スーツ
メンズのセレモニースーツはどう選ぶ?
フォーマルな場面にふさわしい装いを考える。
2022.03.16
セレモニースーツと聞いて思い浮かべるスタイルは人それぞれ。モーニングコートやタキシード、ブラックスーツなど、セレモニースーツにはさまざまな種類があり、シーンや自分の立場によって適切なスーツがあります。
この記事では、着用シーンにおけるセレモニーの着こなしのマナーやおすすめのセレモニースーツブランドを紹介します。
セレモニースーツの着用シーン
着用シーンによって、選ぶべきセレモニースーツの種類は変わります。まず、どのようなシーンでセレモニースーツを着るのかを押さえておきましょう。ここからはセレモニースーツの着用シーンについて解説します。
結婚式
結婚式はセレモニースーツを着用すべき定番のシーンです。大人になると招待される機会が増えるので、結婚式用のセレモニースーツを用意しておくことは必須。参加する立場によって変わるため、ブラックスーツだけでは対応できなくなることがあります。立場に応じた礼服の違いを理解し、年齢を重ねながらセレモニースーツの種類を増やしていくといいでしょう。
会社の式典
会社の式典でもセレモニースーツの着用が求められます。会社の式典には、自社の社員へ感謝の意を表す記念式典や、他社を招いて行う大規模な式典など、いくつかの種類があります。会場の雰囲気や式典の内容によって適切な服装を見極めることが大切です。
入園式・卒園式
保育園や幼稚園に通う子どもの記念行事である入園式・卒園式でもセレモニースーツを着用します。結婚式や式典ほど厳格にマナーを意識する必要はありませんが、あくまでも子どもが主役であることを踏まえてコーディネートを工夫する必要があります。
入学式・卒業式
入学式・卒業式についても入園式・卒園式と同様です。子どもに恥ずかしい思いをさせないように、セレモニースーツで清潔感と爽やかさを演出しましょう。
結婚式での着こなしはマナーに注意
結婚式ではビジネススーツとは異なるフォーマルスーツを着る必要があります。また、立場によっても適した衣装が変わります。ここからは、結婚式でのセレモニースーツの着こなしマナーについて詳しく解説します。
正礼装・準礼装・略礼装を着分ける
結婚式で着用するフォーマルスーツは、正礼装・準礼装・略礼装の3種類に分けられます。このなかで最も格式が高いのが正礼装。結婚式では主に新郎新婦の父親が着用するものです。正礼装では時間帯によって着用する服が変わり、昼間はモーニングコート、夜はイブニングコートを着用します。
モーニングコートは、斜めに切り落とされた前裾と長く伸びる後ろ裾が特徴。原形であるフロックコートの前裾を乗馬用に切り落としたデザインで、18世紀の英国の貴族が乗馬してからそのままフォーマルな場へ出席できるように考案したといわれています。
襟型は襟先が上向きにとがったピークドラペルが特徴。パンツには黒とグレーのストライプ模様であるコールパンツを合わせ、首元には黒とグレーのストライプのコールタイや格式の高いアスコットタイを締めます。
イブニングコートは、前裾が腰のあたりでカットされており、長く伸びた後ろ裾が2つに割れているデザインが特徴のスーツです。後ろ裾が燕の尾に似ていることから、燕尾服やテールコートとも呼ばれます。イブニングコートには、白いボウタイを合わせるのが一般的。ドレスコードで指定されることがある「ホワイトタイ」はイブニングコートのことを指しています。
正礼装に続いて格式の高いのが準礼装。昼間のディレクターズスーツと夜間のタキシードの2種類です。結婚式に主賓として招待された場合や、スピーチなどを任された場合に着用するのが適切です。
ディレクターズスーツは黒のジャケットに黒またはグレーのベスト、そしてコールパンツを合わせるスタイル。シャツにはウィングカラーを選び、シルバーグレーのネクタイを締めます。
