スーツ
ジャケパンスタイルを上手にまとめる方法とは?
オン・オフともに活躍するコーディネート例を紹介。
2023.06.09(最終更新:2023.10.18)
オフィスカジュアルからプライベートまでカバーできる着こなしとしてジャケパンスタイルが注目を集めています。ジャケパンスタイルの魅力を知ることで、おしゃれの幅を広げましょう。この記事では、ジャケパンスタイルの魅力やコーディネート例、おすすめのブランドなどを紹介します。
ジャケパンとは?
ジャケパンとはジャケットとパンツを組み合わせるスタイルのことを指します。スーツのように同じ生地でそろえるのではなく、異なった色や素材のジャケットとパンツを合わせてコーディネートします。スーツよりも印象が柔らかくなり、幅広い場面で活用できるのがジャケパンスタイルの特徴です。
現代社会ではビジネスカジュアルが浸透したこともあり、服装のルールが緩和される傾向にあります。しかし、スーツでなければ出勤できない企業もまだ多く、ジャケパンスタイルで出勤する前によく確認する必要があります。明確にルールが定められていない場合は、上司や同僚の服装から判断するのもひとつの方法です。
もちろんプライベートでもジャケパンスタイルは活躍してくれます。清潔感のあるコーディネートは、少しかしこまったレストランや、パートナーとのお出かけなど、プライベートでも活躍してくれるスタイルです。また、スーツスタイルにはマンネリ化しやすい欠点がありますが、ジャケパンであればジャケットとパンツの組み合わせ次第で印象を大きく変えられます。日常のコーディネートの幅を広げるためにも、ジャケパンスタイルの着こなし方を覚えておくとよいでしょう。
ジャケパンスタイルの魅力
ジャケパンスタイルには、スーツにはないさまざまな魅力が備わっています。ジャケパンスタイルの魅力を理解し、ビジネスやプライベートで正しく活用してください。ここからは、ジャケパンスタイルの主な魅力を紹介します。
親しみやすい雰囲気になる
ジャケパンスタイルの最大の魅力は、きっちりした雰囲気を保ちながら、親しみやすさも演出できることです。上下そろいのスーツはスタイリッシュなアイテムですが、ある種の堅苦しさが漂います。一方、カジュアルなパンツを採り入れて適度に崩したジャケパンスタイルなら、スマートで軽快な印象になります。
また、コーディネートを工夫すればおしゃれな印象も与えられます。スーツではコーディネートできる部分が限定されますが、ジャケパンスタイルなら色やアイテムを自由に変更できます。毎日コーディネートを変えることで、おしゃれに気を配る人として好感度も高まるはず。職場がオフィスカジュアルを採用していれば、硬い印象のスーツではなく、ジャケパンスタイルを採り入れて親しみやすさを演出してみてください。
ジャケパンスタイルはコストパフォーマンスが高い
コストパフォーマンスの高さもジャケパンの魅力のひとつです。スーツはコーディネートが比較的に容易で便利ですが、必ず上下セットで買わなければなりません。スーツでバリエーションを出そうとすれば、何着ものスーツを買うことになるので出費がかさみがちです。3着のスーツを買ったとしても、バリエーションはそのまま3通りです。
一方、ジャケパンスタイルではジャケットとパンツの組み合わせを自由に変えられます。例えば、ジャケットとパンツをそれぞれ3着ずつ購入した場合、考えられる組み合わせは9通りです。もちろん色の相性などもあるので一概にはいえませんが、少ない出費で多彩なコーディネートが楽しめるという点ではジャケパンに軍配が上がるでしょう。
また、スーツはあくまでもセットで考えるため、ジャケットかパンツのどちらかが傷むと着られなくなります。しかし、組み合わせ自在のジャケパンスタイルなら、どちらかが傷んでも別のジャケットやパンツで代えが利くので無駄がありません。
さらに、ジャケパンスタイルはプライベートでも通用します。ビジネスではスーツ、プライベートではカジュアルスタイルと分けていると、プライベート用の衣服も必要になります。ビジネスとカジュアルの中間にあるジャケパンスタイルならビジネスでもプライベートでも使え、コストを抑えることができます。
おしゃれな小物を合わせやすいのがジャケパンスタイル
スーツをうまく着こなすためには細かいルールを守る必要があります。革小物の色をそろえる、柄が入ったアイテムを採り入れすぎないなど、全体のバランスを崩さないためにさまざまなルールに配慮しなければなりません。一方、ジャケパンはスーツに比べてルールがゆるく、採り入れられる小物の幅が広いため、おしゃれをより自由に楽しめます。
