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テーラードジャケットとはどんなアイテム?
ビジネスジャケットの違いからコーディネートまで徹底解説!

2023.02.06

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「テーラードジャケットとビジネスジャケットって何が違うの?」「どのブランドが人気なの?」という疑問に感じる人は多いかもしれません。この記事では、テーラードジャケットの選び方や、人気ブランドについて解説します。

テーラードジャケットとは?

テーラードジャケットとは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。

「テーラード」とは「仕立てた」という意味をもちます。つまり「テーラードジャケット」は直訳すると「仕立てたジャケット」。一般的には上着だけで販売されているジャケット単体の商品をこう呼び、スーツの上着とは区別されます。

また、ジャケット単体で販売されている商品のなかでも、アンコン仕立てなどのものと区別して、しっかりとした“仕立てのよいもの”をさすときに「テーラードジャケット」と呼びます。

テーラードジャケットとビジネスジャケットの違い

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テーラードジャケットとビジネスジャケットにはさまざまな違いがあります。まずは見た目の違いです。ビジネスジャケットの生地は、ウーステッドと呼ばれる梳毛系の織物が使われており、比較的なめらかです。

それに対してテーラードジャケットの生地は、ウールや綿、麻などの天然繊維と、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維が使われています。どの素材を使うかにもよりますが、基本的にテーラードジャケットは光沢が少なく、すっきりした印象を与えます。

またビジネススーツは「肩パッド」が入っているものが多く、立体的なデザインになっています。それに対してテーラードジャケットは、基本的に「肩パッド」が入っていません。

またビジネススーツは基本的にセットアップで売られており、統一感が重要なポイントです。それに対してテーラードジャケットは、基本的にジャケット単体で販売されており、別売りのスラックスと合わせてコーディネートします。

テーラードジャケットを選ぶときのポイント

テーラードジャケットを選ぶ際は、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。ここではセレクトのポイントを解説します。

着用時のシルエットを意識する

テーラードジャケットを着こなすポイントとして、着用時のシルエットをイメージすることが重要です。試着をしっかりと行い、着用時のシルエットを確認しましょう。

選ぶ際に意識しておきたいのは、なるべくスリムに見えるものをセレクトすることが大切です。着丈の長さは、どんなに長くてもお尻にかかるかかからないかくらいのサイズ感が美しく見えておすすめです。

ブラックかグレー、ネイビーが鉄板

テーラードジャケットをセレクトする際に迷うのが、「どの色を購入すればいいのか」ということです。テーラードジャケットにはさまざまなカラーがあります。しかし、迷っている場合は、まずはブラックかグレー、ネイビーのなかから選んでみましょう。

特にブラックは1着持っておいて損はありません。黒はパンツを選ばず、幅広いコーディネートになじみます。また、コーディネートに自信がない人でも、黒のジャケットであれば合わせやすいはずです。

グレーはより大人な雰囲気を求めるとき、ネイビーはより若々しく見せたいときにセレクトしましょう。

襟の形を見分ける

ジャケットの襟にはさまざまな形状があります。「襟の違いなんて気にしたことがない」という人は多いかもしれませんが、実はジャケットによって襟のデザインはかなり変わってくるのです。

定番とされているのがノッチドラペル。くの字形にカットが入っていて、シャープですっきりとした印象の襟です。おそらく既製のビジネススーツで最も多い襟の形でしょう。ほかにも「下襟が上に向かって尖った形」のピークトラペルもありますが、ややフォーマルすぎるイメージがあります。

基本から押さえるという意味でも、まずはノッチドラペルのジャケットを選ぶようにしましょう。

ボタンの数を確認する

ジャケットには大まかに「2ボタン」と「3ボタン」の形があります。つまり、2つのボタンがついたジャケットと、3つのボタンがついたジャケットです。3ボタンのジャケットのほうが、よりシックに仕上げることができます。

一方2ボタンのジャケットは、3ボタンのジャケットよりもVゾーンが広いため、全体的にスマートなシルエットに仕上がります。より細身に見せたい場合、2ボタンのジャケットをセレクトするといいでしょう。

