お酒

日本料理のだしの味と最高の相性を見せる一本
ルカツィテリ・アクホエビ アワー・ワイン / tsiteli Akhoebi 2011 Our Wine
[今週の家飲みワイン]

2018.11.09

小松宏子 小松宏子

日本料理のだしの味と最高の相性を見せる一本<br>ルカツィテリ・アクホエビ  アワー・ワイン / tsiteli Akhoebi 2011 Our Wine<br>[今週の家飲みワイン]

ジョージアの2本目は、かたくなに古典的な醸造法を大切にしている超伝統派「アワー・ワイン」の白だ。最高の造り手が最高の畑から造ったオレンジワイン。アワーワインは、ジョージアの自然派ワインの先駆者であり、ジョージアワイン協会の会長も務めたソリコ・ツァイシュヴィリ氏を含む5人が2003年に東部のカヘティに設立したワイナリー。ソリコ氏は今年亡くなられたが、設立メンバーのひとりが彼の遺志を継ぎ、アワー・ワインを守っている。

ワイン造りは土中に埋めたクヴェヴリ(円錐形の土器)で3~6カ月発酵熟成させたのち、澱(おり)引きするのみと、基本的にはほぼ何もしない、完全に自然に任せたジョージア伝統のスタイルである。

アワー・ワインではソリコ氏(の後継者)を含む6人の生産者のぶどうを使い、醸造している。カヘティのなかでも古来最上級と言われているカルナダヒとツアラビの畑で、ルカツティリ、サペラヴィ、ムツヴァネ・カフリなどの、ジョージア土着のぶどう品種を栽培している。

1050_1N7A2105

「そのエリアは、ジョージアのグラン・クリュとも言える畑です。ジョージアワインの神髄を知りたければまず飲むべき一本です」と太鼓判を押す梁さん。

「単体で飲むと好き嫌いが分かれる味ですが、日常の文脈のなかで食事とともに気取らずに飲むと、じつにその個性がいい形で発揮されます。例えば、初めて飲むワインなのに、どこか懐かしく感じるような。それは日本料理のだしにとてもよく合う味わいだからです。変わった味のワインなのに、日本人の味覚の記憶に、非常にストンと落ちてくるのです。合わせる料理としては、しょうゆを使った煮ものには込み万能ですし、秋から冬にかけてのきのこ鍋とは、まさに無敵のマリアージュ。なぜ、うま味の強い日本料理と相性がよいのか、それは、クヴェリで造るからこそ引き出されるうま味成分の強さによるものです」。

1050_1N7A2072

ソリコ氏は醸造家であると同時に哲学者であり、中世文学の研究者でもあった。人間と植物が共生する、宇宙の大きなサイクルのなかにワインがあると考えた。シンプルにして複雑な、飲むほどに複雑味を増していくようなアワー・ワインは、まさにそうした宇宙の神秘を感じさせてくれる。深まる秋とともに楽しみたい一本だ。

<<ツィツカ ゴッツァ2015

  ニコロス・アンターゼ/サペラヴィ 2014>>

Photograph:Makiko Doi

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. 折りたたみ自転車が新たな境地に!<br> 「Brompton G Line」という革命。

    折りたたみ自転車が新たな境地に!
    「Brompton G Line」という革命。

    週末の過ごし方

    2025.12.01

  2. 西新橋「栄雅」の熱々餃子でエネルギーチャージ<br> 年末も走りつづけるマッチから目が離せない!<br> マッチと町中華。【第29回】

    西新橋「栄雅」の熱々餃子でエネルギーチャージ
    年末も走りつづけるマッチから目が離せない!
    マッチと町中華。【第29回】

    週末の過ごし方

    2025.11.28

  3. “クラフトビール沼”へようこそ!【第6回】<br>通もにやける、いま飲むべき1本を紹介。<br>「NOMCRAFT Brewing/NOMCRAFT IPA」

    “クラフトビール沼”へようこそ!【第6回】
    通もにやける、いま飲むべき1本を紹介。
    「NOMCRAFT Brewing/NOMCRAFT IPA」

    お酒

    2025.11.27

  4. 上白石萌歌、加賀の「時間旅行」へ。<br>界 加賀で、北大路魯山人の〝粋〟に触れる[前編]

    上白石萌歌、加賀の「時間旅行」へ。
    界 加賀で、北大路魯山人の〝粋〟に触れる[前編]

    特別インタビュー

    2025.11.26

  5. グランスタ東京で働く614人が本音で選んだ!<br>東京駅限定“推し弁当”ランキング10<br>【第1位】牛たん弁当柚子胡椒味

    グランスタ東京で働く614人が本音で選んだ!
    東京駅限定“推し弁当”ランキング10
    【第1位】牛たん弁当柚子胡椒味

    週末の過ごし方

    2025.11.12

紳士の雑学