カジュアルウェア

SHOWCASE
岡山で見つけた愛すべきモノづくり。

2023.06.01

ファッションエディターの審美眼にかなった、いま旬アイテムや知られざる名品をお届け

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道具としての使い勝手もよく考えられている。キーリング¥6,100、カードケース¥15,270、二つ折り財布¥38,500、ペンケース¥16,500、サコッシュ¥47,850/すべてダヴ&オリーブ(ダヴ&オリーブ 090-2005-2826

岡山県での仕事の合間に、空いた時間を使って倉敷の街を散策していたところ、たまたま入った商業施設に並べられていたのが、ここで紹介するレザーバッグや小物だった。自然素材を使ってなめされたであろう風合い豊かなブラウンのレザーに、明らかに手縫いで施されている白いステッチ。ピッチこそ少し不ぞろいだけど、プロダクト全体に生き生きとした躍動感を与えている。そのキャラクターはお高く留まった近頃の高級バッグとは正反対で、少し垢抜けないけれど、まるで気の置けない友人のように、親しみやすい。このテイストとダヴ&オリーブという名前から察するに、イタリアのフィレンツェあたりでつくられたのかな?と思い施設のスタッフさんに尋ねたところ、なんと日本のブランドで、ここ倉敷に工房があるという。早速ぼくはこのブランドを主宰する職人の小野 一さんに連絡して、工房を見学させてもらうことにした。

古びたミシンが置かれ、革のいい匂いが漂う小さな工房でぼくを出迎えてくれたのは、口ひげを生やした気のよさそうなおじいさん職人……じゃなくて、意外なほど若くてスリムな小野さんだった。聞けば彼は東京の大手バッグメーカーで働いたのち、地元にUターンして、この工房を開いたという。そのモノづくりは徹底的にローテクで、ほぼ手縫い。植物タンニンを使いなめされたトスカーナ産のレザーと相まって、使えば使うほど愛着の増すプロダクトを目指しているという。そのクオリティーやこだわりようからすると意外なほど手頃に感じられるが、これは地元でつくっているからこその価格だろう。小野さんは東京を離れることで、本当に自分らしい、誠実で豊かなモノづくりを実現したのだ。

使うほどにゆっくりとあめ色に変わっていくダヴ&オリーブのサコッシュバッグをなでながら、ぼくも今、これからの暮らし方について本気で考えている。東京を離れることで、見えてくるものがあるのではないか?と。

山下英介(やました・えいすけ)
ライター・編集者。『MENʼS Precious』などのメンズ誌の編集を経て、独立。 現在は『文藝春秋』のファッションページ制作のほか、ウェブマガジン『ぼくのおじさん』を運営。

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「アエラスタイルマガジンVOL.54」より転載

Photograph: Ryohei Oizumi
Styling: Hidetoshi Nakato (TABLE ROCK.STUDIO)

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