しかし、1957年に「シーマスター 300」が登場してからは本格的な防水性能が備わり、1970年代に登場した飽和潜水対応の「プロプロフ」では600m防水を実現しています。プロプロフはさらに進化を続け、現行モデルでは1200m防水という最高レベルの性能を達成しています。

オメガにおけるダイバーズウォッチの歴史に新たな1ページを加えたのが「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ プロフェッショナル」です。2019年、冒険家のヴィクター・ヴェスコヴォはマリアナ海溝の最深部1万925mに世界で初めて到達しました。このとき、ヴェスコヴォはオメガが開発した1万5000mの水圧にも耐え得るモデルを携えていたのです。新たな挑戦を続けるオメガのパイオニア精神は、今後のモデル開発にも大きな影響を与えていくでしょう。

国産のダイバーズウォッチを求める人には、セイコーのPROSPEX(プロスペックス)をおすすめします。プロスペックスでは「陸」「海」「空」などのシーンに対応した本格的なスポーツウォッチが展開されています。このプロスペックスを代表する存在が「海」に対応するダイバーズウォッチです。

1881年創業のセイコーは、クオーツ式ムーブメントをはじめとして時計業界に数多くの革新をもたらしてきました。そのセイコーがスイスの時計産業に追いつこうと1965年に開発したのが、国産初のダイバーズウォッチ「マリーンマスター」です。初代モデルから150m防水という高い性能を備えていましたが、1968年には300m防水、1975年には600m防水と、企業努力によってさらなる進化を遂げていきます。

現在のシリーズ名は「マリーンマスター プロフェッショナル」で、最大1000m防水の高い機能性と、ケースの周囲をプロテクターで保護した独特のデザインが特徴です。プロスペックスのダイバーズウォッチとしては、飽和潜水対応の「ダイバースキューバ」もリーズナブルで人気があります。

イタリアの高級ブランドPANERAI(パネライ)は、イタリア海軍にミッションの際に使用する腕時計を提供していたことで知られています。長らく軍用の防水時計開発に従事していましたが、冷戦終結を機に1993年から民間向けに腕時計の販売を開始しました。現在の2大看板である「ラジオミール」と「ルミノール」も、もともとは軍事時計として開発された経緯があります。ちなみに、これらのモデル名はインデックスや針の塗料として使われた蛍光物質に由来しています。

パネライの腕時計の特徴は、大きくて分厚いクッション型ケースです。ラウンドとスクエアの中間のような形で、ケースの大きさから非常に強い存在感があります。また、ダイバーズウォッチに特化したシリーズ「サブマーシブル」などでは、独特のロックレバー式リュウズプロテクターが採用されています。個性を楽しみたい人はパネライのダイバーズウォッチを検討してみるといいでしょう。

ダイバーズウォッチには高い機能性が備わっており、ビジネスからマリンスポーツまで、幅広いシーンで使うことができます。1000m防水など、現在のハイスペックを備えるまでには長い歴史があり、そうした背景を感じられる点もダイバーズウォッチの魅力だと言えるでしょう。スーツと相性がいいスタイリッシュなモデルも多いため、気になるブランドから自分好みのモデルを探してみてはいかがでしょうか。

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