スーツ
夏のスーツは難しい? 涼しく着こなすために
覚えておきたいポイントとマナー
2023.06.21(最終更新:2023.09.21)
ビジネスカジュアル、そしてクールビズが世間に浸透し、軽やかな服装でオフィスに出かける人も多くなりました。暑い夏を快適に過ごすうえでクールビズは効果的ですが、自由度が上がった分、服装選びが難しくなったという声も。夏のスーツスタイルでは、基本的なマナーや着こなし術、生地や仕立ての選び方などを押さえておくことが大切です。この記事では、夏のスーツの選び方をスマートかつ快適に着こなすためオススメを紹介します。
クールビズとは
クールビズとは、環境省が夏期に推進している衣服の軽装化キャンペーン、またはビジネス向けの軽装のこと。それ以前からあったビジネスウエアのカジュアル化を推し進め、より日本の夏にふさわしいスタイリングの推進といえます。地球温暖化を背景として、2005年から実施されてきました。環境省は令和2年度のクールビズの実施期間を「5月1日から9月30日まで」の5ヵ月間と定めています。
クールビズの具体的な目標として、軽装化によって28度を目安とした適正な室温で快適に過ごすことが掲げられています。なお、28度というのはエアコンの設定温度ではなく、あくまでも室温の目安。そのため、西日などで室温が上がりやすい場合は、設定温度を28度より下げることも想定されています。服装の他には、うちわや冷感グッズで体感温度を下げる、ブラインドや断熱シートで室温上昇を抑える、といった暑さ対策が勧められています。
クールビズの推進によって、日本では夏のビジネスタイルの自由度が上がりました。その結果、スーツの快適性だけではなく、自分らしい着こなしも楽しめるようになってきたのです。オススメの選び方と覚えておきたいポイントを解説します。
夏のビジネススタイルのマナー
ジャケットは用意するべきか、インナーはどのようなものを選べば良いのかなど、夏のスーツスタイルではマナーに迷ってしまうポイントも多いもの。ここからは夏のスーツスタイルで気を付けたい3つのマナーを紹介していきます。
夏でもジャケットは用意しておくべき
羽織るか否かに関わらず、夏でもジャケットを用意しておくのが社会人としてのマナーです。クールビズが社会に浸透してきたとはいえ、ビジネスにおいては長袖シャツにジャケットを羽織るのがフォーマルなスタイルとされています。ジャケットを手に持っているだけでも、相手に与える印象は大きく変わるもの。手ぶらの相手とジャケットを携えている相手、どちらがビジネスパートナーとして信頼できるかを考えてみましょう。
夏のジャケットは、移動中は羽織らず、商談の際は羽織るというように、シーンに応じて使い分けるとスマートです。自分がジャケットを用意していないのに、相手がしっかりと着ていて気まずい思いをするということもあり得ます。相手に与える印象で損をしないよう、夏でもジャケットを用意しておくのが賢明です。
セットアップは夏こそ活躍
上下セットを前提につくられているスーツとは異なり、セットアップはジャケットの着丈が短め、脇のポケットがパッチポケットという特徴があり、ジャケットとパンツそれぞれが単品でも着られるように考えられています。パンツにシャツだけでも、スーツのような物足りなさは感じさせません。またジャケットは別のパンツを合わせられるため、組み合わせによってまったく異なるコーディネートが可能。着こなしの幅が広がるうえ、連続で着ることによるダメージを避けられるメリットがあります。
半袖シャツの上にジャケットは着ない
暑いからといって、半袖シャツの上からジャケットを羽織るのはNG。シャツは本来、ジャケットを肌に触れさせないための衣服です。半袖シャツだと腕が直接ジャケットに触れてしまうため、シャツを着る本来の意図からは外れてしまいます。また、ルックスとしてもシャツの袖が見えていないのは違和感があります。スーツを正しく着こなすと、ジャケットから1~2cmほどシャツの袖が見えている状態になります。
実用性の観点からも、ジャケットの袖裏に汗がついて汚れてしまうのでオススメできません。ジャケットをクリーニングに出す頻度が上がり、着ている間も気持ち悪く感じることでしょう。スーツスタイルでジャケットを着用するときは、長袖シャツを着るべきです。
紳士服では、肌の露出を極力抑えるのがエレガント。ジャケットが不要なシーンであっても、長袖シャツを着用し、暑いときは腕まくりを。
