週末の過ごし方
翔やん、翔んで“昭和”へ。
【下北沢・ニューサニー編】
氣志團・綾小路 翔が誘うレトロな小旅行
2026.05.12
あの看板、あの灯り、あのアーケード─。懐かしくもどこか新しい“昭和”を探す小さな旅へ、氣志團・綾小路 翔(=翔やん)と共にいざ出発! まずは下北沢のスナックで時代を翔び越えちゃおう。
「 通いつづける」と誓いたくなる老舗の灯り
1974年創業の「ニューサニー」。下北沢の夜を半世紀見守ってきた老舗スナックだ。祥子ママと奈美さんが元気よく出迎えてくれた。「昔、池の上に住んでたことがあって。下北沢は変わりましたよね」。カウンターに腰を下ろした翔やんが、ぽつりとこぼす。再開発で街は整備され、駅前の景色も様変わりした。それでも祥子ママは笑う。「変わらないのはこの一角くらいよ」。ニューサニーには、昭和の色温度が確かに残っている。
「カラオケはあまり歌わない」と語っていた翔やんだが、今夜は違う。祥子ママと奈美さんに背中を押され、尾崎 豊『OH MY LITTLEGIRL』を熱唱。翔やん節が店内に響く。ニューサニーは1曲200円。23時までは狙い目だが、深夜には満席になることが多い。
「お客さんで必ず『One NightCarnival』を歌う人がいるのよ」と祥子ママ。翔やんは笑う。「後ろからご本人登場で出たいわ」。若い世代が昭和歌謡を歌い継ぐ光景もあるという。「うまさより、“なりきり”が染みる」。不思議な符割、思わぬファルセット。客人の歌もまたスナックの味だ。
モノマネの話題になると、「僕、なぜかモノマネ番組の審査員になったんですよ」と苦笑する。コスプレのファンに感謝しつつ、リーゼント談議へ。「中2の法事で怒られました。でも不良は早起きなんですよ。セットのために」。そこには時代を超えた誇りがある。
杯を重ねるうちに、翔やんはさらりとボトルをキープ。「通います!」と高らかに宣言。ニューサニーの空気に心を掴まれたようだ。
灯りは朝まで。語りは尽きることがない
祥子ママは20時に店を開け、基本は2時まで。だが客がいれば朝まで灯りは消えない。80代の常連もいれば、女性ひとりでふらっと訪れる客も少なくないという。「人と会話したほうが若くいられるのよ」。そう笑うママ自身が、誰よりもこの夜を楽しんでいる。
最後に、スナックの魅力を聞いた。「ひと言では言い表せない」。情報化社会でも、スナックは扉を開けなければわからない。数カ月で景色も人も変わる。「どう溶け込むか、人間の質が問われる場所」。やっと大人の1年生になれた気がする、と翔やんは言う。
酒と旅を愛し、前々乗りを重ねる男にとって、スナックは新たなフィールドワークだ。学ランを着たまま、今夜も昭和へ翔ぶ。
綾小路 翔(あやのこうじ・しょう)
氣志團の團長。千葉県出身。リーゼントに学ランという独自の美学で、ロックと昭和歌謡を横断。代表曲「One Night Carnival」などで知られ、エンタメ性と人情味ある言葉でカルチャー全般に影響を与えつづけている。
ニューサニー
住所/東京都世田谷区北沢2-9-13
TEL/03-3469-7166
営業/20:00~1:00
定休日/日
Photograph: Kentaro Kase
Styling: Michiko Koizumi
Make-up: Ai Yuki
Edit & Text: Mayu Yamamoto
衣装協力:アクセサリー/PUERTA DEL SOL