週末の過ごし方
俳優・町田啓太と考える、装う美学。
シェアする、「弥生」の思い。
2023.03.03
3月3日は「雛祭り」。言わずと知れた女児の健やかな成長と幸福を願う行事である。町田啓太は、姉と妹に挟まれて育った。今でこそ「仲が良く、なんでも相談できて頼れる存在」と、彼女たちに深い愛情と尊敬を示すが、少年時代には少女たちに対しやや複雑な感情もあったようだ。
「子どものころは兄貴の存在に憧れていた。当時、兄貴がいる友だちは、自分の知らない“遊びの情報”をいっぱい持っていた。ちょっとマセたその感じが、本当にうらやましくて……。あるとき、姉からの“おさがり”でケータイを渡された。それは、真っピンクのガラケー。そういうのも、当時の自分には恥ずかしく思えた」
ジェンダーレスや、男女でのシェアという発想が今ほど行き渡っていない時代の話。そのころの子どもたちにとっては、いわゆる「あるある」のことで、よくある思春期のホロ苦いエピソードのひとつだろう。だがしかし、現代的な感性で俯瞰(ふかん)すれば、性差を超えて「ピンクの電話」をシェアする町田少年がすてきに映る。時の移ろいとは、かくも不思議なものなのか――。
さて、今回の撮影でわれわれが町田のために用意したのは、エルメスのスカーフ「カレ」。なかでも、メンズの100㎝×100㎝の正方形のそのシリーズは、冒頭の雛祭りの意味と同じように、言わずと知れた同メゾンが誇るアイコンのひとつだ。
「美しい。うかつに手を出すことを許さないような、別次元の高貴さを感じる」
このスカーフの魅力は、エルメスを象徴するカシミアシルク生地に施したプリント。その高いアート性は、見て良し、触れて良し、まとって良し。ジェンダーの壁を超え、本物を愛する大人たちを魅了する。
「弥生」には国際女性デーやホワイトデーなどもあり、女性に対し思いをはせる機会が多い。その思いをすてきにシェアしたいとき、これほど心と体に寄り添うアイテムも珍しい。
FROM EDITOR
旅をご一緒しませんか――? 多忙を極める町田さんに、そうもちかけたのは1年くらい前だったと思います。もちろん、ダメ元で。ただ、言葉にしつづけてみるもので、このたびついに沖縄でのロケが実現! この連載に“新しい風”が舞い込んだ気がします。ご快諾くださった町田さんはもちろん、針の穴を通すようなスケジュール調整を根気よくしてくださったマネージメントチームの皆さん、そしてロケを全面的にサポートしてくださった「星のや沖縄」の皆さんには、ただただ感謝しかありません。この場を借りて、深くお礼を申し上げます。言うまでもなく、南国の海辺を舞台にした町田さんと、星のや沖縄の魅力はここには収まり切りません。3/24(金)に発売する小誌vol.54に、その機会を譲りたいと思います。併せて、ご笑覧ください。
アエラスタイルマガジン編集長[雑誌・タブロイド] 藤岡信吾
町田啓太(まちだ・けいた)
1990年生まれ。俳優、劇団EXILEメンバー。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』『太陽とボレロ』、テレビドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京)、『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK)など話題作に多数出演。警察庁「ストップ・オレオレ詐欺47〜家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(略称:SOS47)のメンバーとしても活動中。連続ドラマW『フィクサー』が2023年4月23日(日)22:00放送・配信スタート。
Photograph: Sunao Ohmori(TABLE ROCK.INC)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: KOHEY
Edit & Text: Shingo Fujioka(AERA STYLE MAGAZINE)