特別インタビュー

アマンのエトスから生まれた
ジェンダーレススキンケアシリーズを
コーセーが手がけた理由

2023.01.20

アマンのエトスから生まれた<br>ジェンダーレススキンケアシリーズを<br>コーセーが手がけた理由

「本当に難しい開発だった」と、株式会社コーセー代表取締役社長・小林一俊氏は振り返る。その小林氏をして「当社が持っている知恵と技術の粋を集めた最高品質の製品」と言わしめるのが、111日から新しく発売されたスキンケアシリーズ「アマン エッセンシャルスキン」の5つのプロダクトである。世界に34軒のリゾートを展開し、富裕層から絶大な人気を集めるアマンが展開するライフスタイルブランド「Aman Essentials(アマン エッセンシャルズ)」の新しいスキンケアシリーズとして、コーセーがOEM(他社ブランド製品の製造)受託によって開発を手がけ、2年以上にわたる協力体制を経て誕生した。

アマン東京内にある「ザ・カフェ by アマン」で開催された記者発表会では、かねてよりアマン エッセンシャルズのプロデュースに携わり、2022年からアマン エッセンシャルズのCEOを務めているクリスティーナ・ロマノヴァ氏が来日。

「年齢、ジェンダー、気候、そしてスキンタイプに関係なく使っていただける製品であり、誇りを持って皆様に紹介できるコレクションに仕上がりました。私自身、すでにこれなくしてはいられないほど。お客様もお使いいただければそれを実感していただけるでしょう。フレグランスフリーの処方でとても軽い使用感でありながら、とてもラグジュアリーなテクスチャー。これを作り上げるには大変な努力が必要でしたが、必ずや日々のスキンケアに欠かせないものになると信じております」。クリスティーナ氏は日本文化や精緻なものづくりに感銘を受け、当初から「ぜひとも日本のメーカーと協力をして作りたいと願っていた」と言う。

香料・アルコールなどを含まず、あらゆる肌タイプに向けた処方

メイクや汚れを落とす保湿力に優れた「クラリファイング ミルククレンザー(税込1万4300円)」、ヒアルロン酸(保湿)を配合した低刺激処方の「スキン A トナー (税込14300円)、濃厚なクリーム「ラディアンス フェイスクリーム (税込3万7400円)」、シルクのようになめらかな「イルミネイト アイクリーム(税込4万700円)」、そして小林氏もクリスティーナ氏もイチ推しの美容液「リプレニッシング フェイスセラム(税込3万1900円)」。

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どの製品も付けた瞬間から肌に染み込むようになじみ、内側から生き生きと輝きだし、心までぜいたくに満たされるような感覚になる。紫外線や乾燥など外的環境によるダメージに着目し、紫玄米ヌカエキス(保湿)と藍エキス(保湿)の2種の植物成分を配合。高い機能性を誇りながら、全アイテムとも香料・アルコール(エチルアルコール)・パラベン・ラウリル硫酸ナトリウム・グルテン無添加。うるおいのベールで包み込むような心地よさを、一切妥協することなく追求した。

クリスティーナ氏は、ファッションモデルからキャリアをスタートし、 ファッション分野におけるハラスメントなどの問題解決を目指してNPOを立ち上げた経験を持つ。数々のコレクションでトレンドを発信する仕事を経て、改めて見えてきたものは「サステイナブルなものが何よりも大切だということ」

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「アマン エッセンシャルズはトレンドを追うのではなく、ずっと持ちつづけられるものを作っていくことが大切なポイント。アマン最初のリゾート、アマンプリ(タイ・プーケット)は、1988年のオープン以来、大きくデザインを変えることなく、アマンの変わらないものを守りながら、毎回行くごとにフレッシュな面を感じさせます。私たちの製品の開発においてのモットー、エトスとなっているのも、まさにそういったクラシックであり、タイムレスであるということ」(クリスティーナ氏)

ジェンダー、季節、年齢を問わず、あらゆる肌タイプに適した処方という思い切ったラインアップは、こうしたアマンの確固たる「エトス」が土台にあるからこそ可能になったのだろう。

若手中心のメンバーが手がけたプロジェクト

スキンケア製品といえば性別や年齢別、肌タイプ別など細かくセグメントされた開発が主流のように思われるが、その垣根を取り払ったものづくりが重要であることは、かなり前から感じており、特にここ数年その流れをより感じるようになったと小林氏は語る。

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「当社はもともと『フォー・メン』や『何歳向け』といったアプローチはしてきていません。それはたまたまという面もありますが、なんとなくそのほうが感覚に合うと思っていた。その感覚に時代がミートしてきたように思います」

ただ、冒頭で漏らしたように、それは開発の面では簡単なことではなかった。「香料をはじめさまざまな添加物を取り除きながら、これほどまで高い効能効果と究極の心地よさを両立させることは、実は今までにない新しい領域です。このプロジェクトは若手を中心としたメンバーが手がけたからこそ成功したように思います。既存の作り方にとらわれているわれわれだったら、むしろ『これは無理なんじゃないか』とギブアップしていたかもしれない」(小林氏)

サステイナブルなモノづくりにもこだわった。ガラスやバイオマスペットなどのボトルや100%リサイクル紙やFSC認証紙(環境に配慮された森林の木材を使用して作られた紙)を使用した箱を採用。紙のリーフレットは付けず、QRコードから情報にアクセスできるようにしている。さらに、コーセー群馬工場では、全てのエネルギーを再生可能エネルギーでまかなっており、生産過程に至るまで環境負荷を低減した。

コロナ禍を経てたどり着いた「幸福感」を実現

こうして生まれた「アマン エッセンシャルスキン」を、小林氏は「これまで経験のないような使用感、幸福感をもたらす製品に仕上がった」と表現する。人々の幸福感は、この数年で大きく揺らいだ。その中でアマン エッセンシャルスキンを手がけたことは、小林氏個人にとっても変化をもたらした。

「化粧品は肌だけではなく人々の気持ちに働きかけるものでありたいと、私はこの3年のあいだに強く思うようになりました。消費者の考え方も大きく変わりました。以前は『人にどう見られるか』を意識して化粧品を使う人が多かったけれども、今は性別問わず『自分自身が心地よくありたい』と使う人が増えたように思います。日々新しい製品を作らなければならないと追われがちななかで、アマンに滞在するとホッとリラックスできるように、この製品を作ることによって、スキンケアがお客さまにどのような体験をもたらすことができるか、もう一度基本に立ち返ったように思います」(小林氏)

実は小林氏は「アマンジャンキー(アマンをこよなく愛する旅人のこと)」を自認するひとり。2008年、日本にもアマンを建設するという話が持ち上がった際は、アメニティ導入に向けて自らプレゼンした。当時の願いはかなわなかったが、2021年、アマン・スパで同社のブランド「コスメデコルテ」の最高峰ライン「AQミリオリティ」のアイテムを使用したトリートメントを開始したことから両社は関係を深めてきた。

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日本のアマンとオンラインショップを皮切りに、世界のアマン・スパやブティックでの展開を随時開始。「早くもいくつかの百貨店から問い合わせが来ています。今後、新たな販路を広げていきたい」と意欲を見せるクリスティーナ氏。自宅にいながら、アマンにもてなされているようなラグジュアリーな体験ができるこの究極のスキンケアシリーズが、ボーダーレスに人々の肌と心を癒やす。スキンタイプを問わないのでギフトにもいい。パートナーへ、お世話になった人へ、そしてこの数年がんばった自分へ、「アマン」という贈り物はいかがだろうか。

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT INC.)
Text:Yukiko Anraku

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