週末の過ごし方
サクッと食感の豪快なかき揚げが名物。
本格派の老舗立ち食い蕎麦屋「加賀」。@初台駅
2026.02.24
早くて、安い。おまけに、ウマい。一見の価値あり、もとい“食”の価値がある都内の立ち食い蕎麦屋を紹介する連載。1軒目は、初台駅から徒歩5秒の『加賀』。名物は豪快なかき揚げが載った蕎麦。かき揚げのサイズに見合わず軽く完食できる、そのおいしさの理由とは。
厚さ約5cm。それでも軽い。
揚げる時間が、ウマさの秘訣。
蕎麦好きかいわいでは有名な『加賀』のかき揚げそば。まず目に入るのが、丼からはみ出した巨大かき揚げ。直径約12cmの円柱型で、厚さはなんと約5cm! 一般的な厚みが2〜3cmに対してかなり食べ応えのあるサイズ感だが、サクッとした軽い食感で、気が付けばスルっと胃袋に収まってしまう。店長の星さんによると、揚げる時間に他店とは違うポイントがあるそう。
「揚げる時間は4分30秒〜5分くらいで、立ち食い蕎麦屋にしては長いんです。低温の油でじっくり揚げていきます。菜箸でつついて空気を抜きながらサクッと、ね」
かき揚げの具材は、千切りのにんじん、角切りの玉ねぎ、輪切りにした長ネギの青い部分。肩から腕を動かして、これらをサラッとした生地に絡ませる。そして、オーダーを受けてから丁寧に揚げていくのが、星さん流だ。
蕎麦をすするとホッとする
どこか懐かしい味は、老舗譲り。
かき揚げのウマさを引き立てるのは、ほんのりと甘い醤油ベースの汁。かき揚げと一緒に、蕎麦をズズズッと吸い上げると、ソウダガツオと鯖、日高昆布などから取っただしの香りがふわっと鼻を抜ける。どこか懐かしい味わいの汁は、40年以上も蕎麦通をうならせてきた。
星さんは、この店で働き始めて14年目。もとは違う蕎麦屋で修業を重ね、偶然の出会いから、加賀のレシピを大切に守ってきたんだそう。
「ある日、扉に張り出された求人のチラシを見かけたのがきっかけで、働くことになりました。前の店主が脳梗塞で倒れてしまったそうで、そのとき、店は休業状態だったんです。当時のレシピを基にした汁は、常連さんからも『これこれ』と喜んでもらえています」
かき揚げは、汁に浸かりふやけた後も油っぽさを感じさせない。時間の流れと共に変化するそのおいしさを、ぜひ初台駅で堪能されたし。
加賀
住所/東京都渋谷区本町1-2-3
電話/03-3320-8746
営業/平日:07:00〜19:00、土10:00〜16:00
定休日/日・祝
Photograph: Shohei Ishida(Blue-ly)
Edit & Text: Ryuto Seno