週末の過ごし方
井桁弘恵さんと巡る、TOKYO写真探訪。
第4回 中央区銀座
2022.08.10
俳優・モデルとして活躍する井桁弘恵さんを案内人に迎え、都内の写真にまつわるスポットを巡りながら、その奥深き世界を探求していく本企画。最終回は、お気に入りのライカのカメラを携えて銀座の街へと繰り出し、自由に撮影を楽しんでもらいます。
「もう大丈夫。バッチリです!」。もう少し操作方法を詳しく教わったほうがいいのでは? と勧めるスタッフをよそに、カメラ片手にお店を飛び出した井桁さん。“書を捨てよ、街へ出よう”ではありませんが、肝心なのは実地訓練とばかりに気になる対象物を見つけると、黙々とシャッターを切っていきます。
「今のスマホ世代なら、機能と操作をすぐに感覚的に理解できるのと、これだけ扱いが簡単だとすぐに慣れますよ」
「ライカ銀座店」の廣川さんが言うように、井桁さんも慣れた様子でレトロなビルや標識などを撮影しては、その場に立ち止まり真剣なまなざしでデータを確認します。
道路脇に咲いている紫陽花の花を見つけて、身を乗り出すようにファインダーをのぞくと「ちょっと見て! 葉脈の細かい部分までこんなに鮮明に撮れるんだ」と、その卓越した描写力に改めて驚いた様子。時折、廣川さんにパースと前後のボケ味の具合などの手ほどきを受けながら撮影を続けるものの、頑なにオートフォーカス機能を使っていないことを指摘されると……。
「言われてみれば確かに(笑)手探りでマニュアルを調節するほうが好きなのかもしれない」と自然な笑みがこぼれます。先日、終了したドラマ『メンタル強め美女白川さん』では、その愚直なまでの真っすぐさと自己肯定力の高さで、時に周囲の誤解やひがみを受けながら、ポジティブに生き抜く白川桃乃役を演じていましたが、いい意味での頑固さやこだわりの強さは、井桁さん本人に通ずるものがあるかもしれません。
特に被写体までの最短撮影距離17cmというマクロ機能が気に入ったようで、道端の紫陽花を撮ったかと思えば、スタッフがはくスカートのレース模様に腰を屈めてぐぐっと近寄るなど、画面上に刺しゅうが浮き上がってくるような質感描写と陰影のくっきりとしたコントラストが現れた写真に、本人もいたくご満悦のようでした。
メインカットも無事撮り終わって、撮影終了を告げるとおもむろに「それではこの辺で失礼しますね」とカメラを隠し持ったまま帰ろうとするおどけた仕草を見せる井桁さん。クルクルと変わるチャーミングな表情や裏表のないキャラクターは、画面越しで見る彼女となんら変わることがありません。
その後もモノクロームモードを使ったポートレートにご執心で、移動時間ギリギリまでフォトグラファーを被写体に撮影を続けるなど、どこまでも楽しそうな姿が印象的でした。“好きこそものの上手なれ”とは、いささか使い古された常套句ですが、何でも夢中になれる井桁さんの姿をみるにつけ、楽しむことの先に技術の上達やテクニックが付いてくるというのは疑いようがありません。これから先、彼女が撮影した写真を目にする機会も多くなりそうな予感がします。
〈井桁弘恵(いげた・ひろえ)〉
1997年2月3日生まれ。福岡県出身。結婚情報誌『ゼクシィ』の11代目CMガールに抜擢されると、その後、『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日)で本格的に俳優デビュー。現在、『MORE』(集英社)で専属モデルを務める一方、『おしゃれクリップ』、『ヒルナンデス』(ともに日本テレビ)にレギュラー出演するなど、ファッション誌からバラエティまで多岐にわたって活躍中。先月、放送終了したドラマ『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京)では主演を務めるなど、今後、俳優としても更なる活躍が期待されている。
カメラ「ライカQ2」¥792,000/ライカ(ライカカスタマーケア0570-055-844)、ベスト¥20,900/ストラ(ストラ 03-4578-3431) 、Tシャツ¥7,000/ノーク バイ ザ ライン、イヤリング※6個セット¥18,000/ノーク(ともにクロスプラス03-3669-5205) 、小指リング¥22,000/AGU(agu-acce.com)、パンツ¥14,300/アンクレイヴ スタンダード(アンクレイヴ〔オンワード樫山〕 03-5476-5811) サンダル¥18,150/ダイアナ(ダイアナ 銀座本店 03-3573-4005)
掲載した商品はすべて税込み価格です。
Photograph:Satoru Tada(Rooster)
Styling:Mana Kogiso(io)
Hair & Make-up:Hitomi Kawasaki
Text:Tetsuya Sato