スーツをカジュアルダウンするために、スニーカーやリュックなどのカジュアルアイテムを合わせる方法がありますが、バランスを間違えると調和の取れないコーディネートになりがちです。その点、ジャケパンであれば気軽にカジュアルアイテムを合わせられます。もちろんプライベートならデニムシャツといったカジュアルアイテムを採り入れてみるなど、コーディネートの自由度はより高くなり、ジャケパンスタイルを楽めます。
ジャケパンスタイルのコーディネート例
ジャケパンスタイルの魅力を押さえたら、次は具体的なコーディネートを参考にしてください。ここからは、ジャケパンスタイルのおすすめコーディネート例を紹介します。
ネイビージャケット×グレーパンツ
ネイビーとグレーの組み合わせはジャケパンの王道スタイルです。落ち着いた色合いなのでビジネスシーンに適しており、プライベートで着ても嫌味がありません。ジャケパンスタイルの初心者は、ベーシックカラーのネイビーまたはグレーを基本にしてしてコーディネートを考えるといいでしょう。
ネイビージャケットとグレーパンツを合わせるときは、地味になりすぎないようにインナーに華やかなストライプシャツなどを着るのがおすすめです。シックにまとめたい場合は、黒のタートルネックセーターとビットローファーなどを合わせるのもいいでしょう。なお、ジャケパンスタイルにニットを合わせるときは、編み目が細かいハイゲージのほうがよく調和します。
グレージャケット×ベージュパンツ
グレージャケットとベージュパンツもコーディネートしやすい組み合わせです。ライトグレージャケットに白シャツを合わせれば、春らしい爽やかさを演出できます。ベルトや革靴などの小物でダークブラウンを採り入れ、雰囲気が軽くなりすぎないように引き締めるのがポイントです。
冬のジャケパンスタイルなら、チャコールグレージャケットに起毛がかったベージュパンツで季節感を演出。センタープレスがしっかりと入ったパンツを選ぶことで、清潔感のあるコーディネートが完成します。インナーは黒のタートルネックなどを選ぶといいでしょう。
グレージャケット×ネイビーパンツ
グレージャケットとネイビーパンツを合わせるコーディネートもオーソドックスなスタイル。やや硬い印象があるため、ネクタイなどで遊びを加え、雰囲気をやわらげることをおすすめします。例えば、グレーストライプシャツにペイズリー柄のネイビーネクタイを合わせれば統一感があり、適度に崩した雰囲気が出せます。また、シャツとネクタイをブルー系で統一して爽やかさを漂わせるのもありです。なお、ジャケットのグレーが膨張色なので、ネイビーパンツを濃いめにするとコーディネートがスタイリッシュにまとまります。
ネイビージャケット×白パンツ
清潔感を強調したい場合は、白パンツがコーディネートの必須アイテムになります。白パンツはジャケットと相性がよいので積極的に採り入れましょう。ただし、かっちりしたジャケットに合わせると気合が入りすぎた着こなしになるため、全体にリラックスしたアイテムを採り入れるのがおすすめです。カジュアルなシルエットのネイビーアンコンジャケットにブルー系のチェックシャツなどを合わせ、休日のリラックススタイルを完成させてください。
ネイビージャケット×カーキパンツ
ジャケパンスタイルでは、カーキパンツも汎用性が高いアイテムです。採り入れることで季節感も演出できるため、特に秋冬はカーキパンツに挑戦してみましょう。ネイビージャケットにカーキパンツを合わせるコーディネートは、ダークトーンでまとめることで大人の雰囲気が漂います。さらに、白シャツとチャコールグレーのセーター、ダークブラウンの革靴などを合わせるとバランスのとれた着こなしになります。
グレンチェックジャケット×黒パンツ
ジャケパンスタイルをよりおしゃれに仕上げたいときには、柄物アイテムを採り入れるという方法があります。グレンチェック柄のグレージャケットに黒パンツを合わせれば、シックで洒脱なスタイリングが完成します。さらに、白シャツと黒ネクタイを合わせてモノトーンで統一すればスッキリとまとまるでしょう。
ジャケパンスタイルで柄物を採り入れるときは、上下どちらかだけにするのが鉄則です。ジャケットが柄物ならパンツは無地を、パンツが柄物ならジャケットは無地を選ぶようにしましょう。グレンチェック柄のグレーパンツに、黒ジャケットと黒タートルネックを合わせる着こなしなどはスタイリッシュでおすすめです。