肌着は見せない・透けない
シャツの下にインナー(肌着)を着る場合は、インナーの存在を感じさせないようにするのが着こなしの鉄則です。汗や皮脂で汚れやすいインナーが見えたり、透けたりしていると、相手に不潔で野暮ったい印象を与えることになります。インナーを見せないための工夫として、シャツの第2ボタンを開けても見えない、深めのVネックシャツを選ぶと良いでしょう。
また、ベージュのインナーを選べばシャツの上から透けにくくなるのでおすすめです。肌の色に近いベージュのインナーであれば、肌との境目がわかりにくいので、上からシャツを着ても透けにくくなります。襟や袖、裾の縫い目がフラットで目立たないものであればさらに透けにくいでしょう。ノーネクタイや半袖シャツの状態でもインナーがシャツの上から透けないように、インナーの形や色にはこだわりましょう。
ちなみに、最初からインナーを着ないというのも一つの方法。そもそもシャツはジャケットを汚さないための肌着として作られたものであり、インナーなしで直接着ても問題はありません。肌触りが良く、吸水性もある綿100%のシャツがほとんどなので、快適に過ごすことができるでしょう。ただし、汗染みなどが気になる人は目立たないように肌色のインナーを中に着たほうが安心です。
夏スーツの着こなし
夏のスーツはコーディネートを工夫することで、さまざまなスタイルを楽しむことができます。この段落では、ノータイ、ジャケット×カットソー、ジャケパンという3つの代表的なスーツスタイルを紹介します。それぞれのポイントと選び方をチェックしましょう
ノータイスタイル
ネクタイを外したノータイスタイルは、2005年にスタートしたクールビズの浸透にともなって一般化しました。基本的に、ビジネスシーンでノータイはNGマナーとされていますが、クールビズ期間中は問題ありません。ただし、商談の際など、訪問先でカッチリとした印象を与えたい場面はネクタイを締めるのが無難です。
ノータイスタイルは、夏用のスーツやセットアップ、ジャケパンスタイルと相性が良い着こなし。ネクタイの幅とラペルの幅を合わせるとVゾーンがスマートに見えますが、ノータイスタイルでネクタイがあるときと同じ幅のラペルのジャケットを着ると、野暮ったい印象を与えてしまいます。ラペルの幅が狭いジャケットを着れば、ノータイでもスタイリッシュに決まります。
また、ノータイだとシャツの襟先がだらしなく見えやすいので、ホリゾンタルカラーのシャツがおすすめ。ホリゾンタルカラーとは、襟の開きの角度が180度と、ほぼ水平になるタイプの襟のことです。開きの角度が75~90度のレギュラーカラーと比べると、ホリゾンタルカラーの開きが非常に大きいことがわかります。さらに襟が後ろに流れるように190°以上開いたカッタウェイというモデルもオススメです。
ストライプ柄の見頃に襟とカフスが無地で切り替わったクレリックタイプのホリゾンタルカラーシャツなら、個性をさらに強調できます。その他に、ボタンダウンカラーも襟の形がきれいに見えるのでおすすめ。襟の先端がボタンで留められるため、ジャケットを羽織ったときに襟先が散らかったり、浮き上がったりする心配もありません。
ノータイのジャケパンスタイルなら、ネイビージャケット×グレーパンツの組み合わせが王道。このスタイルはカジュアルな印象が強いので、着ていくシーンの雰囲気に合わせて選ぶようにしましょう。
ジャケット×カットソースタイル
ジャケット×カットソースタイルは、カジュアルで涼しげな雰囲気がある夏向きのスタイル。首周りの肌が大きく露出するので、軽やかな抜け感が演出できます。カットソーには豊富なデザインがあり、気分に合わせて多彩なコーディネートを楽しめるのがこのスタイルの特徴。また、シャツのように前身頃にボタンが付いていないので、シンプルでカジュアルな印象を出しやすいスタイルだといえます。
一方、カットソーのデザインが豊富な分、着こなしが難しいスタイルでもあります。派手な色の組み合わせや同色・単色のコーディネートは上級者向けなので、初心者はなるべく避けるのが無難。そして、シャツを着る場合に比べるとどうしてもカジュアルになるため、TPOに合わせて選ぶ必要があります。
