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7つの視点で選ぶ。
男を格上げする「贅沢品」
視点5 精緻
2018.12.12
もう中途半端なものはいらないのではないか。身につけた自分が輝く姿を想像できるような特別なものにだけ惹(ひ)かれる。それは、現代の贅沢品。上質な素材がもたらす肌触りや優れた機能性による快適さなど、7つの視点でいま欲しいものをリストアップした。贅沢品を、自分を磨き上げるためのひとつの手段と考えれば、必要なものが見えてくるに違いない。手にすることで得られる高揚感、それは明日からの活力ともなる。
日本が〝モノづくり大国〞と言われて久しい。AIの台頭によって製造業が自動化されつつある現在も、その地位は揺らいでいない。日本が誇る繊細で高品質なアイテムは、いまも昔も匠の技を繰り出す職人によって支えられているからだ。けっして機械にはまねできない精緻な技が生むジャパンメイドの逸品は、日本の男に自信を与える、世界に誇れる贅沢品である。
<SANYOのコート>
![400_AE1014L_73896a.Q](http://p.potaufeu.asahi.com/b896-p/picture/14486697/e5bd3c86883c01b5019dcba561bbce6c.jpg)
ファストファッションが定着し、流行のサイクルも年々速まっている現在。日本の精緻な技術により、親子三代にも受け継がれるコートを目指すサンヨーの「100年コート」は、時代の趨勢(すうせい)とはまさに真逆を行く。素材には繊維長が長い高品質なギザコットンを用い、高密度に織り上げた国産のコットンギャバジンを使用。40年以上もの歴史を誇るコート専業の自社工場サンヨーソーイングにて、高度な技を備えた熟練職人によって一着一着丁寧に生産される。さらに会員システム「100年オーナープラン」を用意し、3年ごとの定期診断によって補修などのアフターケアを行ってくれる。100年の名はけっしてだてではない。
<CHOYA 1886のシャツ>
![1050_AE1014L_2617a_kiri_kage](http://p.potaufeu.asahi.com/354f-p/picture/14486700/a1623ea7d5d498993aef7e47c71115da.jpg)
文明開化と同時に洋装を採り入れた日本には、実は欧米に引けを取らないドレスウエアの歴史がある。その一翼を担ったのが1886年創業のシャツメーカー、チョーヤだ。同社の伝統をいまに受け継ぐドレスシャツは、綿織物の産地である浜松に残る旧式シャトル織機を用い、通常の3倍の時間をかけて織った、シルクのように柔軟な生地を使用。鹿児島の自社工場にて丹念に縫われる。日本の技と伝統が集約された、世界にも誇れるシャツだ。
<SUGIMOTO KEIの眼鏡>
![1050_AE1014L_2656a_kiri_kage](http://p.potaufeu.asahi.com/e7ad-p/picture/14486702/df3b90cd5b7a4efe9994e0f770507615.jpg)
日本のモノづくりは、職人の精緻な技と気配りに支えられている。眼鏡フレームの産地である、福井県を拠点とするデザイナー、杉本圭彦が手がける杉本 圭の眼鏡フレームも、熟練職人が一本ずつ丁寧に手で磨き上げている。アセテート製ながらも立体的かつエッジの利いたシャープな面持ちが特徴だが、肌に触れる面は丸みをつけて磨かれており、掛け心地はいたってやわらか。凛々(りり)しい表情をあくまで快適に演出できる。
<FACTELIERBY KUSKAのタイ>
![400_AE1014L_2626a_kiri_kage](http://p.potaufeu.asahi.com/0f86-p/picture/14486696/3281efda6372f046e6b5db13d0776290.jpg)
新しいものは、いつも温故知新の精神から生まれる。日本各地の優れた服飾品工場と消費者を結ぶファクトリエが、京都・丹後地方の老舗手織物メーカー発のブランド、クスカと取り組んだタイは、その手本とも言えるだろう。伝統的な丹後ちりめんの手法で手織りしたシルクフレスコ生地によるオールハンドメイドのタイは、立体的な陰影がVゾーンを美しく引き締める。そして、手の温もりがこの上ない贅沢さを感じさせる。
<FACTELIER BY ONGLEのチーフ>
![400_AE1014L_2621a_kiri_kage](http://p.potaufeu.asahi.com/c71b-p/picture/14486695/e30a3a0d1182ebda655758635b2546d5.jpg)
細部まで手を抜かないのが、日本のモノづくりの優れた一面だ。そんな日本人気質を備える日本のビジネスマンに、ビジネススタイルの細部の仕上げとして挿してほしいのが、ファクトリエが京都・宇治のタイ工場、オングル工芸と組んだチーフである。上質な国産のシルク100%生地を用い、縁は職人がひと針ずつ巻きながら縫った手かがり。縁がしなやかに仕上がり、ポケットに挿しただけで、ふわりとした自然なニュアンスが出せる。
<NEATのパンツ>
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日本にはクオリティーだけでなく、ファッション性でも世界に通用するブランドが数多くある。人気上昇中のパンツブランド、ニートもそのひとつだ。最高級のギザコットンを高密度に織ることで、光沢と丈夫さを備えた生地のチノパンは、ツープリーツのワイドシルエット。ボトムスにボリューム感をもたせる最新スタイルが表現できる。またシャツのずり上がり防止用のシリコン素材をウエストに施すなど、細部まで抜かりないつくりだ。
<SLOANEのニット>
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日本の服飾産業のなかでも、特に世界的な評価が高いのがニッティングの技術である。日本のニットウエアブランド、スローンが国内で生産するニットにも高い技術が込められている。メリノウールにカシミヤをブレンドした糸を用い、英国の伝統的なフィッシャーマンズセーターに範を取った、美しく精緻な模様をフルファッションという技法で表現。体に沿ったフォルムに成形されており、着膨れしにくく、スマートに着こなせる。
<LUNAULのジャケット>
![400_AE1014L_2551a.Q](http://p.potaufeu.asahi.com/3712-p/picture/14486691/77d38352e6a435af37347fe3f642171b.jpg)
日本の高度な服飾技術は、これまでにない着心地と美しさを体感させてくれる。ラグジュアリーな国産ニットを提案するルナルのニットジャケットは、日本で紡いだ4PLY(4本の原糸をより合わせた糸)のカシミヤ100%糸を使用。そんな贅沢なニット地に、スポーツウエアに用いられるストレッチ裏地を特殊技術で貼り合わせることで、なめらかな肌触りと弾力、さらにきちんとした印象を演出する構築感を備えた、ほかにない一着に仕上げた。
Photograph:Osami Watanabe
Styling:Masayuki Sakurai Akihiro Mizumoto
Hair & Make-up:Masayuki(The VOICE)
Text:Yasuhiro Takeishi(City Writes)
Edit:Kenji Washio