シアサッカージャケット×デニムパンツ
春夏の涼しげなスタイリングを目指すのであれば、シアサッカージャケットとデニムパンツというカジュアルなアイテムを合わせてみましょう。インナーにはブルー系のTシャツを選び、軽やかな休日コーディネートを作ってみてはいかがでしょうか。上半身が淡い色合いになるため、下半身のデニムパンツと革靴にはダークな色合いを採り入れ、全体を引き締めるのがポイントです。
グレージャケット×グレーパンツ
ジャケパンスタイルの魅力はジャケットとパンツを自由に合わせられることですが、あえて同系色でまとめるコーディネートもおしゃれです。ジャケパンの基礎ともいえるグレーやネイビーであれば、同系色でそろえてもバランスよくまとまります。
ゆったりしたシルエットのグレージャケットとグレーパンツ、そして白のバンドカラーシャツを合わせれば落ち着いたリラックススタイルができあがります。上下をネイビーでまとめるときは、インナーにブルー系のシャツを採り入れると爽やかな雰囲気になります。
ツイードジャケット×チェックパンツ
秋冬らしい装いを楽しみたい人は、ツイードジャケットとチェックパンツの組み合わせを試してみてください。ツイードジャケットでグレーを、チェックパンツでブラウンを採り入れることで、クラシカルな風合いを漂わせる上品なコーディネートになります。インナーには黒ニットを合わせ、足元にはビットローファーを採り入れれば知的な休日スタイルが完成します。爽やかさをプラスしたい場合は、黒ニットの代わりに白シャツを使うといいでしょう。
ジャケパンスタイルのおすすめブランド
ジャケパンはアイテムを選ばずコーディネートを楽しめるスタイルですが、優れたアイテムを提供しているブランドを知れば楽しみはさらに広がります。ここからは、ジャケパンスタイルにおすすめの5ブランドを紹介します。
LARDINI(ラルディーニ)
「LARDINI(ラルディーニ)」はイタリアを代表するファクトリーブランドです。ラルディーニは1978年、イタリア中央東部のアンコーナという港町でルイジ・ラルディーニによって創業されました。もともとは仕立て専門のブランドとして世界中のメゾンの製品を仕立てていましたが、1993年にはオリジナルブランドを立ち上げています。
ラルディーニでは「メイド・イン・イタリー」にこだわっており、すべての製造工程でイタリアメイドを貫いています。また、チェルッティやロロ・ピアーナといった有名テキスタイルメーカーの生地を調達し、素材にこだわった仕立てを行っている点もラルディーニの魅力です。
ラルディーニのジャケットのラペルには花形のブートニエールがあしらわれています。これはフランスのヌーベルバーグを参考に、享楽主義やロマン主義を表現したディテールだといわれています。ここにも伝統と革新を調和させるラルディーニらしさが感じられます。
ラルディーニといえば、芯地を抜いて仕立てられたアンコンジャケットが有名です。洒脱な大人のジャケパンスタイルを楽しみたい人は、ラルディーニのアンコンジャケットを試してみることをおすすめします。
TAGLIATORE(タリアトーレ)
「TAGLIATORE(タリアトーレ)」はイタリアの人気テーラーブランドです。母体であるレラリオ社の支援を受て、デザイナーのピーノ・レラリオが1998年に立ち上げました。ブランド名「タリアトーレ」は日本語で「裁断士」を意味し、創業者の祖父が靴のアッパーを裁断する職人であったことに由来しています。
タリアトーレのジャケットにはデザイナー自身のこだわりがぎっしりと詰め込まれています。大きな特徴は、独特のウエストラインとワイドラペル、そしてぜいたくな素材です。タリアトーレのジャケットではウエストが大胆に絞られており、男性的なセクシーさを表現しています。ワイドラペルはクラシカルな意匠で、優雅でありながら堂々とした威厳を漂わせます。
パーソナライズシステムを採り入れていることもタリアトーレの人気の理由です。ボタンの種類や肘パッチの有無といったディテールをカスタマイズでき、ファッションを楽しむための工夫が凝らされています。さらにジレにこだわっていることもタリアトーレの独自性のひとつです。ジレはクラシカルな装いに必要不可欠であるというデザイナーの理念に基づき、ファッションスタイルをランクアップさせる上質なジレを提供しています。
