週末の過ごし方

世界最古のシャンパーニュメゾンを訪ねて。【後編】

2026.01.16

CRAYERE-BLANC
現在もシャンパーニュ造りに使われるクレイエルで出荷を待つ『ドン・ルイナール』。

300年近い歴史を持つシャンパーニュメゾンのルイナール。大地の恵みを美酒へと昇華してきた歩みには、長く営みを可能にした理由が隠されていた。自らは多くを語らない最古のシャンパーニュメゾンが、大切にしてきたものとは……。

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来たるべき未来へ 温故知新を体現する

「クレイエル」という言葉には、実はもうひとつの意味がある。ガリアローマ時代、このあたりは石灰岩の一大採掘場であった。この石切り場跡のことをクレイエルと呼ぶ。メゾンの地下には、そのクレイエルが残り、最深で38メートルもある。

ルイナールでは、この歴史的遺産を有効活用。シャンパーニュの重要製造拠点にしている。プレステージシャンパーニュである『ドン・ルイナール』は、澱(おり)を取り除くためのルミアージュを、今でもここで手作業で行っている。メゾン・ツアーでは、この地下のクレイエルも見学。シャンパーニュがいかに時間と手間をかけて生まれるのか、その現場を見られる。

「ルミアージュやデゴルジュマンといった特有の技術など、過去から受け継がれた要素を次世代へとつなげていくのは、メゾンの使命だと考えています」とデュフォー社長。そのひとつが今年生まれたシャンパーニュ『ルイナール ブラン・サンギュリエ エディション19』だ。

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ポルトガルのコルクの林。ルイナールではその植樹も積極的に行っている。

気候変動の波は、シャンパーニュ地方で育つブドウにも大きな影響を与えている。ルイナールでは、その変動に伴う環境問題に対峙すべく、コルク樫の植樹や施設内の自然エネルギー活用などを行っている。そしてフレデリック・パナイオティス最高醸造責任者のもと、シャンパーニュ造りに関してもおよそ10年の歳月をかけて取り組んでいた。そしてついにリリースされたのだ。気温上昇に伴いブドウの収穫時期が早まっているが、この気候変動に起因するアロマの特徴が、原料となるシャルドネ種にあることを発見。ノン・ドザージュ(加糖なし)でありながら味わいの深さと切れ味のある、いわば未来へのひとつの回答を、最古のメゾンは導いたのである。

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今年急逝したフレデリック・パナイオティス最高醸造責任者(左)のレガシーとなったシャンパーニュ『ルイナール ブラン・サンギュリエ エディション19』(右)は、来たる未来に向けた歴史あるメゾンの答えのひとつでもある。

メゾンや現場のトップが見据えるビジョン。それは過去を生かすことで未来の輝きにつなげること、と言い換えられるかもしれない。アートや環境、そしてシャンパーニュ造りでのルイナールの姿勢は一貫している。それらを体感できるのが、メゾンへの旅なのだ。

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Maison Ruinart
4 Rue des Crayères, 51100 Reims, France
メゾンの歴史や施設を学び、最後にテイスティングを行うツアーは、約2時間で€85〜。サイトから予約ができる。

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「アエラスタイルマガジンVOL.59 AUTUMN / WINTER 2025」より転載

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