お酒

日本のだしを感じさせ、煮物やすき焼きに合う赤ワイン
ニコロス・アンターゼ/サペラヴィ 2014
[今週の家飲みワイン]

2018.11.16

小松宏子 小松宏子

日本のだしを感じさせ、煮物やすき焼きに合う赤ワイン<br>ニコロス・アンターゼ/サペラヴィ 2014<br>[今週の家飲みワイン]

グラスに注がれたワインを見ると、色が濃く、相当に濃厚であろうことがわかる。ジョージアを代表する黒ぶどうのひとつ、サペラヴィで造られたものだという。ぶどうの品種は北アメリカを原産とするヴィティス・ラブルスカ(アメリカ系ぶどう)とカスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地方(現在のジョージア)を原産地とするヴィティス・ヴィニフェラ(ヨーロッパ系ぶどう)の二つに大別される。アメリカ系ぶどうが主に生食やジュースに用いられるのに対し、ヨーロッパ系はワイン醸造に使用される。

地中海を通って、ヨーロッパに普及したのだ。このヴィニフェラ種のなかから約150種のぶどうがワイン醸造に使用される。今回のワインに使用されているサペラヴィ種は最古の種であるヴィティス・ヴィニフェラ種の原種に最も近いと言われている。最古のぶどうで醸したワインと思えば、悠久の時の流れとロマンを感じるではないか。

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「色も味もとにかく濃いんです。でも、あと味に野趣あふれる酸味が残るので余韻は爽やか、タンニンはそれほど強くないので、意外にも飲みやすいのです」と梁さんは言う。

造り手であるニコロス・アンターゼは首都トビリシに生まれた。17世紀から代々続く畑をカヘティ地方(ジョージアの7割のワインを生産)に所有していたが、ソビエト連邦下で没収。新たに2006年にマナヴィ村ぶどう畑を購入し、有機農法でぶどうを育て、伝統のクヴェヴリ(陶器の壺)でのワイン造りを始めた。マナヴィ村は海抜650m、岩の多い粘土石灰質。19世紀まで王室に献上するワインを醸造していたことから「ロイヤル・クリュ」と呼ばれる名門の土地だ。

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「このワインの魅力は、ジョージアのワインに共通している“うま味”を感じること。だから、日本人の舌にはとてもなじみやすいんです。濃厚なワインの味わいのなかに、だしのうま味がしっかりと詰まっています。だから、牛肉のすき焼きや、肉じゃがなどとも抜群の相性を見せます。この時期でしたら、鹿などのジビエにもとてもよく合いますし、昨今主流のドライエイジングビーフには最高です。ニコロス・アンターゼは、いまや中堅ですが、若手として出てきたときから、現代的な考えを持った造り手として、注目されてきました。ジョージアワインの魅力を理解するには、ぜひ、飲んでもらいたい一本です」。

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Photograph:Makiko Doi

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