腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
グラスヒュッテ・オリジナル
2018.08.14

年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
大型日付表示「パノラマデイト」をアクセントにしたクラシカル・エレガンス
グラスヒュッテ・オリジナルは、ムーブメントを自社開発・製造するドイツのマニュファクチュールであり、「パノラマデイト」がアイコニックな機構になっている。これは大型の分割式日付表示だが、2ケタの数字の間に段差や隙間がないため、同じ平面でつながっているように見えることが特徴だ。
今年の新作はトゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーなどの超複雑時計から、シンプルベーシックな3針モデルまで多彩だが、そのほとんどのモデルが「パノラマデイト」を搭載。このブランドを象徴する「顔」になっていることがわかる。そのなかでも、最も目立ったモデルが鮮やかなグリーンのダイヤルをもつ「シックスティーズ・パノラマデイト」だ。しかも、中心のライトグリーンから外周にかけて濃いグリーンに変化していくグラデーション。さらにドーム型の膨らみをもつダイヤルには複雑なギヨシェ模様がプレスされており、独特の質感が表現されている。
「シックスティーズ」というネーミングでわかるように、1960年代に製作されたモデルのダイヤルから着想を得た新作だが、1年間だけの期間限定生産。6時位置の「パノラマデイト」と併せて、スーツに個性的なアクセントを加えるユニークなモデルと言えるだろう。

クラシックなデザインと優れた品質で評価されてきたコレクションに現代的なエッセンスを導入した新作「セネタ・エクセレンス・パノラマデイト」は、ドイツ的なエクセレンスをピュアに楽しめる。スタイルはシンプルベーシックなセンター3針だが、4時~5時の変則位置にパノラマデイトを配置。剣型の時分針とクサビ型インデックスによるオーソドックスで静謐(せいひつ)な表情のなかに動きを加えている。
その一方でムーブメントはシリコンヒゲゼンマイを採用。耐磁性が高いだけでなく、シングルバレルながらもパワーリザーブは約100時間とハイレベル。自社内で行われる24日間におよぶ、3温度・6姿勢差での精度テストをクリアした証の「Q」マークがケースバックに刻印されている。

グラスヒュッテ・オリジナルでは、4年前のバーゼルワールドで一体型のコラムホイール式クロノグラフムーブメント「キャリバー37」を発表。これを搭載した「セネタ・クロノグラフ・パノラマデイト」はプラチナとレッドゴールドのモデルしかなかったが、2017年にステンレススチールのブラックダイヤルを追加。そして今年は対照的な明るいホワイトダイヤルが登場した。時分針やインデックスなどは深いブラックにしており、ハイコントラストで視認性が高い。9時位置にスモールセコンド、12時位置に12時間計、3時位置は30分積算計、そして6時位置に「パノラマデイト」。スモールセコンドの中にパワーリザーブ表示をまとめることで、「セネタ」の特長である左右完全対称にしている。

問/グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 03-6254-7266
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。