週末の過ごし方

会津磐梯山を目指す浄化の旅。【後編】
―岸谷五朗が綴(つづ)る、男と旅の物語―

2023.11.27

400_ASM55岸谷五朗後編main

俳優・岸谷五朗が綴る小説に、そこからインスパイアされたビジュアルを添えるシリーズ企画の特別編。疲れた男をやさしく浄化する、ニッポンの美がここに。

Places Visited:磐梯山温泉ホテル

<<前編はこちらから

一粒の米の如く。
作・岸谷五朗

宿を後にして立ち寄った大和川酒蔵。地下から湧き出ている水の旨(うま)さに驚き、米一粒から己で造り上げ責任のある一杯を完成させる人間力に感服させられた。混じり気のない「純粋」がお猪口(ちょこ)の中で漂い口内で花開き舞う。たった一粒の米の力……、小さな一粒が大きな力となり此の酒となる。……大きなアメリカの小さな日本人。アメリカで気付けなかった自分ならではの「やり方」自己価値を、日本がゆっくり教えてくれた。

400_ASM55岸谷五朗後編01

旨い酒は、その人間の心が創り出す。不満や不平の心で浴びたニューヨークでの洋酒たちに申し訳ない気持ちになった。 旅行中、ずっと重い存在感がジャケットの内ポケットにあった二つの封筒。退職届と離婚届。「弥右衛門」を一気に流し込み230年以上続く蔵元に抱きしめられ、二通の封筒は長き酒蔵の歴史の中に置き去りにされた。

われも一粒の米の如く! さあ、もう一度未来へ! アメリカ行きのエアーを予約した。

大和川(やまとがわ)酒造店

400_ASM55岸谷五朗後編04

東北の酒処で知られる福島県のなかでも、会津地域は県内の約半数の酒蔵がある日本酒の名産地。そのひとつ、大和川酒造店は230年以上の歴史を持つ会津の老舗だ。自前の田んぼである大和川ファームから精米、醸造、製品化まで手がけ、当主の名にちなんだ「弥右衛門」シリーズなど、世界でも評価を集める名酒を造り続けている。また、喜多方市寺町にある本店の旧酒造を「大和川酒蔵北方風土館」として一般開放。江戸蔵、大正蔵、昭和蔵など、各時代に使われた蔵をリノベーションし、展示室、ショップ、コンサートホールなどに利用している。長い歴史を振り返りつつ、令和にふさわしい日本酒の魅力に触れてみたい。
http://www.yauemon.co.jp/

  • 600_ASM55岸谷五朗後編02
  • 600_ASM55岸谷五朗後編03

岸谷五朗(きしたに・ごろう)
東京都出身。1983年、大学在学中に劇団スーパー・エキセントリック・シアターに入団、舞台を中心に活動をスタート。94年に寺脇康文とともに演劇ユニット「地球ゴージャス」を結成、すべての作品で演出を手がけるほか、ほとんどの作品で脚本も執筆、累計120万人の観客動員を超え、テレビ・映画でも多彩な活躍を見せる。2024年には待望の新作『儚き光のラプソディ』の公演が控える。

<<【磐梯山温泉ホテル】会津の奥深さを五感で味わうリトリート。記事はこちら
<<岸谷五朗さんに撮影の感想を語っていただきました!音声配信プラットフォームVoicyはこちら

「アエラスタイルマガジンVOL.55 AUTUMN/WINTER 2023」より転載
ここには載せきれなかった岸谷五朗さんの写真はアエラススタイルマガジン Vol.55にてお楽しみください!

Photograph: Yuji Kawata(Riverta Inc)
Styling: Eiji Ishikawa & Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: Akihiro Ohno(ENISHI)

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. 約10年ぶりとなるTIMEXとのコラボレーション!<br>ミリタリーとタフネスを体現する、<br>シーンレスに使える一本

    約10年ぶりとなるTIMEXとのコラボレーション!
    ミリタリーとタフネスを体現する、
    シーンレスに使える一本

    腕時計

    2026.04.20

  2. 和華蘭(わからん)を呼吸する。【後編】<br>町田啓太とホテルインディゴ長崎グラバーストリート

    和華蘭(わからん)を呼吸する。【後編】
    町田啓太とホテルインディゴ長崎グラバーストリート

    週末の過ごし方

    2026.04.23

  3. 本州最西端の海峡都市へ。【後編】

    本州最西端の海峡都市へ。【後編】

    週末の過ごし方

    2026.04.20

  4. 和華蘭(わからん)を呼吸する。【前編】<br>町田啓太とホテルインディゴ長崎グラバーストリート

    和華蘭(わからん)を呼吸する。【前編】
    町田啓太とホテルインディゴ長崎グラバーストリート

    週末の過ごし方

    2026.04.16

  5. デジタル先進国が「紙」へ戻る理由。<br>脳を救う「クリエイティブ習慣」。

    デジタル先進国が「紙」へ戻る理由。
    脳を救う「クリエイティブ習慣」。

    週末の過ごし方

    2026.04.22

紳士の雑学