スーツ

【デ・ペトリロ】
ピッティで知る、スーツの現在。

2023.06.27

【デ・ペトリロ】<br>ピッティで知る、スーツの現在。
「デ・ペトリロ」代表の愛称ベニィことベネデット氏。長身にチョーク・ストライプのダブルがよく似合う。

去る1月10日より、フィレンツェのバッソ要塞にてメンズファッションのトレードフェア「ピッティ・イマージネ・ウオモ(以下ピッティ)」が開催された。第103回を迎えた今回、「ピッティ・ウエイ」をテーマにした会場は、多様化するスタイルやトレンドであふれていたが、手堅く復活の兆しを見せるアイテムがあった。スーツだ。

「ピッティ」会期中に街中で催されるイベントや展示会はすべて「フオリ・ピッティ(ピッティの外の意)」と呼ばれ、街全体がお祭りモードに華やぐ。

そのなかのひとつ、中央駅前というストラテジーな立地の重厚な建物にショールームを構えた「デ・ペトリロ」を訪ねてみた。

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「ヴィラのクローゼット」がコンセプトの秋冬2023コレクションには華やかなパーティージャケットなどもお目見え。

こちらは軽快なナポリ・スタイルとサルトリア・テクニックを組み込んだプレタポルテ・スーツで近年人気が高まっているメゾンだ。「混沌とした時代の後、多くの人は原点回帰の憧憬がある。つまりクラシックへのより戻りです」と語る代表のベネデット氏は、20歳ごろより義父の経営するナポリの縫製工場や有名サルトリアなどで技術と経営を学び、2009年にようやく生産から販売まで一貫管理できる会社を設立し、自社ブランド「デ・ペトリロ」をリリースした苦労人である。下積みが長く、販売の現場への深い理解もあるため、洗練されたスーツの割にお手頃なのも魅力のひとつだ。

「私の服作りには夢があります。第一に美しく、カッコよくなれる服を作りたい。でも素材や生産コストを秤にかけてリアリティーある形に落とし込んでいます」。ナポリ・ブルボン王朝時代に培われたサルトリア文化が土壌となる服飾製造業地帯で研鑽(けんさん)を積んだベネデット氏は、原料サプライヤーも知り尽し、伝統スキルを効率よく採り入れた社内一貫生産で、クオリティーとコストを管理するという才にたける。

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今期おすすめするダブルのジャケット。

「スーツは小物との合わせも大切です。特にネクタイはダンディー度が上がるし、時にセクシーだったりしますから利用しない手はありません」。なるほど、ナポリなどイタリア製のスーツ姿は時に「艶(つや)」を放ち、男性の魅力をアップする格好のアイテムなのだ。

ベネデット氏は勉強家でもあり「ロックダウン中に日本の中世からの歴史書を読み、日本人の気持ちがより理解できたと自負しています」と顧客へ寄り添う温かな姿勢があるのも、日本でも好感度が高い理由に違いない。

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Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Michiko Ohira

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