紳士の雑学
自分好みの鞄を探して。
2018.04.04
男たちの持つバッグにも、時代が表れるものだ。戦後の男性風景には、革製の鞄がソフト帽とともに、日本のビジネスマン・スタイルの定番だった。男たちはそれに書類や新聞、人によっては愛妻弁当などを入れ、通勤電車に乗り込んだものだ。
ところが最近、ビジネスバッグの主流は、いわゆるナイロンなどの布を用いたものや、ナイロンと革を組み合わせたデザインのものとなってきた。それは昔と違って、紙類だけではなく、結構な重さのパーソナルコンピュータや、さまざまなモバイル機器などを持ち歩く人が増えたため、全体の重量を軽減しようと、軽い素材を用いたバッグに人気が出たからにちがいない。
だが僕は、昔ながらの革製ブリーフケースの存在感が好きだ。
革製のものは、手入れさえ怠らなければ長年の使用に耐えることができる。靴の色やベルトの色とそろえることによって、ファッションにもトータル感が増すし、最近の革には軽さを追求した素材も生まれているから、実用性の面からも問題はない。クラシックさがまた、新しさでもある時代なのだから、自分好みの革鞄を探してみよう。
出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)