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ピッティの真価とは? 第1回
─5人のキーマンが語る世界のファッション事情─

2018.04.02

世界最大級のメンズファッションのトレードフェア、第93回ピッティ・ウォモ(以下ピッティ)がイタリアのフィレンツェで開催された。出展ブランド数は1244、開催4日間での総来場者は3万6000人、うちバイヤー総数は約2万5000人に上り、いずれも前回を上回る成果を残した。

さらに詳細を見ると、興味は増す。出展ブランド中イタリア国外の海外ブランドが45.8%、海外からのバイヤー数も36.2%を占める。こうした数値が示すのは、もはやピッティがイタリア国内だけではなく、世界に向けたトレードフェアであるということだ。

いまメンズのファッションウイークの動員が思うように伸びないなか、主旨は異なるにしてもピッティの隆盛は注目だ。ではなぜ世界のブランドやバイヤーはピッティを目指すのか。その魅力とはどこにあるのか。そんな視点からピッティの真価を探った。

ビジネスの場としての役割に、飽きさせない工夫

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エンテ・モーダ・イタリアCEO アルベルト・スカッチョーニ氏

にぎわう会場のプレスルーム、訪れた人物に周囲も緊張感が漂った。ピッティ運営のグループ企業エンテ・モーダ・イタリアのCEO、アルベルト・スカッチョーニ氏だ。一見カジュアルでいてまったく隙のない洗練されたスタイルは、まさにミスターピッティ。

「ピッティはいまいちばん世界で重要なメンズファッションのプラットフォームだと思います。出展することがブランドのアピールになり、ステータスとして不可欠な要素になっています。商談はもちろん、そこで得るフィードバックも重要なポイントです。たとえば私が若手デザイナーだったとしましょう。国内でショーをやったとしても、見るのはやはり国内のジャーナリストであり、バイヤーに限られます。対してピッティは世界に向けたショーウインドーになるのです」

重要なのはピッティがビジネスの場であること、と力を込める。

「そのためには需要と供給がバランスよく存在していなくてはなりません。イタリアブランドの大手はイメージを訴求し、海外や中小のブランドは商談やセールスを重視します。それがいいミックスになっています。バイヤーにとっても1200以上のブランドのショールームをすべて回ろうとしたら、それこそ2カ月はかかるでしょう。それがピッティに集約され、3日半で見ることができるのです」

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さらに限られた開催期間を充実させるため、話題性のあるランウェイなどは後半に設け、来場者を飽きさせないよう工夫する。

「たとえば会場での展示だけではなく、同時期にアーカイブの美術展を開催したり、本を出版することもあります。ファッションだけでなく、デザイン、アート、映像、音楽などクリエイティブすべてに関わるイベントとして発信していきたいと思います」

今後は海外ブランドの出展をより増やしたいと語る。だがそれによってピッティらしさや、イタリアンファッションの色合いを薄めてしまうのではないか。

「むしろイタリアのブランドも海外ブランドの動向を見ることで刺激を受けますし、それは国内のファッション産業にもいい影響を与えるでしょう。結果としてそれぞれのブランドの成長にも役立つと思います」

そこにはイタリアのファッション業界を活性化させる起爆剤としての可能性も見据えている。

第2回はこちら>>

Photograph: Mitsuya T-Max Sada
Text: Mitsuru Shibata
Coordinate: Shiho Sakai

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