ボタンの数に関してはどちらがいいということではなく、目指すスタイルによって変わってきます。

テーラードジャケットのコーディネート例

次に、テーラードジャケットのコーディネート例を見ていきましょう。

ネイビージャケット+白シャツ+黒のボトムス

大人の清潔感を醸し出すテーラードジャケット定番のスタイル。ネイビーのジャケットはより若々しさを演出し、無地の白シャツが清潔感を演出します。ジャケットを着用しているにもかかわらず、重たくなりすぎないのが魅力です。

ネイビージャケットと白シャツを合わせたら、定番なのは黒のボトムス。シューズまでブラックに合わせることで、よりスマートな仕上がりになります。ソックスを白色にして、ちらっとくるぶしを見せることで、よりバランス感の取れたファッションに。

白シャツを薄いグレーのシャツに替えることで、よりシックなコーディネートに仕上げることが可能です。テーラードジャケットの基本スタイルなので、さまざまな応用を試すことができます。

ブラックジャケット+白シャツ+グレーのスラックス

こちらもテーラードジャケットスタイルの定番、ジャケットとスラックスを合わせたコーディネートになります。ブラックのジャケットはどんな色にも合わせられる便利な存在。ここでは無地の白シャツとグレーのスラックスに合わせています。

よりタイトなジャケットをセレクトした場合、スラックスの選び方が重要になってきます。結論としては「細すぎず太すぎない」スラックスをセレクトすることによって、よりバランスの取れたスタイルを実現することができます。

「ブラックのテーラードジャケット+グレーのスラックス」の組み合わせは、フォーマルなスタイリングになります。もちろんシューズの選び方によっては、カジュアル寄りのコーデにすることもできるので、表現の幅が広がります。

ライトグレージャケット+白シャツ+グレーのボトムス

上下をワントーンでそろえることによって、よりシックな印象に仕上げています。ライトグレーのジャケットは、より大人っぽさを演出してくれるアイテム。春に着ることもできますし、秋でも違和感なくコーディネートに採り入れることができます。

ライトグレーのジャケットを着るときのポイントは、ダークトーンのボトムスと合わせることです。このようにグレーのボトムスと合わせたり、ブラックのボトムスと合わせるのがベストでしょう。

シューズを白のローカットスニーカーにすることによって、完全に「グレー」と「白」だけのスタイリングになり、さまざまな応用が可能になります。

ブラックジャケット+マリンボーダーカットソー+デニムスキニー

テーラードジャケットとマリンボーダーのカットソーを合わせるスタイル。これまで紹介したものは無地のシャツがほとんどでしたが、ジャケットスタイルにおいて、こうしたボーダーシャツは特に秋冬のカジュアルなスタイルによく合います。

ブラックジャケット+黒シャツ+白のボトムス

いわゆるモノトーンスタイル。こちらはトップスが「黒」、ボトムスが「白」というスタイルです。シューズを黒にすることで、完全モノトーンのスタイリングが完成します。

ポイントは「余計な柄は使わず、無地かつ無彩色のアイテムで固める」ということ。よりシンプルさを追求することによって、全体のスタイルにまとまりが出るとともに、上品なスタイリングに仕上がります。

白のボトムスはほかの色に比べて汚れが目立ちやすいため、念入りにメンテナンスをするようにしましょう。

グレージャケット+カーキシャツ+黒のボトムス

こちらはジャケットと襟付きのカラーシャツを合わせたコーディネート。黒のボトムスで足元から印象を引き締めるイメージです。

カラーシャツのサイズ選びとしては、通常よりもワンサイズ落とすことによって、よりスタイリッシュに仕上げるのがポイント。カラーシャツの下にさらに無地のインナーを合わせてみたり、シューズの色を模索してみたりと、個性を楽しめるスタイルです。

ネイビージャケット+グレーパーカー+黒のボトムス

ネイビーとグレーの相性のよさを生かし、パーカーの上にジャケットをはおるスタイリングもおすすめです。

いわゆる「レイヤードスタイル」のひとつであり、大人な雰囲気を演出できます。「ジャケット+無地シャツ」のような定番スタイルとは印象が違いますが、パーカーやスニーカーを使ってストリートライクに仕上げるのもジャケットの有効な使い方です。

