カジュアルウェア
帽子の裏歴史と意外と語られないコーディネートの基本
ファッショントレンドスナップ171
2023.01.31
日本でハットやキャップといった欧米式の帽子をかぶるようになったのは明治時代から。いまさらそんなこと言われなくても、教科書に載っていたように日本人の洋装化を国が進めたのだからそのタイミングに決まってるよね!という声が聞こえてきますが、明治後半、大正時代の東京の写真をいくつか検索してみてもらうとわかるのですが、着物と洋服を着た人が交じっていますが、帽子はどちらのスタイルでもかぶられているのです。欧米式の帽子と着物を合わせるという日本独自のスタイルが生まれていたのですが、なぜそこまで普及したのでしょうか?
個人的な見解ですが、これには明治4年(1871年)の断髪令がかなり影響したのではないかと妄想しています。要するにチョンマゲを切ったら頭上が殺風景になり、それを隠すために帽子が必要になり、髪の毛が伸びきった後もそのまま気に入って、和装洋装関係なく普及していったのではないか……と考えています。
それと、スーツなどの洋服を一式そろえるよりも、帽子だけ買うほうがお金がかからず効果的というのもあったのでは……とか、警察(巡査)や大学生の制帽として採用されたことも影響したのでは……と、その普及の要因はいろいろあったようです。ただ言えるのは、現代でさえ帽子をかぶるのは、ハードルが高いスタイルととらえる人が多いのですから、明治の人もよほどの理由がなければ普及しなかったはずです。
ちなみに大正時代は、日本の男性の約90%以上が帽子をかぶっていたと言われています。
ということで、今回は帽子にフォーカス。スナップのジェントルマンは、ソフトハットが冬のコートスタイルに見事になじんでいますね。ソフトハットとは、やわらかい生地(フェルトが一般的)でできていてトップが谷折りになり、その前側の両サイドにはくぼみが付けられたもので、イタリアのボルサリーノのものが有名。
この帽子は、昭和になると映画やテレビの影響で、スーツにネクタイをしてビシっと決めるときの究極の小道具のイメージが定着。いま、この時代のようなコーディネートをやるのはかなり勇気が必要ですね。どちらかといえば、ジェントルマンのようにカジュアルなコートスタイルに合わせると、トライしやすいのでは?
ただ、このジェントルマンのようになじませるためには、ソフトハットのかぶり方の基本を押さえておく必要があります。