旅と暮らし
風情ある一軒家で関西風おでんを
2017.06.24
さまざまな企業で働く部長たちに聞いた「名店」を紹介します!
店に入る前から「ここはいい」と思える店がある。『ひとくち』がまさにそれ。店の前に立つと、暖簾(のれん)の先にある落ち着いた大人の世界を想像できる。
扉を開ければL字型のカウンター、その内側には静かに煮えたおでんとグツグツ煮える土手焼き。そして、その状況を見守る店主の常廣さん。カウンター席を選べば、おでんを見ながらオーダーができる。
鶏と昆布と鰹(かつお)節の出汁(だし)と創業以来変わらない秘伝の出汁を合わせて炊いたおでんは優しい味わい。どれをとってもハズレはないが、大根、卵、しらたきなどの定番はもちろん、たねにカレー粉が混ざったロールキャベツもぜひ! さらには、おでんの隣に並ぶ肉とこんにゃくの土手焼き。煮えている様を見るとオーダーせずにはいられない濃いめの甘い味噌(みそ)味。日本酒と合わせれば、思わず「旨(うま)い!」と声が出る。
おでんと土手焼き以外の料理も豊富。旬の野菜をシンプルに調理したおつまみの数々や新鮮な素材を使ったお造り、魚に飽きたら鶏のからあげや馬刺しなど、選択肢が多いのもうれしい。なかでも納豆のかき揚げが人気とか。民芸調の落ち着いた店内は、接待にも向いている。
Photograph:Reiko Masutani
Text:Sachiko Ikeno