スニーカーの色選びによっても雰囲気が異なります。ダークトーンのものを採用してシックにまとめることもできますし、ホワイトのシューズでよりスタイリッシュに仕上げることもできます。

ブラックジャケット+白シャツ+グレーのワイドパンツ

テーラードジャケットにあえてワイドパンツを合わせるのもテクニック。

ワイドパンツは無地のものをはいてもいいですが、チェック柄などを採り入れることによって、より個性的な仕上がりになります。せっかくワイドパンツを採り入れるのですから、ワンポイントを工夫して、オンリーワンのコーディネートを楽しみましょう。

テーラードジャケットの人気ブランド

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最後にテーラードジャケットの人気ブランドを紹介します。

LARDINI(ラルディーニ)

LARDINIはイタリアのブランドであり、1978年に創業。最高品質のファブリックにこだわり、世界のトップブランドの製品を作りつづけてきました。すべてのアイテムがイタリア国内で作られており、商品に少し触れるだけでも、職人たちの高い技術力が見て取れます。

例えばリネンシャツジャケットは、100%リネン生地で作られた高級ジャケット。ウエストが過度に引き締められており、よりシャープなスタイリングを実現することが可能。ブランドのアイコンであるブートニエールも付属しています。

またシアサッカーシャツジャケットは、肌触りがなめらかなコットンベースの生地を使用しています。こちらもリネンシャツジャケットと同じく、ウエストがシェイプされていて、デニムに合わせてもよし、チノパンに合わせてもよしという万能ジャケットです。

TAGLIATORE(タリアトーレ)

TAGLIATOREは、レラリオ社の2代目であるピーノ・レラリオが立ち上げたブランド。ブランドの名前はイタリア語で「裁断士」という意味であり、その名の通りシャープなラインが特徴。世界中を席捲している注目のブランドのひとつです。

ラインアップとしては、トラディショナルなものをベースに、時代の先をいくコンテンポラリーなアイテムまでさまざまであり、各製品の隅々に「TAGLIATORE独自の美学」が生きています。デザイン性にとどまらず、伸縮性や着心地など、確かな機能性も両立しています。

リネンコットンヘリンボーンジャケットは、リネンコットンのブレンド生地を使用した清涼感のある一品。はおるだけで、さりげなくモダンなムードを演出。高いデザイン性はもちろん、よりソフトな着心地を実現しています。

CIRCOLO 1901(チルコロ 1901)

CIRCOLO 1901は、イタリアのバルレッタに本社を構える、テキスタイルカンパニーS.G.L社が展開するブランド。特にニットとスウェットの分野に強みを有しており、高品質かつ洗練されたラインアップが魅力です。

特に有名なのがイージージャケットで、「フリースのようなジャケット、ジャケットのようなフリース」というキャッチフレーズで注目を浴びました。

「コットンストレッチ 鹿の子ジャージー ライトピケ シングル2Bジャケット」は、清涼感と伸縮性を両立したジャージー素材のジャケット。少しブラウンがかったチャコールグレーなど、色合いにも確かなこだわりが見えるアイテムです。

LATORRE(ラトーレ)

イタリア南部のバーリを代表するテーラードブランドです。ミケーレ・ラトーレが、自らの名を冠したブランドを1965年に創立。地元密着型ではありますが、その技術の高さが認められ、多くのトップブランドのOEMを手がけています。

現在もイタリアテーラードスタイルの伝統を受け継ぐ貴重なブランド。「コットンポリエステルライトツィードグレンチェック2Bライトジャケット」は、正統派のジャケットでありながら、どこか独特な存在感のあるハイブリッドモデルです。

カジュアルながら、モダンな雰囲気を演出し、一歩進んだコーディネートを実現できます。

Stile Latino(スティレ ラティーノ)

ナポリスタイルの開祖といわれるヴィンチェンツォ・アットリーニが、2004年に立ち上げた比較的新しいブランド。名前のとおり「ラテンスタイル」を志向しており、クラシックなジャケットであってもラテン的な遊び心が織り込まれています。