オススメのコーディネートは、スマートなシルエットのジャケットと無地のカットソーの組み合わせです。無地のカットソーは下着のように見えることがあるので、生地の薄いものは避けること。カットソーの首の形には主にラウンドネックとVネックの2種類があり、Vネックのほうがスマートな印象になります。ただし、露出が多すぎるとエレガントさが失われるので、バランスに注意して首の形を選びましょう。
ジャケパンスタイル
セットアップではないジャケットとパンツを組み合わせてコーディネートするのがジャケパンスタイル。セットアップのスーツよりも個性が出しやすく、着まわしも気軽に楽しめます。
フォーマル度としては、オフィスカジュアルやビジネスカジュアルを採用している職場にちょうど良いスタイルといえるでしょう。ジャケット×カットソースタイルと同じようにカジュアルになりやすいので、TPOに合わせて選ぶことが大切です。
ジャケパンスタイルの着こなしのポイントは、ネイビー、グレー、ベージュのベーシックカラー3色を基本にコーディネートを考えること。夏のジャケパンスタイルでは、ライトグレーや水色などの明るいカラーを取り入れれば涼しげな印象を演出できます。コットンやリネン、シアサッカーなどの夏らしい素材を採用して、季節感を漂わせるのも粋な着こなしです。
夏のスーツでビジネスカジュアルを作る
ビジネスカジュアルはカジュアルであって、ラフではありません。仕事というオフィシャルの場では一定の節度が必要です。ポイントはシャツの選び方。ノータイはOKですが、襟元がだらしなく見えないように留意しましょう。ボタンダウンやホリゾンタル、カッタウェイがオススメの襟型です。また、胸ポケットにチーフなどをあしらうとフォーマル感を補うことができます。
またウール100%だと少し重く感じられるため、モヘアや麻などの清涼感を感じさせる異素材が混紡されたものがオススメです。
ビジネススーツの場合、Tシャツやカットソーは避けるのがマナーです。またプリントやカラフルなシャツも悪目立ちするのでNGです。白や薄いブルーの無地、または無地に近い細身のストライプ程度に留めてください。
夏のビジネスウエアは生地と仕立てが快適性の鍵
夏のスーツを快適に着こなすためには、暑い時期に適した生地と仕立ての種類を知ることが大切。それぞれの特徴や着こなしのポイントを学び、自分に合った夏のスーツ選びを楽しみましょう。ここからは、夏のスーツに採用されることが多い生地と仕立ての特徴を紹介していきます。
コットン
コットンスーツといえば、春夏用の涼しげなスーツとして知られています。コットンは肌触りが良く、吸水性・通気性に優れているため、夏向きのデザインのスーツが多く販売されています。カラーバリエーションが豊富なコットンスーツは、赤やベージュ、グリーンなど、その日の気分でカラーを選べる自由さが特徴。ウールのスーツに比べると安価なものが多く、気軽にスーツスタイルを楽しみたい人にはうってつけのアイテムです。
夏におすすめのコットンスーツのカラーは、ベージュ、ブルー、テラコッタです。ベージュはコットンスーツの王道カラーで、夏の明るい太陽に照らされたときに爽やかでエレガントな気品を漂わせてくれます。
ブルーはコットンスーツの夏らしい季節感をさらに強調してくれるカラー。白シャツやカットソー、ポロシャツなど、幅広いアイテムに合わせられるのがブルーのコットンスーツの特徴で、ストライプ柄を取り入れれば清涼感はさらに強まります。赤味がかったオレンジのテラコッタは大胆な色合いで、非日常感があるのでバカンスなどのシーンにおすすめのカラー。
ギンガムチェックのラウンドカラーシャツを合わせれば、柔らかいカジュアルな雰囲気を演出できます。
リネン
夏らしい素材と聞いて、真っ先にリネンを思い浮かべる人も多いでしょう。アマ科の一年草であるフラックスの茎の繊維から作られているリネンは、丈夫で耐久性や吸水性に優れた生地。シャリシャリとした独特の自然な風合いがあり、夏らしさを出したいときにぴったりの素材だといえます。リネンは使い込むほど肌触りが良くなっていくので、質の良いスーツを手に入れれば長く愛用できる1着になるでしょう。
リネンスーツはシワになりやすいデメリットがあるので注意が必要。ビジネスシーンで使う場合は、着用後に丁寧なアイロンがけが必要なことはいうまでもありませんが、着用中もシワにならないように気を使う必要があります。こうした手間が煩雑だと感じる人には、ウールとリネンを混紡した生地のスーツがおすすめ。