夜の準礼装であるタキシードは、近年では正礼装として着られることも多い衣服。ジャケットの襟型はピークドラペルか丸みのあるショールカラーで、ウィングカラーシャツに黒のボウタイを合わせるのが基本のスタイルです。そのため、「ホワイトタイ」と呼ばれるイブニングコートに対して、タキシードは「ブラックタイ」と呼ばれます。
胸ポケットには白のチーフを挿しておくのが一般的で、シャツの上には腹部の飾り帯であるカマーバンドかベストを着用します。
ちなみに、タキシードの原形は19世紀後半の英国で貴族が着用したスモーキングジャケットです。これは、喫煙の際に灰や煙が衣服にかからないように室内ではおられていました。
略礼装としてはブラックスーツが着用されます。結婚式に一般ゲストとして招待されたときの衣服はこの略礼装が適切です。
通常のスーツと略礼装の間に大きな違いはありませんが、生地にはタキシードクロスやドスキンなどの高級感がある素材が使われています。また、略礼装はラペルのステッチが入っていない場合が多く、後ろ裾の切り込みであるベントも基本的には入っていません。
パンツの裾上げは、裾を折り返さないシングル、あるいは裾が後方へと下がっていく形で斜めにカットされたモーニングカットが適しています。ブラックスーツ以外に、チャコールグレーやミッドナイトネイビーなどの色みが暗いダークスーツも略礼装として使うことができます。
シャツやネクタイ、靴の選び方
略礼装のブラックスーツやダークスーツに合わせるシャツは白無地が基本。襟型はレギュラーカラーやセミワイドスプレッドカラーが一般的ですが、フォーマルなウィングカラーを選んでもいいでしょう。なお、ビジネスシーンでは着ることの多いボタンダウンカラーはカジュアル度が高いので結婚式には適しません。また、クールビズ用の半袖シャツも失礼に当たるので避けてください。
ネクタイの色はシルバーグレーが主流です。柄つきのものを選ぶときは、なるべく控えめなストライプや小紋柄などにするのが賢明でしょう。カジュアルな式場であれば、サックスブルーやピンクなどのパステルカラーを選ぶのも爽やかでおすすめです。
結婚式はあくまでも祝いの場であり、喪服を連想させる黒のネクタイは不適切。また、派手な色や大きなドット柄、殺生を連想させるアニマル柄などもマナーに反するので控えましょう。
靴は黒が基本で、ひものついた革靴がフォーマルなスタイル。略礼装に適したデザインは、つま先に横一直線の縫い目が入ったストレートチップか、つま先に縫い目のないプレーントウです。つま先部分に穴飾りがあるウィングチップは装飾性が高く、カジュアルなデザインなので結婚式には向いていません。
ひもがない革靴のなかで、ストラップで留めるモンクストラップだけはフォーマルな場でも使用可能とされています。比較的カジュアルな結婚式に参列する場合はモンクストラップを選ぶのもおすすめです。
靴に合わせる靴下は黒無地のものを用意してください。黒以外の色や、くるぶしまでの長さのものはマナー違反となります。
ひもつきの革靴には内羽根式と外羽根式があります。内羽根式は、ひもを通す羽根の部分がアッパーと一体になっており、ひもを結ぶと羽根同士が隙間なく隣り合うデザインです。一方、外羽根式ではひもを通す羽根がアッパーの上に乗っており、ひもを結んでも羽根と羽根のあいだに隙間が残ります。
内羽根式のほうが外羽根式よりもフォーマル度が高いため、セレモニーシーンには内羽根式がマッチします。内羽根式のストレートチップはあらゆるフォーマルシーンに対応できるため、用意しておくと重宝する一足です。
そのほか、ポケットチーフを挿すときはリネンまたはシルクの白無地のチーフをスリーピークスで折るのがおすすめ。スリーピークスとは、ぴんと立てたチーフの3つの角がポケットからのぞく折り方のことです。ベルトなどの小物は靴に合わせて黒を選び、ワニ革やヘビ革は避けてください。
式典での着こなしのポイント