STILE LATINOは常に革新的な試みをすることで話題となる。ハイクオリティーでそろえた素材をあえてウォッシュ加工して独特な風合いを表現するなど、ファッション業界い風穴を開けるような新しいスタイルを模索しています。

「リネン ヴァージンウール ウインドウペーン シングル3Bジャケット」は、リネン本来のほどよいつや感はそのままに、正統派のクラシックスタイルに仕上げてあります。フォーマルにもカジュアルにも使える人気のモデルです。

CARUSO(カルーゾ)

ナポリ出身のラファエロ・カルーゾが設立したイタリアンブランド。すべてのアイテムがイタリア国内で製作されており、イタリアらしさが色濃く出ているのが特徴。常に最高品質の製品を提供しつづけるイタリア屈指のラグジュアリーブランドです。

「ZEROゼロスーツ」シリーズのジャケットは、ウエストシェイプが存在せず、リラックスした着心地を実現。フォーマルなシーンで活躍します。

「バタフライ ウールシルクカシミアホップサック2Bジャケット」は、CARUSOが得意とするクラシカルなものとは異なり、より軽やかな仕上がり。少し間違えば古臭いデザインになってしまいがちですが、卓越したバランス感覚でサッパリと仕上げてあります。近年評価を高めている一着です。

THE GIGI(ザ ジジ)

BOGLIOLIのデザイナーであったピエルイジ・ボリオリ(通称ジジ)が2014年に新しく立ち上げたブランド。半数以上のアイテムにエクスクルーシブ素材を使用し、「モダン」「エレガント」を追求しています。

「ANGIE リネンレーヨンソリッド2Bジャケット 002」は、「リネン」「レーヨン」「ポリウレタン」の3種を混合したハイブリッド生地製。なめらかな仕上がりで、着心地が抜群です。THE GIGIのエントリーモデルとしてもおすすめの一着です。

またこちらの「ANGIE」には、セットアップで着られるパンツもあります。上下で合わせてよりフォーマルな雰囲気を出すことができますし、ほかのスラックスと合わせてカジュアルに着まわすことも可能です。

MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)

イギリスの代表的なアウターウエアブランドである「マッキントッシュ」から誕生したのが、こちらのMACKINTOSH LONDON。アウターウエアにとどまらず、日常のあらゆるシーンにフィットするトータルコレクションを展開。

ゴールドボタンブレザーは、麻を織り交ぜたラッセル素材(麻74%、ポリエステル26%を使用)。麻本来の清涼感と、つややかさが魅力。高級感あふれるデザインですが、普段使いにも利用できるような親しみやすさがあります。

シンプルなデザインなので、さまざまなコーデが考えられますが、白いインナーと合わせて、よりシンプルに仕上げるのがベストでしょう。ハーフパンツと合わせて、よりカジュアルな方向に振り切ってしまうのもいいかもしれません。

Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)

Brooks Brothersは、アメリカで最も歴史のある衣料ブランド。創業は1818年であり、「最高品質の商品だけを作る」という創業者・ヘンリー・サンズ・ブルックスの基本理念が、現在まで脈々と受け継がれています。

その歴史の深さは折り紙付きで、リンカーンやケネディ大統領をはじめ、さまざまな著名人やセレブを顧客に持っていました。アメリカンクラシックスタイルを大切にしながらも、常に未来への挑戦を続けるブランドです。

「コットン/ウール ダイアゴナルジャージー」は、コットン55%、ウール45%のジャージー生地。イタリア製のスーパーソフトジャケットであり、ブラックとホワイトのダイアゴナル柄。わずかにウエストのシェイプもあり、現代的なシルエットを演出します。

まとめ

ここまでテーラードジャケットの概要、セレクトのポイントやコーディネート、人気ブランドについて解説しました。テーラードジャケットは、ビジネス、カジュアルを問わず着用できる便利なアイテムです。

テーラードジャケットを選ぶ際は、着用時のシルエットをイメージし、よりシンプルなものをセレクトするようにしましょう。また、色に迷ったら、定番である「ブラック」「グレー」「ネイビー」から選ぶと失敗しません。

また、ジャケットはそれぞれのブランドが特色のあるアイテムを生み出しています。よく吟味し、自分に合ったものを購入するようにしましょう。

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