混紡生地であれば、リネンの夏らしさを保ちながらもシワになりにくく、ドレッシーな雰囲気もあるのでビジネスシーンでも使いやすいでしょう。リネンスーツがカジュアル過ぎるシーンでは、ネクタイなどの小物にさりげなくリネンを取り入れると、さりげなく季節感を演出できます。
シアサッカー
「しじら織り」とも呼ばれるシアサッカーは、見た目が波状の縞模様で、表面が凸凹しているのが特徴の生地。もともとはインド産の柔らかい亜麻生地のことを指していましたが、現在ではコットン素材のものが主流です。素朴な風合いがあり、凸凹によって肌に触れる面積が少ないので着心地に清涼感があります。パジャマやカジュアルウェアに使われることも多い、夏向きの生地だといえるでしょう。
シアサッカーは最初からシワがある素材なので、着用によるシワを気にする必要がありません。そのため、他の素材のようにアイロンをかける必要がなく、洗濯後乾いたらすぐに着られるというメリットがあります。なお、製品によっては洗濯できないものもあるため要注意。色落ちしやすいので、おしゃれ着洗剤を使ってぬるま湯で手洗いするのがよいでしょう。
夏らしさと気品を兼ね備えたシアサッカーのスーツは、カジュアルなビジネスシーンにも使える便利なアイテム。爽やかなサマースタイルを演出したいときは、ブルー系のシアサッカーのジャケットにホワイトのシャツが好相性です。また、グレーのシアサッカーのセットアップに白のカットソーを合わせれば、手軽に清潔感のあるコーディネートがメイクでいます。ちなみに、半袖シャツの上からジャケットを羽織りたいときは、肌に触れる面積が少なく、カジュアル感の強いシアサッカー素材のものがおすすめです。
モヘア
夏が近づくと耳にする機会が増えるモヘアとは、アンゴラヤギの毛のこと。原産地はトルコで、現在の主な産出国はトルコ、南アフリカ、アメリカです、特に、アメリカではほとんどのモヘアをテキサス州で産出しており、テキサス産のモヘアはテキサスモヘアと呼ばれて多くの人に親しまれています。また、生後6ヵ月頃までのアンゴラヤギの毛をキッドモヘアといい、成獣の毛よりも柔らかい希少な素材として高級スーツなどによく使われています。
スーツ生地としては、ウールとの混紡が一般的。太さの異なる毛を混ぜ合わせることで生地に隙間が生まれ、通気性が良いという特徴があります。また、モヘアはウールほど毛が縮れておらず、熱をため込みにくいというのも快適性のポイント。涼やかで着心地が滑らかなウールモヘアのスーツは、夏でも快適に着られるアイテムとして重宝されています。
ウールモヘアのスーツには上品な光沢があり、リネンよりもフォーマルな印象を与えられます。ネイビーのウールモヘアジャケットにホワイトのコットンパンツを合わせれば、フォーマルな印象を保ちつつ爽やかさを漂わせる、夏らしいコーディネートに。なお、モヘアはウールよりも直毛で糸がほどけやすいため、スラックスの折り目部分などはやさしくアイロンがけする必要があります。ウールモヘアの生地の光沢や着心地は混紡率によって異なるため、自分の目で確かめて好みの生地を選びましょう。
機能性素材
スーツやジャケットはオーソドックスなアイテムで、流行によるシルエットの変遷はあるものの、基本的なデザインの変化はありません。その代わり、素材はかなり進化しています。吸湿速乾もそのひとつ。主にクールマックス®がよく使われます。この素材は特殊な構造のポリエステルでできており、汗をすばやく乾燥させ、気化熱で涼しさをキープします。この素材とウールを混紡したスーツは夏物としていちばんのオススメです。
シワ加工もメリットのある機能。もともとウールは回復力があり、コットンや麻に比べるとシワにはなりづらいですが、それでも夏のタフな着用においてはなかなか回復が追い付きません。ポリエステル混紡であれば、ある程度のシワになりにくさは担保されます。
もう少しカジュアルな着こなしが許される場合、ジャージー素材もオススメ。伸縮性や回復性に富んでおり、シワの心配もありません。レザースニーカーとの相性も抜群です。
また、最近では自宅で洗濯可能な素材も増えています。こちらもウールとポリエステルのミックスですが、向かないものもあるので、必ず洗濯表示を確認してください。洗濯が可能といっても毎日ではさすがに多すぎるので、夏でも月数回を目安に。上下ともネットに入れ、手洗いモードを選び、洗濯後も陰干しにするのがオススメです。
半裏仕立て
