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イタリアの名門 カナーリが考える、
ラグジュアリーなビジネススーツとは?
2018.08.16
歴史あるブランドは、革新を続けることによって伝統を受け継いでいます。1934年にミラノで創業したイタリアの名門カナーリも、上質な素材や高品質へのこだわりを崩すことなく、常に時代の感性を採り入れ、洗練に磨きをかけています。日本でも高級ブランドとして多くのファンを持ち、一時期撤退していたものの、今季あらためて本格上陸を果たしました。
人気の理由は、まず素材にあります。イタリアの主要テキスタイルメーカーとの提携により、オリジナルファブリックを共同開発し、これはカナーリの許可がなくては他社は使うことができません。こうしたエクスクルーシブな素材を用い、よりオリジナリティーの高いアイテムを開発します。創業家3代目でグローバル市場開拓を担当するパオロ・カナーリ氏は言います。
「グローバルマーケットはとてもスピーディーに変化します。この数年でもファッションのカジュアル化に、私たちもワードローブのバリエーションを幅広く提案する必要があると判断しました。そうした新たな取り組みの相乗効果として、トラディショナルなアイテムもモダンな魅力を増しました。軽量化や伸縮性といった快適性であり、コーディネートのしやすさもそうですね。結果として従来の顧客を満足させ、より若い層も開拓しました」
新作ではナチュラルカラーを採り入れ、自然がもたらす豊かな色彩と都会的な機能性を融合しました。それはイタリアでもビジネスの街であるミラノのブランドらしい、抑制された美学を感じさせます。
「カナーリの提供するラグジュアリーとは何なのか。それは可能な限りの価値をお客さまに提供することです。上質かつ希少な素材を用いることでお客さまに満足感を与えることができ、その価値を見いだすことが真のラグジュアリーなのだと思います。いまやお客さまは優れた審美眼を持ち、本物を理解し、判断できます。その信頼性を裏切らないこともブランドを維持する秘訣と言えますね」
信頼を裏切らない。その言葉こそ、カナーリの精神であり、世界中のビジネスエグゼクティブからも高く支持される理由なのでしょう。ビジネスにおいてファッションとは、相手に対するリスペクトの証しであり、その信頼を得るためのものなのですから。
プロフィル
柴田 充(しばた・みつる)
フリーライター。コピーライターを経て、出版社で編集経験を積む。現在は広告のほか、男性誌で時計、クルマ、ファッション、デザインなど趣味モノを中心に執筆中。その鋭くユーモラスな視点には、業界でもファンが多い。
Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Mitsuru Shibata