週末の過ごし方

井桁弘恵さんと巡る、TOKYO写真探訪。
第2回 ミュージアム・ショップ「ナディッフ バイテン」

2022.07.27

井桁弘恵さんと巡る、TOKYO写真探訪。<br>第2回 ミュージアム・ショップ「ナディッフ バイテン」

俳優・モデルとして活躍する井桁弘恵さんを案内人に迎え、都内の写真にまつわるスポットを巡りながら、その奥深き世界を探求していく本企画。連載第2回は、東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ「NADiff BAITEN(ナディッフ バイテン)」にお邪魔します。

「どうしよう。文化的なフリしてポーズを取っているけど、私ってあんまり文化人っぽくはないですよね?」カメラを前に、神妙そうな顔で本を選んでいる自分がよほどおかしかったのか、そう周囲に同意を求める井桁さん。とはいえ、写真自体は撮影するのも観るのも好きで、自宅の本棚にはいくつかアートブックがあるというから、文化的素養を持ち合わせているのは間違いありません。

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老舗アートショップ「ナディッフ」のサテライトストアにあたるこの店では、東京都写真美術館の展覧会図録をはじめとする関連商品を多数展開。井桁さんもつい10分前まで熱心に鑑賞していた「メメント・モリと写真-死は何を照らし出すのか」の余韻から覚めないのか、同展の図版を手に取り、時折、解説を読みながら、ゆっくりとページに視線を落としていきます。

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会場では、展覧会のタイトルにも引用された『メメント・モリ』(三五館)の著者でもある藤原新也氏の展示コーナーを訪れた際、オリジナルプリントが持つ奥行きのある色調や迫力に驚いた様子で「子どもの頃に博物館のワークショップで初めて現像作業を見たときは、“えっー、撮った写真を水(現像液)に着けちゃうの?”ってすごくびっくりしたのを覚えています」と懐かしい思い出がよみがえる一幕も。

当時の記憶がむくむくと創作意欲を呼び起こしたのか、店内に設けられた「アグファ」や「ロモグラフィー」のインスタントカメラコーナーで足を止めると、それぞれの性能の違いや使い勝手を店長の田代さんに質問する姿はまさに真剣そのもの。途中思わず興が乗ってしまい、つい「ねぇねぇ」と話し掛けているのに気付いて「ごめんなさい! 友達みたいに、『ねぇ』とか言っちゃった」と照れる姿からは、相手の懐にスッと入っていける人懐っこさが顔をのぞかせます。

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あまりの熱心な様子に「井桁さんの年齢でもインスタントカメラを使ったことがあるんですか?」と尋ねると、不思議そうな面持ちで「えっ、『写ルンです』とか普通に使っていた世代ですよ!」とひと言。デジタルネイティブであるはずの彼女からよもや『写ルンです』というワードが飛び出すとは思いませんでしたが、どうやら学生時代にリバイバル人気が盛り上がったと聞いて合点がいきました。

結局、自分の愛機でモノクロ写真が撮りたいとの理由からインスタントカメラを諦め、ロモグラフィーの「LADY GREY BLACK & WHITE」をご購入。2色の中に濃淡のコントラストが美しく表現できる、感度400の白黒フィルムです。先程の『写ルンです』もしかり、小さなスマホひとつで手軽に高解像度の写真が撮れる時代に、モノクロフィルムがまだまだ人気というのはうれしい限り。それもまた、合理性や技術の優劣だけに終始しない写真というメディアが持つタイムレスな魅力なのかもしれません。

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〈井桁弘恵(いげた・ひろえ)〉
1997年2月3日生まれ。福岡県出身。結婚情報誌『ゼクシィ』の11代目CMガールに抜擢されると、その後、『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日)で本格的に俳優デビュー。現在、『MORE』(集英社)で専属モデルを務める一方、『おしゃれクリップ』、『ヒルナンデス』(ともに日本テレビ)にレギュラー出演するなど、ファッション誌からバラエティまで多岐にわたって活躍中。先月、放送終了したドラマ『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京)では主演を務めるなど、今後、俳優としても更なる活躍が期待されている。

〈訪れた美術館〉
NADiff BAITEN(ナディッフ バイテン)
国内に5店舗を展開する老舗アートショップ「ナディッフ」のサテライトストア。東京都写真美術館に併設とあって、写真と映像に関する国内外の書籍を中心に、同館で開催される展覧会カタログやオリジナルグッズなどの関連商品を展開する。また、一般的に販売されていない非流通本や貴重な古書、さらに雑貨やステーショナリーなどのデザイングッズを多数取りそろえる。なお、恵比寿の本店にあるギャラリーでは、年間を通じてさまざまな企画展を開催するなど、商品の販売だけではない多角的な情報発信に力を入れている。

東京都目黒区三田1-13-3 東京都写真美術館2階
TEL:03-6447-7684
営業時間:10:00〜18:00(木・金曜日は20:00まで)
定休日:毎週月曜日ほか(東京都写真美術館に準じます)
http://www.nadiff.com/?page_id=198

ブラウス¥20,900、スカート¥20,900/ともにルーニィ(ルーニィ 03-4578-3466)、イヤリング¥41,800/アナプノエ(フォーティーン ショールーム 03-5772-1304)、リング太¥15,400、リング細¥14,300/ともにオンブル ビジュー(フォーティーン ショールーム 03-5772-1304) 靴はスタイリスト私物。

<<第1回 東京都写真美術館

掲載した商品はすべて税込み価格です。

Photograph:Satoru Tada(Rooster)
Styling:Mana Kogiso(io)
Hair & Make-up:Hitomi Kawasaki
Text:Tetsuya Sato

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