CIRCOLO 1901(チルコロ 1901)
「CIRCOLO 1901(チルコロ 1901)」はスウェットジャケットに特化したイタリアのブランドです。1901年創業のテキスタイルメーカーS.G.L.社が母体となり、2009年にイタリアのバーリで立ち上げられました。ブランドコンセプトは「イージークラシック」で、スウェット素材でありながらクラシカルな仕立てにこだわった製品を世に送り出しています。
チルコロ 1901が革新的だといわれるのは、スウェット生地でジャケットを仕立てるという大胆なアイデアを打ち出したためです。ウールのような織物に比べ、スウェットのような編物は扱いにくいといわれています。そのスウェットでジャケットを仕立てていること自体が驚くべきポイントなのです。
また、母体がテキスタイルメーカーであることを生かし、見た目にはウールと遜色ないスウェット生地を使用しています。ウールジャケットの上品な風合いとスウェット素材のリラックス感を両立させた点にチルコロ 1901の革新性があります。
スウェット素材のリラックス感を最大限に生かしたアンコンジャケットがチルコロ 1901の真骨頂です。袖には裏地が付いているので着脱もスムーズにでき、ジャケパンスタイルにふさわしい快適な着心地が楽しめます。柔らかいはき心地のテーラードパンツも人気を集めています。
INCOTEX(インコテックス)
「INCOTEX(インコテックス)」は圧倒的な人気を誇るイタリアのパンツブランドです。イタリアのベネチアで1951年に創業して以来、パンツのみを作りつづけています。厳選された生地を使ってサルトリア仕様の高品質なパンツを製造しており、イタリア国内はいうまでもなく、日本でも非常に人気があるブランドです。
インコテックスのパンツでは、クラシックを基調としながらバランスよくトレンドを採り入れています。流行に流されすぎない確固たる軸があるため、購入したパンツがすぐにはけなくなる心配はありません。また、スラックスの美しいシルエットにも定評があります。下半身を美しく見せることで、ジャケパンスタイル全体がほどよく引き締まります。定番の「36」やスリムモデルの名作「30」、日本人向けの「J35」などがおすすめのモデルです。
ちなみに、2009年春夏にはカジュアルなラインアップを展開する「INCOTEX RED(インコテックス レッド)」が始動しました。ミリタリーパンツやワークパンツをベースとしながら、インコテックスならではのこだわり抜いたディテールが楽しめるカジュアルパンツがそろっています。
PT TORINO(ピーティートリノ)
インコテックスと並んで、イタリアのパンツ専業ブランドを代表する存在が「PT TORINO(ピーティートリノ)」です。2008年にイタリアのトリノで「PT01(ピーティーゼロウーノ)」として立ち上げられ、2020年にブランド名がピーティートリノへ変更されました。ブランド名のPTはそれぞれPANTALONI(パンツ)とTORINOの頭文字で、トリノを本拠地とするブランドでナンバーワン、オンリーワンのパンツを作るという意味が込められています。メンズクロージングで何よりも重要なアイテムはパンツである、という理念のもと、現在も上質なパンツを生み出しつづけています。
ピーティートリノのパンツの魅力は、脚長効果のある美しいシルエットや、デザインの幅広いバリエーションです。ドレスパンツといえばクラシック調が定番でしたが、ピーティートリノはさまざまなソースからアイデアを採り入れ、革新的なデザインのパンツを数多く世に送り出しています。モデルごとにテーマを設定しているため、自分の求める製品が探しやすいでしょう。ジャケパンスタイルのおしゃれに限界を感じたときは、ジャケットではなくパンツにこだわってみてください。
まとめ
ジャケパンはオフィスカジュアルからプライベートまで幅広く使える便利なスタイルです。清潔感を保ちながらおしゃれなコーディネートが楽しめるので、着こなしのポイントを押さえたうえで、さまざまな組み合わせを試してみるとよいでしょう。コーディネートに自信がない人は、ベーシックカラーのグレーとネイビーを軸にアイテムを選ぶのがおすすめです。
また、質の悪いアイテムを合わせると印象がチープになってしまうため、ジャケパンスタイルでも上質なアイテムを使うことが大切です。優れたジャケットやパンツを提供しているブランドは数多くあるので、フィーリングが合うブランドをぜひ探してみてください。