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『キラー・ビー』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #46

2023.04.27

『キラー・ビー』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #46

“推しがいる生活”は毎日を豊かにしてくれると人は言う。いまやヲタク自認にかかわらず、ハマっている、好き、オススメしたい!となにかしらの“推し”がある時代。アイドル、キャラクター、建築物、鉄道、仏像、食べものなど対象は幅広く、推し活専用のSNSアカウントを持つ人も少なくない。

『キラー・ビー』は、そんな“推し活”をしている女性・ドレが、ある悲しい出来事がきっかけで何かが壊れはじめ、シリアルキラーと化してゆくホラードラマ。“推し”を侮辱するヤツは、絶対に許さない、殺さなければ!と殺人を繰り返してゆく……。

決して軽い気持ちで観てはいけない。怖すぎる、目を背けたくなるほどグロテスクなシーンも多く、苦手な人にはオススメしない。ただ、少し目を背けてでもいいから観てほしい理由がいくつもあるのだ。

ドレはナイジャというポップスターの熱狂的なファン。「SWARM」というファンダム(ファンコミュニティー)に入り浸り、ナイジャを神のように崇めている。“本作品はフィクションではない。実在の人物や事件との類似性は、意図的なものである”とあるように、作中に起こる出来事にはすべて元ネタがある。

ナイジャのモデルは世界的大スターのビヨンセ。ビヨンセのファンダム「Beyhive」を題材にしている。たとえば、“妹・ソランジェが夫・Jay Zを暴行したエレベーター事件”や、“パーティー中に顔をかまれた事件”など、ビヨンセにまつわるゴシップがそのまま使われている。「Beyhive」はハチの巣を意味する「Beehive」とかけて付けられた名称、ナイジャのファンダム「SWARM」はハチの群れを意味することから、意図的であることは確か。

ここまで具体的に寄せてきたのには、近年過激化する「トキシックファンダム」への大きな問題提起があるからなのだろう。SNSの登場から、お互いの意見交換場所ができたことにより、ファンとアーティストの距離はグッと縮まった。いいこともある半面、推しに対してネガティブな意見を見つけようものならファンダム総出で相手を攻撃し、謝罪まで追い込むなんてことも。

次ページこの社会問題から目が離せない。

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