紳士の雑学
知っておきたいスーツの素材[秋冬編]
2017.11.01
装いで知性と品格を表現し、ビジネスに有利に作用させたいならば、服飾用語への造詣を深め、TPOを踏まえた服装術を身につけることが肝要。それはまた、パズルのような知的遊戯への誘いであり、男のエレガントさを追求する旅でもある。洋服の素材は、そこに奥行きを加える重要な一片だ。
Autumn & Winter 秋冬向けの生地
01 ミルド・ウーステッド
紳士服で使用頻度の高い梳毛織物(ウーステッド)に縮絨(ミルド)をかけ毛羽を残したもの。フラノに似ているがよりコシが強い。02 フランネル
縮絨がかかった、見た目にも温もりを感じる紡毛織物(ウーレン)。グレーフランネルはエグゼクティブの象徴と称される。通称フラノ。
03 ツイル
織物組織の基本のひとつで綾織りとも呼ぶ。斜めの畝(うね)が特徴。ダークな色めはスーツ生地の最標準。万人に似合い秋冬春と活用される。04 シャークスキン
細かい濃淡のジグザグが斜めに走る梳毛織物。柄物とはいえ控えめな印象でビジネスシーンにふさわしい。鮫肌に似ることが名の由来。
05 ギャバジン
高い密度で綾に織られた梳毛織物の典型。角度の急な右綾が特徴で質実な見栄えを有する。耐久性に富み、弾力のよさが着心地に表れる。06 カシミアシルク
繊維の王様カシミアと女王シルクを混紡したぜいたくかつモダンな織地。特徴は軽量感ある着心地。スーツを着なれた上級者にふさわしい。
07 バラシア
バラシア組織という特殊な織りで菱形に綾目を見せる生地。通気性が高くシャリ感が強い。礼装用として活用される品格ある服地。08 キャメル
文字どおり原料にラクダの毛を用いた織物。ソフトで暖かく、シルクを思わせる光沢を有する。コート生地としても重用されている。
09 カシミア
カシミア山羊の毛を使う織物の総称。滑らかな手触りと美しい光沢が風格をなす。着心地の軽さからコート素材としても人気が高い。10 コーデュロイ
高密度の毛羽のある、縦畝の綿織物。強度が高く保温や吸湿に優れる。太畝なほどくだけた印象になるのでビジネスでは細畝が好ましい。
11 ツイード
伸縮性に富んだざっくりとした風合いが特徴の英国原産の紡毛織物。生産地や原毛の種類、織り方によって多くの種類に分類されている。12 ホップサック
太糸使いで密度の粗い平織りツイード。控えめな色めなら、保温力の高さに粗野な風合いも相まって、ウォームビズの主役として活躍する。
13 キャバルリー・ツイル
急角度の畝を有する綾織物。綾目は2本の細畝が二重になっている。丈夫でハリがあり、ジャケパンスタイルのパンツにふさわしい。14 ベッドフォード・コード
コーデュロイによく似た縦畝織物。綿やウールを用いる。狩猟服にも対応する耐久性がある。こちらもパンツ用途への傾向が強い。
紡毛(ぼうもう)と梳毛(そもう)とは?
原毛から糸を作る方法もしくは糸自体を指す用語。紡毛は短い繊維を紡いで作る。その際、多種繊維を混合するので、太さが不均等で毛羽が多く膨らみのある柔軟な糸になる。これを用いる紡毛織物は縮絨、起毛が容易で保温力が高い。フランネルはその典型。一方、梳毛は長い繊維を梳(す)いて作ることで太さが均一な糸になる。その梳毛織物は滑らかで光沢がありハリが強い。トロピカルはその好例。
出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)