腕時計
ロンジン、 グッドプライスで購入できる名門ブランド
2017.06.24
西洋文化に造詣(ぞうけい)の深かった薩摩藩の第12代藩主・島津忠義は、西郷隆盛に江戸無血開城の褒美としてロンジンの懐中時計を贈ったといわれる。あの西郷さんの着物の懐には、ゴールドケースにホワイトダイヤルの懐中時計が鎮座していたらしい。
1927年にリンドバーグは世界初の大西洋単独無着陸横断に成功したが、ニューヨークからパリ到着までの「33時間30分30秒」はロンジンの時計によって計測された。このときの経験をもとに、リンドバーグは飛行中の自分の正確な現在位置(経度)が決定できる「アワーアングルウォッチ」を考案。1931年にロンジンが製品化したが、航空時計の最高傑作として伝説的なモデルとなっている。
1832年に創業したロンジンはスイスでも老舗の名門ブランドであり、185年にも及ぶ歴史があるだけに、こうしたエピソードはいくらでも探せる。偉人や冒険家たちが愛用しただけでなく、クロノグラフのパイオニアでもあることから、各種の世界的なスポーツ大会の公式タイムキーパーを務めてきた。スポーツ計時でも革新的なテクノロジーを開発した草分けだ。
その一方で「エレガンス・伝統・パフォーマンス」をスローガンとして、クラシカルで優美なモデルも定期的にリリースしている。1867年以降に製造された時計のデータがすべて記録されているほか、ミュージアムも整備されており、この充実したアーカイブから、歴史的な遺産とも呼べるモデルを縦横無尽に復刻できるのである。
過去にこだわるだけでなく、技術革新にも取り組んでおり、今年は「コンクエストV.H.P.」をリリースした。
年差±5秒の高精度クオーツだが、強い衝撃や磁場にさらされたときには針をいったん停止。それから自動補正する新開発のシステムを搭載している。
これほどの歴史と実績を有するブランドにもかかわらず、超高価なモデルは見当たらない。手の届きやすいグッドプライスが中心になっており、さまざまな意味でコストパフォーマンスが極めて高いブランドなのである。
問/ロンジン スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7351
掲載した商品はすべて税抜き価格になります。
Photograph:Fumito Shibasaki(DONNA)※1、Mitsuya T-Max Sada※2
Text:Keiji Kasaki(Team Spiral)