冬用のジャケットでは内側全面に裏地が付けられており、これを総裏仕立てといいます。裏地の素材にはポリエステルやキュプラなどが使われていますが、表地よりも通気性が低いため、総裏仕立てのスーツを夏に着ると暑苦しく感じてしまうもの。そのため、夏用のジャケットでは裏地の面積を少なくし、涼しく着られるように工夫が施されています。
主に夏用のジャケットに採用されている半裏仕立ては、背中部分の裏地の下から約3分の2を切り取り、さらに前身頃の裏地を弧を描くように切り取った仕立て。裏地の面積が少ない分、通気性に優れています。他の仕立てよりも高い技術が必要とされるため、オーダースーツで採用されることが多い方法。さらに涼しくするために、残された裏地をメッシュ素材にしたり、薄い生地で裏地を作ったりしたものもあります。
背抜き仕立て
背抜き仕立ては、背中部分の裏地の下から約3分の2を切り取る仕立て方です。半裏仕立てとの違いは、前身頃の裏地が切り取られていないことです。前身頃の裏地がすべて付いているので半裏仕立てほど涼しくはありませんが、背中の通気性が良くなるため、春夏スーツ向きの仕立て方だといえるでしょう。
ちなみに、裏地をまったく付けない仕立て方をアンコン仕立てといいます。アンコン仕立てでは、裏地だけではなく肩パッドや芯地もほとんど使われておらず、表地のみでスーツが構築されています。「アンコン」は「unconstructed jacket(アンコンストラクティッド・ジャケット)」の略で、「非構築的なジャケット」という意味。この名称は、通常のスーツを構築する裏地や芯地が使われていないことに由来しています。最も涼しい仕立てといえますが、体のラインがそのまま出るので着こなしが難しいデザインでもあります。
汗対策もお忘れなく
夏のスーツスタイルを考えるうえで無視できないのが汗の問題です。汗対策をおろそかにすると、汗の臭いで周囲に迷惑をかけたり、スーツの寿命が縮んだりする場合があるので注意が必要です。ここからは、夏のスーツスタイルで気を付けたい汗対策について解説します。
インナーを着て汗を吸収
汗をかく時期は、シャツの下にインナーを着れば汗染みをある程度防ぐことができます。夏の汗が気になる人は、通気性や吸水性、消臭性に優れたインナーを選ぶとよいでしょう。また、脇の汗にも対応できるように、タンクトップやノースリーブではなくVネックのシャツを選ぶのがおすすめ。さらに、パンツの下に吸水性や通気性の良いインナーを履けば、効果的な下半身の汗対策になります。
汗対策グッズを常備
制汗スプレーは、肌のべたつきを抑えてサラサラに保ってくれるグッズです。スティックタイプやロールオンタイプなど、塗るタイプの制汗剤も便利に使えるため、自分にとって使いやすいものを用意しましょう。汗をかいたときにすぐ拭けるように、汗拭きシートを常備しておくのもおすすめ。特に汗のべたつきが気になる人は、肌のサラサラ感が持続するボディパウダーを使うと良いでしょう。防臭効果が高く、シャツが汗で肌に張り付くのも効果的に防いでくれます。
スーツのこまめなお手入れを
汗をかいた日は、帰宅後なるべく早くスーツのお手入れをすることが大切です。放置しておくと、汗が悪臭やカビの原因になることも。スーツをハンガーにかけ、濡らしてからしっかりと絞ったタオルで、汚れやすい背中や脇の部分を叩くように拭いてください。このとき、タオルで生地をこすると色落ちや傷みの原因になるので避けましょう。風通しの良い場所で陰干ししたうえで、最後にスチームアイロンをかければお手入れ完了。ちなみに、ウォッシャブルスーツや形態安定シャツを用意すれば、汗をかいても自宅で簡単に洗えるので夏場に便利です。
まとめ
クールビズが広まったことによって、夏は多彩なスーツスタイルを楽しめる季節になりました。ノータイやジャケパン、ジャケット×カットソーなど、その日の気分に合わせてコーディネートできます。その一方で、マナーをおろそかにしてしまっては本末転倒。生地や仕立てを工夫した涼しいスーツも数多くラインナップされています。
また、汗染み対策としてシャツの下に目立ちにくいインナーを着用し、帰宅後はスーツのお手入れをすることも大切。夏のスーツスタイルは、マナーや汗対策に注意しながら、着こなしを謳歌してはいかがでしょうか。
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