会社の式典などに参加する場合は、会場や内容によって選ぶべきスーツが変わってきます。企業によっては独自のドレスコードを設けている場合もあるため、まずは上司や同僚に確認してみるのがいいでしょう。
基本的に、結婚式と同じようにビジネススーツではなくフォーマルスーツを選ぶのがオーソドックスです。ただし、会社の式典で正礼装の着用を求められることはまずないでしょう。式典における正礼装は、皇室の行事や、最も格式が高いホテルのパーティーに参加するときなどに着用するものです。略礼装のブラックスーツやダークスーツ、または準礼装のディレクターズスーツを選ぶのが適切だといえます。
式典の雰囲気にもよりますが、明るい色柄のネクタイを採り入れてコーディネートを華やかにするのもおすすめ。ボウタイやアスコットタイなど、格式の高いアイテムで個性を演出するのもいいでしょう。
準礼装で式典に参加する場合は、時間帯によってディレクターズスーツとタキシードを使い分けるのがマナー。午後5~6時ごろを目安として、式典がそれ以降に行われるのであればタキシードの着用が適しています。
タキシードに合わせるシャツの袖はダブルカフスが基本です。ダブルカフスとは折り返されて二重になっている袖のことで、通常の袖よりもフォーマルなデザインです。折り返しがある分、袖丈の調節が難しいので、ジャケットの袖から1.5cmほどはみ出る丈を十分に意識して仕立てる必要があります。
また、ダブルカフスのシャツを着るときに欠かせないアイテムがカフスボタンです。正式名称をカフリンクスといい、袖に留めることでスーツスタイルをおしゃれにランクアップさせることができます。夜のタキシードでカフリンクスを付ける場合は、シルバーやゴールドの台に黒オニキスや黒蝶貝などの黒い石があしらわれたものを選びましょう。昼のディレクターズスーツの場合は、シルバーやゴールドの台に真珠や白蝶貝などの白い石があしらわれたカフリンクスが適切です。
入園・卒園・入学・卒業ではビジネススーツをアレンジして晴れやかに
子どもの入園式や卒園式、入学式、卒業式などに出席する場面では、ビジネススーツを着用しても問題ありません。むしろ、結婚式や式典と同じように礼服を着ていくと生地の黒が濃すぎて周りから浮いてしまう可能性があります。
ただし、ビジネススーツも普段どおりに着るのではなく、祝いの場にふさわしいようにアレンジすることが大切です。ネクタイやスカーフ、シャツ、ネクタイピンなどのアイテムを採り入れ、華やかにコーディネートしましょう。そうすることで、我が子の大切な一日の祝福ムードをいっそう盛り上げることができるはずです。
スーツの色は、オーソドックスでアレンジしやすいネイビーやグレー、黒がおすすめ。あくまでも主役は子どもであり、主役よりも目立つ派手なスーツはふさわしくありません。清潔感と爽やかさを重視した着こなしを意識しましょう。また、母親がカジュアルなワンピースを着ているにもかかわらず、父親がフォーマルスーツを着ているとバランスが悪く見えます。その逆もまたしかりなので、夫婦で服装の格式を合わせるということも重要です。
普段は2ピーススーツを着ていても、入園式などではベストを加えて3ピースで着こなすのがおすすめ。ベストを採り入れることで誠実な印象が強まり、体が引き締まって見えるスタイルアップ効果も得られます。また、荷物運びや写真撮影など、何かと忙しい式ではジャケットを脱ぎたくなることもあるでしょう。しかし、シャツ姿になるのはいいマナーではありません。そうしたときにベストを着ていれば、ジャケットを脱いでも品格を保つことができます。
スーツの色によって着こなし方を工夫しましょう。明るい色と相性がいいネイビーのスーツを着るときは、ピンクのネクタイやパステルカラーのシャツと合わせて華やかに。優しい印象のグレーのスーツは明るいアイテムを採り入れても適度に落ち着きがあり、暗めの色で統一してもシックにまとまります。ブラックスーツを着るときは、全体が暗くなりすぎないように明るいシャツやネクタイを採り入れて色のコントラストを楽しみましょう。
