小物
ハリウッド ランチ マーケットの隠れた名品で、
夏の定番スタイルをアップデート。
ファッショントレンドスナップ215
2025.09.03
猛暑がこれだけ長く続くと、外出するときに何を着るかを考えても無駄? 涼しいのがいちばん、オシャレかどうかは二の次三の次になりがち。気がつくと、Tシャツか白の半袖シャツにチノパンや短パンという夏の定番、ワンパターンコーデにはまっている方は多いのではないでしょうか。
もちろん、それが悪いわけではないのですが、家族やパートナーとお出かけや旅行に行くときは、いつもと違う雰囲気でちょっとオシャレに気を使ってます感があるほうが、好印象につながるはず。
そこで今回は、猛暑&残暑のワンパターンコーデにひとつプラスするだけでトレンドを簡単に盛れ、いつもと違うスタイリッシュなコーデが完成するという神アイテムにフォーカス。
今回のジェントルマンは、白の半袖シャツにベージュのチノパンという誰もが持っていそうで、まねしやすいアウトフィット。
※海外のSNSでは、日本で使われる洋服のスタイリング、服装のことをoutfitと呼ぶのが主流。#outfit
でも、全体の雰囲気にはマンネリ感はなく、オシャレなムードが満載。そう、首に巻いたバンダナが、定番コーデにほどよいトレンド感をプラスしていました。
実はネッカチーフとかバンダナといった首周りのファッションアイテムが最近再注目されていて、ネットで検索(2025年9月上旬現在)すると、ルイ ヴィトンの公式サイトにはクラシックなペイズリー柄をアレンジしたものや、ルイ ヴィトン版シティスタンプものをなどなど驚くほどの充実ぶり。かたやザラではモード感をプラスしたお手頃プライスのバンダナがアップ。
このトレンドは、今年だけでは終わらないようで、2026年春夏のパリファッションウィーク中に発表されたエルメスのメンズコレクションではバンダナやスカーフがかなりの頻度で登場していて、このトレンドは来年も盛り上がりそうな気運。https://www.youtube.com/watch?v=eQUau2GefuA&t=11s
ということで、今回は日本でバンダナといえばココでしょう!と個人的に推すブランドを取り上げてみました。
右:入り口で出迎えてくれるオブジェ(鹿や馬、トカゲ)もユニーク。
それは、ハリウッド ランチ マーケットのオリジナルのバンダナ。
ハリウッド ランチ マーケットは、1972年に千駄ヶ谷でアメリカンユーズド(古着)のデニムウエスタンシャツ、ネルシャツなどのアメリカのカジュアルウエアをベースにスタート。古着屋の先駆者的な存在で、1979年に当時は閑散とした住宅街だった代官山に移り、現在ではオリジナルアイテムを中心に世界各国から集めたセレクトアイテムなどを展開。50年以上スタイル&コンセプトを変えずに営業しつづけています。
ハリウッド ランチ マーケットを語るうえで欠かせないのが、オリジナルアイテム第1号として作られたバンダナ。ハリウッド ランチ マーケットの隠れた名品、絶対定番として発売当時から現在まで、絶大な人気を誇るロングセラーです。
※ニューバランスをはじめ、ヘインズやニューエラとのコラボレーションアイテムなど、新商品も展開。
店内のレジの斜め前には、ユニークな図版やメッセージがプリントされたバンダナがどっさりディスプレーされていて、初めて訪れるとチョイスに悩む方も多いはず。そこで、私が独断と偏見で2点ピックアップしてみました。
※オンラインショップには60種類以上が掲載。
<選んだポイント>
①ベースカラーをホワイトかブラックにすることで、夏から初秋に出番の多いTシャツや半袖シャツと相性抜群でコーデも簡単。
②首に巻くときに結びやすく、垂れ下がる部分がほどよい長さになる縦横53㎝というサイズ。一般的なバンダナより一辺が、約5〜6㎝長い。
左のバンダナはハリウッド ランチ マーケットなどを運営する聖林公司のオリジナルブランド、ブルーブルーのもので、ベースが白なので夏の定番アイテムになじみやすく、見た目の清涼感も出せます。
※ブルーブルーは1980年代にデニムのインディゴブルーを表現するブランドとして誕生。
船乗りの夢という名前のこのバンダナには、昔のピンナップガールをイメージしたセクシーなポーズの女性のイラスト(ほかにもトランプやカクテルグラス、ビンなども)がちりばめられています。
ちなみに機械印刷ではなくハンドプリントというこだわりも見逃せません。生地はコットン100%で、一般的なバンダナに比べるとかなり薄く、肌触りがとても滑らか。
対角線上の頂点をたたんで、固結びするとこんな感じになります。たたみ方は、こうでなくてはいけないという決まりはありませんが、上の写真のように結び目の先にバンダナの尖った部分がくると、収まりがよくスマートな首元が完成します。
具体的なたたみ方は、過去の連載で取り上げていますのでそちらを参考にしてください。
右のバンダナは、ブランド名が中央にあり、その下に「We Never Close-」「We Never Give Up-」「We Never Change.」といったメッセージがプリントされています。周囲には、バンダナのクラシックなデザインのひとつであるペイズリー柄がちりばめられています。
バンダナのルーツは、独特の模様がプリントされたインド製のコットンの布という説が有力で、代表的な柄のひとつがペイズリー。17世紀頃にヨーロッパに広まり、後々アメリカやメキシコで独自の進化を遂げます。
日本では、バンダナと言うとカウボーイが首に巻くウェスタン スタイルや、ヒッピーやミュージシャンが頭に巻くロック スタイルからファッションに採り入れられるようになり、現在ではフェスに欠かせないアイテムとして定着。ちなみに、今年のフジロック フェスティバル関係のSNSを見ると、バンダナ着用率が異常に高く、斬新でユニークな巻き方の宝庫でした。
こちらは実際にバンダナを白の開襟シャツに合わせてみた画像ですが、深めに開いたVゾーンにバランスよくはまっていると思いますが、いかがでしょうか?
こうすることで、肌の露出を抑えて品よく見せ、夏の定番スタイルを格上げする効果が期待できます。ただし、若干涼しさが減りますが、何度かトライすればそれも苦にならなくなるはずです。
最後にアメリカのビンテージ バンダナについてまとめている写真集をご案内。カウボーイ関連のほかにスポーツ、音楽といったジャンルのものも多く掲載されています。面白いのは、大統領候補が描かれた選挙運動用バンダナについての章があること。表紙には「ジョージ・ワシントン(初代アメリカ大統領)からエルヴィス(ミュージシャン)に至る布の文化」と記されています。バンダナ沼は深い!!
掲載した商品はすべて税込み価格です。
Photograph & Text:Yoichi Onishi