祝賀ムードを高めるセレモニースーツブランド5選
セレモニースーツで祝賀ムードを高めるためには、良質なブランドにこだわることも大切です。ここからは、おしゃれなセレモニースーツを用意しているブランドを厳選して5つ紹介していきます。
バーニーズ ニューヨーク
1923年にニューヨークのマンハッタンで創業した「バーニーズ ニューヨーク」は、ウエアやアクセサリーだけではなく、シューズやテーブルウェアなどのラグジュアリーなアイテムを幅広く取り扱っているブランド。豊富なラインアップはどれも「バーニーズテイスト」にこだわってセレクトされており、世界有数のスペシャリティーストアとしての揺るぎない地位を確立しています。
セレモニースーツはタキシードからブラックスーツまで幅広く用意しており、オーダーすれば素材選びからこだわったオリジナルスーツが仕立てられます。
麻布テーラー
1999年にスタートした「麻布テーラー」は、オーダースーツの分野でよく知られている男性向けのスーツブランド。採寸や生地選びを通して自分に合ったスーツが仕立てられる「パーソナルオーダー」を採用しており、既製品よりも魅力のあるスーツをリーズナブルに入手できます。
従来のモーニングコートやブラックスーツだけでなく、独自のフォーマルスタイルも提案しているため、オリジナリティーのあるセレモニースーツを求める人にはうってつけのブランドです。
五大陸
オンワード樫山が1992年に立ち上げた「五大陸」は、スーツに力を入れている男性向けのブランド。英国、フランス、イタリア、アメリカ、そして日本という5カ国の長所をまとめあげた「ジャパニーズ・ジェントルマン・スタンダード」を提案しています。
精緻なパターンメイキングと丁寧な縫製技術が特徴の「パーソナルフィッティングメイド」では各種フォーマルスーツもオーダーできます。
ザ ショップ ティーケー
「ザ ショップ ティーケー」は、デザイナーの菊池武夫氏が立ち上げたブランド「タケオキクチ」の系列ブランド。主にショッピングセンターなどで店舗を展開しており、ファミリー層向けのリーズナブルな価格設定が特徴です。
セレモニースーツのラインナップも幅広く、「シャドーストライプ3ピーススーツ」に白シャツとシルバーのネクタイを合わせればセレモニーにもふさわしい装いとなるでしょう。スーツはポリエステル素材で機能性が高く、汚れても自宅の洗濯機で洗うことができます。
ニューヨーカー
1964年創業の「ニューヨーカー」は、ベーシックでありながらトレンドを採り入れたスタイルを提案しているファッションブランド。国際的なビジネスシーンで活躍する日本人に向けて、アメリカントラディショナルに基づいた紳士服を作るという着想から事業が始まりました。
「パターンオーダー」では、スーツの生地やモデルはもちろん、ラペルのステッチやベントの数、ボタンの種類などのディテールまで細かく決めることができます。上質な仕立てにこだわるなら、ニューヨーカーのセレモニースーツをオーダーしてみるといいでしょう。
まとめ
セレモニースーツは着用シーンに合わせた衣装選びが大切です。結婚式では自分の立場に合った礼装を選び、ネクタイや靴などの基本的なマナーについても失礼のないように気をつけましょう。
会社の式典では、まずドレスコードに独自のルールがあるかどうかを確認し、式場や内容に見合った衣装を選んでください。入園式や卒業式などの行事に参加するときは、ビジネススーツをアレンジして清潔感のあるコーディネートを目指しましょう。祝いの席なので華やかさを添えつつ、目立ちすぎないように節度をわきまえることが重要です。
セレモニーに参加するときは、スーツに関する知識を事前に学んだうえで、自慢のスーツスタイルで特別な一日を存分に楽しみましょう。